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特定技能の会社比較シートの作り方|3社を同じ物差しで比べる手順
足切り4項目・採点6項目・3年総額。12の行で3社を1枚に並べ、決裁者への説明まで済ませる
文・構成:特定技能のりあい窓口 編集部最終更新:情報の確認日:(数値ごとに時点を記載)出典:公的機関の公表資料(ページ末尾に一覧)
特定技能の会社を比較する方法が決まっていないと、説明の上手な会社や月額の安い会社が良く見えがちです。登録支援機関だけでも11,660件(2026年10月8日時点)が登録されており、候補を眺めるだけでは決め手が見えません。この記事では、3社を同じ物差しで比べる「比較シート」の作り方を、12の行・記入例・点数のつけ方の順に示します。最後に、シートをそのまま社内稟議に添付するためのまとめ方も紹介します。数字と制度は2026年10月時点の公的資料にもとづいています。
- 比べる前に「自社の前提」と「足切り」を決める:分野・人数と時期・国内か海外か・任せたい範囲を先に書きます。番号の照合や費用の内訳など4項目で×が付いた会社は、採点に進めません。
- 採点は6項目×重みで75点、費用は3年総額で25点:実績と支援体制に重みを置きます。岡山県の調査でも、委託先を選んだ理由は「実績がある」51.8%、「費用が安い」9.8%でした。
- 稟議には「なぜこの会社か」「3年でいくらか」「会社に残る責任」を書く:比較シートを添付し、選定理由・リスクと対策・支払時期を1枚にまとめると、差し戻しが減ります。
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この記事の目次
特定技能の会社を比較する方法は「12行の比較シート」を1枚作ること
特定技能の会社選びで迷わないための近道は、3社を同じ12の行で並べた比較シートを1枚作ることです。行は「足切り→採点→3年総額」の順に並べます。この順番なら、説明のうまさや月額の安さに引っ張られにくくなります。
候補が多いほど、同じ物差しが要る
登録支援機関は11,660件が登録されています(2026年10月8日時点、出入国在留管理庁)。ただし2023年4月末の資料では、登録8,137機関のうち支援委託契約を持っていたのは4,069機関(約50%、暫定値)でした。登録していることと、実際に支援を任されていることは別の話です。
会社ごとに資料の形式も違います。ある会社は月額だけ、別の会社は紹介料込みの総額だけを示す、ということがよく起こります。そのまま並べても比べられないので、こちらで行と形式を決め、答えを写していく必要があります。
選び方が分からないことが、受け入れをためらわせている
岡山県の調査(2023年9月1日時点)は、外国人介護人材の受入れ予定がない1,345事業所に理由を聞いています。16.2%が「どの監理団体や登録支援機関を選んでいいか分からない」と答え、「費用の相場が分からない」も18.4%でした。比べ方の型があれば、この2つの不安はかなり小さくできます。
図1比較シートを作る5つの段階
- 自社の前提を書く分野、採用人数と時期、国内在住者か海外からか、任せたい範囲の4つを、3社に送る文面と同じ言葉で書きます。
- 3社に同じ質問を送る質問票と見積もりの形式をそろえ、回答期限を1週間に決めます。
- 足切りの4項目を確かめる番号・費用の内訳・本人負担・書類の作成者。1つでも×なら採点しません。
- 6項目を採点する1〜5点に重みを掛け、75点満点にします。
- 3年総額を出して稟議にまとめる費用を25点満点に換算し、合計100点で比べた結果を1枚の説明に添えます。
シートを作ると、3社が「答えなかった項目」も空欄として並びます。点数と3年総額が1行ずつ出るので、選んだ理由を数字で説明できます。全体の考え方は、総合ガイドの「3社を比べるシート」でも紹介しています。
登録支援機関の比較表の作り方:4つのブロックと12の行
比較表は4つのブロックでできています。一番上に「自社の前提」を書く欄があり、その下に足切り・採点・費用の12の行が続きます。横には3社の列を並べます。紹介会社を比べるときも、同じ形で使えます。
ブロック1:自社の前提(採点しない)
表の一番上に、自社の条件を4つ書きます。分野(例:飲食料品製造業)、採用人数と時期(例:2027年春に2人)、国内在住者か海外からか、任せたい範囲(紹介だけ・支援だけ・両方)です。この欄を3社に同じ文面で伝えると、見積もりの前提がそろいます。
ブロック2〜4:足切り4行・採点6行・費用2行
足切りは、満たさなければ採点に進めない最低条件です。採点は、1〜5点に重みを掛けて差をつける行です。費用は、初期費用と3年総額の2行にまとめます。各行で何を書き、どう確かめるかは次の表のとおりです。
図2比較シートの12の行と確かめ方
| 行 | 区分 | 書くこと | 確かめ方・根拠 |
|---|---|---|---|
| 1 | 足切り | 登録番号・許可番号 | 登録簿・人材サービス総合サイトで、名称と番号を照合する |
| 2 | 足切り | 費用の額と内訳が書面で出たか | 支援委託契約には、費用の額と内訳を盛り込む必要がある(入管庁Q&A) |
| 3 | 足切り | 本人負担・保証金・違約金がないか | 支援の費用は本人に負担させない。保証金や違約金の契約は認められない(基準省令) |
| 4 | 足切り | 申請書類を作成する人 | 報酬を得て官公署への書類を作れるのは行政書士など(行政書士法19条) |
| 5 | 採点・20点 | 自社と同じ分野の実績 | 支援・紹介の人数と年数を数字で答えてもらう |
| 6 | 採点・10点 | 定着の実績 | 「1年後に何人中何人が在籍」の形で答えてもらう |
| 7 | 採点・15点 | 担当者1人あたりの担当数 | 2027年4月からの基準(受入れ機関10未満・1号50人未満)と比べる |
| 8 | 採点・15点 | 対応言語と緊急時の連絡 | 常勤の担当か外部の通訳か。夜間・休日の窓口はあるか |
| 9 | 採点・10点 | 定期面談の方法と記録 | 3か月に1回以上。本人と監督者の両方と行い、記録を共有するか |
| 10 | 採点・5点 | 説明と回答の速さ | 期限内に、質問へ正面から答えたか |
| 11 | 費用 | 初期費用と紹介料 | 返金の条件も備考に書く |
| 12 | 費用・25点 | 3年総額 | 初期費用+紹介料+月額×36か月+追加費用の見込み |
特定技能の業者を比較する項目は12行に絞る
行を増やしすぎると記入が終わらず、決裁者も最後まで読みません。会社の沿革や拠点の数のように、自社の条件と直接関係しない情報は「備考」に1行で十分です。紹介会社だけを比べる場合は、6行目を「紹介後6か月以内の離職状況」に置き換えます。これは厚生労働省の人材サービス総合サイトで公開される項目です。
各項目の意味や、どれを必須にするかの考え方は、登録支援機関の選び方|比べる15項目と契約前の確認手順で詳しく解説しています。
記入の手順:同じ質問を同じ期限で送り、答えを原文のまま写す
シートの精度は、記入の手順でほぼ決まります。3社に「同じ質問を、同じ形式で、同じ期限で」送り、返ってきた答えを要約せずに写してください。手間に見えますが、ここを省くと最後の点数が信用できなくなります。
- 自社の前提4項目を書く
分野、採用人数と時期、国内在住者か海外からか、任せたい範囲を書きます。決まっていない項目は「未定」と書けば十分です。
- 候補を3社に絞り、番号を確かめる
登録支援機関は出入国在留管理庁の登録簿で、紹介会社は厚生労働省の人材サービス総合サイトで、名称と番号を照合します。登録簿の読み方は登録支援機関登録簿の見方で解説しています。
- 同じ質問票と見積もりの形式を送る
質問は20問前後に絞り、回答期限は1週間とします。見積もりは「初期費用・紹介料・月額・追加費用」の4つに分けて出してもらいます。
- 答えを原文のまま写す
要約すると、書き手の印象が混ざります。答えがない欄は「未回答」、口頭で聞いた答えには日付と相手の名前を添えます。
- 足切りを判定する
4行のうち1つでも×があれば、その会社は採点しません。×の理由を1行で残しておくと、稟議で「なぜ外したのか」と聞かれたときの答えになります。
- 2人で別々に採点する
採用担当と現場の責任者が、互いの点数を見ずに採点します。差が2点以上開いた行だけ、根拠の文章を読み直して話し合います。
- 3年総額と合計点を出す
費用を25点満点に換算し、採点の75点と足して100点満点にします。計算のしかたは後の章で示します。
質問票は12の行に対応させる
質問が多すぎると回答が遅れ、答えも浅くなります。シートの行に対応する問いを中心に、20問前後にまとめましょう。問いの候補は登録支援機関・紹介会社への質問リスト50にまとめています。
候補の集め方
候補は、同業者からの紹介、比較サイト、相談窓口などから集めます。3社を探す手間を減らしたいときは、条件に合う会社を最大3社まで無料で紹介する相談窓口を使う方法もあります。たとえば特定技能のりあい窓口は、会社に順位を付けず、最終的に選ぶのは企業です。掲載している会社から紹介手数料を受け取る場合がありますが、手数料の有無で提案の順番や内容は変えません。
図3候補を絞る前に知っておきたい4つの数字
- 11,660件登録支援機関の登録数2026年10月8日時点の登録簿
- 約50%支援委託契約を持つ機関の割合2023年4月末。登録8,137機関中4,069機関(暫定値)
- 5年登録の更新の周期5年に1度、登録の更新が必要
- 50人未満担当者1人あたりの1号外国人2027年4月1日から。受入れ機関は10未満
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点数のつけ方:6項目を1〜5点で採点し、重みを掛ける
採点は「1〜5点×重み」で行い、6項目を75点満点にします。重みは、実績に30点、支援体制に40点、説明と対応に5点です。費用の25点と合わせて100点満点になります。
重みは「受け入れた事業所が何で選んだか」から決める
岡山県の調査で、委託先を選んだ164事業所の理由(複数回答)は「実績がある」51.8%、「サポートが手厚い」50.0%でした。「費用が安い」は9.8%にとどまります。実績と支援体制に70点を置いたのは、この結果に合わせたためです。
ただし、費用の負担感も無視できません。福岡県の調査では、受入れ準備段階の課題の1位が「採用費用(人材紹介の手数料等)が高額」65.5%でした。そこで費用にも25点を残しています。重みは自社の事情に合わせ、5点単位で動かしてかまいません。
図4委託先(監理団体・登録支援機関)を選んだ理由(複数回答)
- 実績がある51.8%
- サポートが手厚い50.0%
- 費用が安い9.8%
1点・3点・5点の基準を先に書いておく
基準がないと、採点者の気分で点が動きます。3社の回答を読む前に、次の表のように「何があれば5点か」を決めておきます。2点と4点は、その間と考えます。
| 項目(重み) | 5点 | 3点 | 1点 |
|---|---|---|---|
| 分野の実績(20) | 同じ分野の支援人数と年数を数字で示し、似た規模の例も説明した | 同じ分野の実績はあるが、数字がおおまか | 他分野の実績だけ、または回答なし |
| 定着の実績(10) | 「1年後に何人中何人が在籍」と、離職の理由を示した | 割合だけを示した | 数字がない |
| 担当体制(15) | 1人あたりの担当数を示し、2027年4月の基準を満たす計画もある | 担当数は示したが、計画は未定 | 担当数を答えない |
| 言語と緊急時(15) | 本人の言語で話せる常勤の担当がいて、夜間・休日の窓口もある | 外部の通訳で対応し、時間帯に制限がある | 対応できる言語がはっきりしない |
| 面談と記録(10) | 本人と監督者の両方と3か月に1回以上面談し、記録を毎回共有する | 面談はするが、記録は求めれば共有 | 回数や方法の説明がない |
| 説明と対応(5) | 期限内に全問へ答えた | 一部が未回答 | 期限を過ぎ、問いに答えていない |
計算のしかた
各項目の点数を5で割り、重みを掛けます。重み20点の「分野の実績」が4点なら、4÷5×20=16点です。6項目を足すと、75点満点の「実績と支援の点」になります。定期面談の考え方は特定技能の定期面談のやり方も参考にしてください。
登録支援機関の見積もりを比較するときは「3年総額」にそろえる
費用は月額ではなく、3年総額という1つの数字で比べます。月額が安くても、初期費用や追加料金で順位が逆転することがあるからです。
図5比較シートの費用欄に書く「3年総額」
3年総額=初期費用支援の開始準備など+紹介料人材紹介を頼む場合+月額の委託費× 36か月+追加費用通訳・臨時の面談など × 見込み回数
見積もりは4つに分けて出してもらう
依頼の時点で「初期費用・紹介料・月額・追加費用」の4つに分けるよう頼みます。出入国在留管理庁のQ&Aは、支援委託契約に「支援業務の内容」と「費用の額及びその内訳」を盛り込む必要があるとしています。料金に入管法令上の上限はありませんが、契約時に額と内訳を示す必要がある、という整理です。内訳を出せない会社は、足切りの2行目で×になります。
追加費用は、通訳、臨時の面談、役所への同行などで発生しやすい項目です。「月額に含まれるもの」と「別料金のもの」を一覧でもらい、別料金は年に何回ほど発生しそうかも聞いておきます。
月額の水準は公的調査の分布と見比べる
福岡県の令和7年度調査は、外国人介護人材を受け入れている(予定を含む)362事業所が対象です。1人あたりの月額委託費は、「2万円以上3万円未満」が31.5%で最多でした。在留資格を問わない数字ですが、見積もりが分布のどこにあるかを確かめる目安になります。
図6登録支援機関・監理団体への1人あたり月額委託費(福岡県)
- 2万円以上3万円未満31.5%
- 1万円以上2万円未満13.0%
- 3万円以上4万円未満13.0%
- 委託していない26.8%
紹介料の目安には、厚生労働省の集計があります。職業紹介事業所を通じた介護職の平均手数料は、全国59.7万円、北陸ブロック87.8万円でした(令和6年度実績、特定技能に限らない)。
費用の点数は「最も安い3年総額÷その会社の3年総額×25」
足切りを通った会社のうち、3年総額が最も安い会社を25点とします。ほかの会社は、最も安い額をその会社の額で割り、25を掛けます。足切りで外れた会社は、どれだけ安くても計算に入れません。見積書の読み方は特定技能の見積書の読み方、月額の相場は登録支援機関の月額委託費の相場で詳しく扱っています。
記入例:最も安いC社が足切りで外れ、B社が残った
飲食料品製造業の会社が、国内在住者を2人採用し、紹介と支援の両方を頼む想定で記入例を示します。金額は仕組みを説明するための架空の数字で、相場を示すものではありません。費用は1人分で計算しています。
| 行 | A社 | B社 | C社 |
|---|---|---|---|
| 1 番号の照合 | ○ | ○ | ○ |
| 2 費用の額と内訳 | ○ | ○ | ○ |
| 3 本人負担・保証金なし | ○ | ○ | ○ |
| 4 書類の作成者 | ○ 行政書士が作成 | ○ 行政書士が作成し、企業と直接契約 | × 「こちらで全部作る」のみ |
| 5 分野の実績(20) | 4点→16 | 5点→20 | — |
| 6 定着の実績(10) | 3点→6 | 4点→8 | — |
| 7 担当体制(15) | 3点→9 | 4点→12 | — |
| 8 言語と緊急時(15) | 4点→12 | 3点→9 | — |
| 9 面談と記録(10) | 3点→6 | 4点→8 | — |
| 10 説明と対応(5) | 4点→4 | 3点→3 | — |
| 採点の小計(75) | 53.0 | 60.0 | — |
| 11 初期費用+紹介料 | 50万円 | 55万円 | 30万円 |
| (内訳)月額×36か月 | 2.5万円→90.0万円 | 2.8万円→100.8万円 | 1.8万円→64.8万円 |
| (内訳)追加費用の見込み | 年3万円×3年→9.0万円 | 0円(月額に含む) | 面談1回1万円×12回→12.0万円 |
| 12 3年総額 | 149.0万円 | 155.8万円 | 106.8万円 |
| 費用の点(25) | 25.0 | 23.9 | — |
| 合計(100) | 78.0 | 83.9 | 足切りで対象外 |
この記入例の読み方
C社は3年総額が最も低い一方で、申請書類を誰が作るのかを説明できませんでした。足切りの4行目で×になり、採点に進んでいません。書類の作成者があいまいなままでは、申請で問題が起きたときに、誰がどこまで責任を持つのかが分かりません。
A社とB社は、どちらも足切りを通りました。採点ではB社が7点上回り、費用ではA社が1.1点上回っています。合計はB社83.9点、A社78.0点です。3年総額の差は6.8万円で、月あたりにすると約1,900円。この差で分野の実績と担当体制を選ぶ、という説明なら、決裁者にも伝わりやすくなります。
点差が5点以内なら、優先順位の行で決める
合計点の差が5点以内なら、点数の差は誤差の範囲と考えます。そのときは「分野の実績→担当体制→3年総額」のように、自社が最も重視する行の順で比べて決めます。この順番も、採点の前に決めておきましょう。
社内稟議にそのまま使う:比較シートに添える1枚の書き方
稟議では、比較シートを添付し、その上に1枚の説明を付けます。決裁者が知りたいのは「なぜこの会社か」「3年でいくら、いつ払うか」「何が会社に残るか」の3つです。
図7比較シートに添える稟議書の6つの欄
- 1件名と結論
「B社に紹介と支援を委託したい」と1文で書きます。
- 2前提
分野、採用人数と時期、国内在住者か海外からか、任せたい範囲。
- 3比べ方
候補の集め方、送った質問の数、回答期限、足切りと採点の基準。
- 4結果
比較シートを添付し、合計点と3年総額を本文にも書きます。
- 5選定理由とリスク
選んだ理由を2〜3文で。解約の条件と、2027年4月の新基準への対応状況も。
- 6費用と承認事項
初期費用・月額・支払開始月。契約の締結と予算の承認を求めます。
「会社に残る責任」を1行書く
支援を全部委託しても、雇用契約、日本人と同等以上の報酬、労務管理、受入れ機関としての届出の責任は会社に残ります。定期届出は2025年4月から年1回(毎年4月1日〜5月31日に前年度分)になりました。雇用契約などを変えたときの随時届出は、14日以内です。誰が書類を準備し、誰が期限を管理するかを、稟議の段階で決めておきます。
差し戻されやすい3つの穴
- なぜその3社を候補にしたのか、集め方が書かれていない
- 費用が月額だけで、3年総額と支払いの時期がない
- 2027年4月の新基準に、委託先が対応できるかが書かれていない
3つ目は見落とされがちです。2027年4月1日から、登録支援機関は常勤の支援責任者・支援担当者を置き、担当者1人あたり受入れ機関10未満・1号外国人50人未満に収める必要があります。2027年7月31日までに登録が満了する機関は、施行日前に更新を申請した場合に限り、改正前の基準で更新できます。委託先の準備状況を1行書くだけで、決裁者の不安は小さくなります。
選定理由の文例
3社に同じ質問票(20問)と見積もりの形式を送り、足切り4項目・採点6項目・3年総額で比較した。C社は申請書類の作成者を説明できず、対象外とした。B社は飲食料品製造業での支援実績と担当体制でA社を上回り、合計83.9点で最も高い。3年総額はA社より6.8万円多いが、月あたり約1,900円の差であり、定着の実績を優先してB社を選定する。
自社で支援する案と比べるよう求められたら、自社支援と委託はどちらが得かの3年比較を添えると、話が早く進みます。
想定ケース:製材所(従業員90人)の管理部長が、比較シートで稟議を1回で通した理由
想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。
木材産業(製材所、従業員90人)の管理部長(50代)が、初めて特定技能の受け入れを検討した場面を想定したインタビューです。
- 質問票を送ってから稟議の承認まで約3週間。前回の検討では、2か月たっても結論が出なかった
- 稟議の差し戻しは0回。前回、外部委託の稟議を出したときは2回差し戻された
- 入社から6か月で定期面談の記録が2回共有され、現場の課長が読む時間は1回15分ほど
――比較シートを使って、何が一番変わりましたか。
役員会での説明が1回で済んだことです。前回は「なぜこの会社なのか」と聞かれて、営業担当の印象しか答えられませんでした。今回は12行の表と合計点、3年総額を見せて、「月あたり2,000円ほど高いけれど、製材所での支援実績がある」と説明しました。質問は2つだけで、その場で承認が出ました。
――そもそも、なぜ特定技能を検討したのですか。
製材と乾燥の工程で、半年求人を出しても日本人の応募が2人しかなかったんです。ベテランが休むと、機械を止めるしかない日もありました。1年以内に工程の人員を2人増やしたい、というのが出発点です。
――最初は、どんな状態でしたか。
3社から資料をもらったのですが、月額だけの会社、紹介料込みの総額だけの会社と、形式がばらばらでした。並べても比べられない。正直、一番安い会社でいいかと思いかけていました。そこで、こちらで12の行を決めて、同じ質問票を送り直しました。
――どこで迷い、何で決めましたか。
迷ったのは、3年総額が一番低かった会社です。ただ「申請の書類はどなたが作りますか」と聞くと、「こちらで全部やります」としか返ってこない。行政書士の名前を聞いても答えがなかったので、足切りで外しました。選んだ会社は、木材産業での支援人数を年ごとに出してくれました。分からない点は「確認して2日以内に回答します」と言って、本当に2日で返ってきた。そういうやり取りが重なって、ここなら任せられると感じました。
――入社後、つまずいたことはありますか。
寮のゴミの分別で、近所から一度苦情が来ました。担当の方が本人の母語で分別表を作り直してくれて、2週間ほどで落ち着きました。面談の記録は「本人が困っていること」と「現場への提案」が分けて書いてあるので、課長も15分ほどで読めます。比較シートは、契約の更新を考えるときにもう一度使うつもりです。
相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。
よくある質問
特定技能の会社には何社問い合わせればいい?
3社が目安です。2社では片方の答え方が基準になりやすく、4社以上になると回答の整理と面談の調整に時間がかかります。まず4〜5社の番号を確かめ、条件に合いそうな3社に同じ質問票を送る順番が無理のない進め方です。分野や地域によって対応できる会社が少ないときは、2社でも同じシートで比べられます。
比較シートは表計算ソフトと紙のどちらで作ればよいですか。
どちらでもかまいません。点数と3年総額の計算が入るので、表計算ソフトのほうが手間は少なくなります。稟議に添付するときは、12の行と3社の列が1枚に収まるよう、A4横かA3で印刷すると読みやすくなります。
紹介会社と登録支援機関を別々に選ぶときも、同じシートで比べられますか。
比べられます。ただし、紹介会社用と登録支援機関用の2枚に分けてください。紹介会社では、許可番号、手数料表、返金の制度の有無、紹介後6か月以内の離職状況を中心に見ます。これらは厚生労働省の人材サービス総合サイトで公開される項目です。2社の間の引き継ぎ方も、稟議で聞かれやすい点です。
質問への回答や見積もりを出してくれない会社は、どう扱えばよいですか。
期限を過ぎても答えがない項目は「未回答」と書き、その行は1点として扱います。費用の額と内訳が出ない場合は、足切りの2行目で×です。出入国在留管理庁のQ&Aでも、支援委託契約には費用の額と内訳を盛り込む必要があるとされています。
合計点が同じくらいのときは、どう決めればよいですか。
差が5点以内なら、採点の前に決めた優先順位の行で比べます。たとえば「分野の実績→担当体制→3年総額」の順です。それでも決まらなければ、現場の責任者が担当者と直接話し、受け答えの具体性を備考に書いて判断材料にします。
1人だけの採用でも、比較シートは必要ですか。
必要です。人数が少ないほど、1社の選び方が結果に直結します。少人数の受け入れを引き受けない会社もあるので、足切りの前に「1人でも対応できるか」を確かめる行を足すと、無駄な比較が減ります。進め方は特定技能を1人だけ採用したいで解説しています。
いま委託している会社の見直しにも使えますか。
使えます。今の会社を1列目に置き、候補2社と同じ行で比べてください。今の会社については、面談記録の共有の有無や、相談への返答までの日数など「実際に起きたこと」を書けるので、より正確に採点できます。2027年4月の新基準への対応状況も、必ず聞いておきたい行です。
比較シートを候補の会社に見せてもよいですか。
12の行、つまり何を比べるかは、最初から伝えてかまいません。見られる点が分かれば、各社も資料をそろえやすくなります。一方で、他社の回答や点数は見せないのが原則です。値下げ交渉の材料に使うと、正確な回答が得にくくなります。
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この記事の編集方針と出典
- 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
- 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
- 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
- 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
- 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。
出典
- 出入国在留管理庁「登録支援機関登録簿」(2026年10月8日)
- 出入国在留管理庁 有識者会議資料(登録支援機関の委託状況)(2023年4月末)
- 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月)
- 出入国在留管理庁「特定技能制度」(2026年10月)
- 出入国在留管理庁「登録支援機関の支援体制要件の改正(令和9年4月1日施行)」(2027年4月1日施行)
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日改正)
- e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月)
- e-Gov法令検索「行政書士法」(2026年1月1日施行の改正を含む)
- 岡山県「令和5年度 外国人介護人材の受入状況等に関するアンケート調査」(2023年9月1日時点)
- 福岡県「令和7年度 外国人介護人材の受入れ状況等に関するアンケート調査結果報告書」(令和7年度)
- 厚生労働省「地域ブロック別の職種別平均手数料額・分布について」(令和6年度実績)
- 厚生労働省「人材サービス総合サイト」(随時)
- 厚生労働省「職業安定法の改正(職業紹介事業者向け):情報提供が必要な事項」(2018年1月1日施行)
- e-Gov法令検索「職業安定法」(2026年10月)
最終更新:(2026年10月版)
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