特定技能のりあい窓口

https://tokutei-noriai.blog/2026/10/15/jisha-vs-itaku/ 印刷日:2026年10月15日

特定技能の人材紹介会社・登録支援機関を比べて相談できる窓口 全国オンライン対応

自社支援と委託はどちらが得か|3年間の費用と手間を比較

委託費だけを見ると自社支援が得に見える。社内の時間・通訳・当番・退職のリスクまで入れて3年で比べる

登録支援機関への委託費は、福岡県の介護事業所の調査で1人あたり月2万円台が最も多く、3年で数十万円になります。「自社でやれば、この費用が浮く」と考える経営者は少なくありません。ただ、自社支援にも、担当者の時間、通訳、休日・夜間の当番、支援が不十分だったときのリスクという費用がかかります。この記事では、自社支援と委託を、人件費・時間・リスクを含めた3年間の試算で比較し、人数別の比較表と、委託から自社支援に切り替えてよい判断ラインを示します。数字は公的資料と、前提を明示した編集部の試算です。

この記事の結論
  • 委託費だけで比べると判断を誤る:自社支援にも、1人あたり3年で約145時間の作業(編集部の試算)、通訳、休日・夜間の当番、体制づくりの費用がかかります。
  • 3人受け入れの試算では、自社支援が3年で約94万〜154万円少ない:ただし社内の時間は委託の約5倍(約455時間)。1人の退職で、差の多くが消えることもあります。
  • 1〜2人で通訳が要るなら委託が無難:差は3年で約10万〜50万円にとどまり、退職1人分の再採用費(参考:介護職の平均紹介手数料59.7万円)で逆転しうるからです。
  • 切り替えの判断ラインは6つの条件:基準を満たすこと、本人の言語を話す常勤の担当者、3人以上で言語がまとまっていること、担当者の時間、2人以上の当番、2027年4月以降の新基準への対応です。

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この記事の目次

自社支援と委託の比較:答えは「人数・言語・当番」で決まる

自社支援と委託のどちらが得かは、受け入れる人数、本人の言語を話せる職員の有無、休日・夜間の当番を回せるかで決まります。委託費だけを見ると、ほとんどの場合に自社支援が安く見えます。しかし社内の時間と退職のリスクまで入れると、1〜2人の受け入れでは差が小さくなり、退職が1人出るだけで逆転することもあります。

図13年間で比べるときの総額の考え方

3年の負担=外に払う費用委託費・通訳料など+社内の時間作業時間×時給換算の人件費+待機の負担休日・夜間の当番+リスク退職・行政処分への備え

委託は「外に払う費用」が大きく、自社支援は「社内の時間」と「待機」「リスク」が大きくなります。

比べるのは3年総額と社内の時間

特定技能1号は通算5年まで在留でき、受け入れの見通しは数年単位になります。そこでこの記事では、3年間の費用と社内の時間をそろえて比べます。お金に直せる部分は円で、直しにくい部分は時間とリスクの形で並べます。

この記事の試算の土台

自社支援の作業時間は、義務的支援10項目を自社でやった場合の編集部の試算を使います。1人あたり初年度約75時間、2年目以降は年約35時間で、3年で約145時間です。事前ガイダンス3時間程度、生活オリエンテーション8時間以上といった運用要領の目安に、準備・移動・記録の時間を加えて見積もりました。自社支援ができるかどうかは、特定技能の自社支援とはの判定表で先に確かめてください。委託費は、福岡県の調査で最も多かった「1人あたり月2万円以上3万円未満」の中ほど、月2.5万円を仮に置きます。

結論の早見表(編集部の試算にもとづく目安)

受け入れ実績がない会社は、委託しか選べません。2年後に判定し直します。1〜2人で、本人の言語を話す職員がいない会社は、委託が無難です。3人以上で、話せる常勤の職員がいて、当番を2人で回せる会社は、自社支援のほうが3年で100万円以上少なくなる可能性があります(3人で約150万円の試算)。迷ったら、第6章の6つの条件に○×をつけてください。

よくある思い込み

  • 自社支援なら費用はゼロ外に払う費用がなくなるだけで、担当者の時間、当番、通訳の費用は残ります。3人なら3年で約455時間の作業です(試算)。
  • 委託すれば会社は何もしなくてよい雇用契約、報酬、支援計画の作成、届出は受入れ企業の仕事として残ります。
  • 人数が少ないほど自社支援は楽当番の負担は人数にかかわらずかかるため、1人あたりの負担は少人数ほど重くなります。

特定技能の自社支援の費用:外に払わない代わりにかかる5つのコスト

自社支援の費用は、委託費がゼロになる代わりに、社内の5つのコストに形を変えます。いちばん大きいのは担当者の作業時間で、次が休日・夜間の当番、通訳です。

人件費は「時給換算」で見る

担当者の時間を円に直すには、給与に会社負担の社会保険料を足して、時間で割ります。協会けんぽの全国平均の料率などで計算すると、40〜64歳の従業員の会社負担は給与の約16.2%です(一般の事業、労災保険料を除く)。月給30万円(架空)の職員なら、30万円×1.162÷160時間で、時給換算は約2,200円になります。

自社支援でかかる5つのコスト(3年分。①④は1人あたり、②③は会社あたり。編集部の試算)
コスト中身試算の前提金額の目安
① 支援の作業時間10項目の実施、面談、相談、記録3年で約145時間×時給換算約2,200円約32万円
② 体制づくり支援計画書、記録の様式、当番表、申請書類初年度に約20時間(会社で1回)約4万円
③ 休日・夜間の当番相談を受けられる状態を保つ負担当番の手当を月1万円と仮定(会社で1回)約36万円
④ 通訳社内に本人の言語を話す人がいない場合3年で約40時間×1時間5,000円(架空)約20万円
⑤ 支援責任者の講習2027年4月から受講が必要に受講料・時間は公表を待つ確認が必要

見落としやすいのは③の「待機」

運用要領は、相談を1週間あたり勤務日に3日以上、休日に1日以上受け付け、夜間なども対応できる体制を求めています。電話が鳴らない日も、だれかが受けられる状態を保つ必要があります。これを手当や代休で支える費用は、人数が1人でも5人でもあまり変わりません。少人数ほど1人あたりの負担が重くなる理由です。

作業時間は1年目に偏る

約145時間のうち、約75時間は1年目にかかり、その半分以上は入社前後の2か月に集中します。事前ガイダンスは3時間程度、生活オリエンテーションは8時間以上が運用要領の目安です。2年目と3年目は、相談、3か月に1回以上の定期面談、日本語学習や交流の支援で、それぞれ年約35時間です。2人以上を同時に迎えると、説明会の形にできる項目があるため、1人あたりの時間は少し減ります。

自社支援と委託の3年比較表(3人を受け入れる場合の試算)

3人を受け入れる試算では、自社支援のほうが3年で約94万〜154万円少なくなります。一方で、社内の時間は委託の約5倍です。お金の差を、社内の時間と引き換えにしている構図が見えてきます。

3人・3年の比較(単位:万円。編集部の試算、給与・社会保険料は両方に共通のため除く)
費目委託自社(話せる職員あり)自社(通訳を手配)
委託費(月2.5万円×36か月×3人)27000
委託しても残る社内の時間(約90時間)約20——
支援の作業時間(約435時間)—約96約96
体制づくり(約20時間)—約4約4
休日・夜間の当番—約36約36
通訳——約60
3年の合計約290約136約196
社内の時間の合計約90時間約455時間約455時間

図23人・3年の負担の比較(編集部の試算)

  • 委託約290万円
  • 自社(通訳を手配)約196万円
  • 自社(話せる職員あり)約136万円
委託費は福岡県調査の最多区分「月2万円以上3万円未満」の中ほどを仮定し、人件費は協会けんぽなどの料率で時給換算しました。出典:福岡県「令和7年度 外国人介護人材の受入れ状況等に関するアンケート調査結果報告書」(令和7年度)、協会けんぽ「令和8年度の保険料率について」(2026年3月5日)をもとに編集部が試算

人数で差はどう変わるか

同じ前提で人数を変えると、1人では差が10万〜30万円ほど、2人では約50万〜90万円です。5人では約178万〜278万円に広がります。当番や体制づくりの費用は人数で割れるため、人数が増えるほど自社支援が有利になります。

人数別の3年の負担(単位:万円。編集部の試算)
人数委託自社(話せる職員あり)自社(通訳を手配)自社支援の社内の時間
1人約102約72約92約165時間(月約5時間)
2人約196約104約144約310時間(月約9時間)
3人約290約136約196約455時間(月約13時間)
5人約478約200約300約745時間(月約21時間)

委託の初期費用や送迎の交通費などの追加料金は、会社によって違うため入れていません。実際の見積もりでの比べ方は特定技能の見積書の読み方で解説しています。

前提を変えると結論も動く

この比較は、委託費の水準に大きく左右されます。3人の例で委託費を月1.5万円(「1万円以上2万円未満」の中ほど)にすると、委託の3年総額は約182万円です。通訳を手配する自社支援(約196万円)より少なくなります。逆に月3.5万円なら約398万円です。担当者の時給換算を3,000円にすると、話せる職員がいる自社支援は約173万円に上がります。自社の見積もりと給与で、表の数字を置き換えてみてください。

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登録支援機関に委託するメリット:委託費で買っているもの

委託費で買っているのは、作業の時間だけではありません。言語、中立な立場、途切れない体制、そして自社で基準を満たさなくてよいという制度上の扱いです。3人の試算で言えば、社内の時間を約455時間から約90時間に減らす対価とも言えます。

図3登録支援機関に委託する5つのメリット

  • 1時間

    社内に残る仕事は、雇用契約、届出、監督者としての面談、報告の確認が中心になります。

  • 2言語

    事前ガイダンスや相談を、本人が理解できる言語で行う手配を任せられます。

  • 3中立

    上司に言いにくい悩みを、外部の担当者が聞き取ります。

  • 4継続

    担当者の休みや退職でも支援が止まりにくく、2027年4月からは担当者1人あたりの上限もかかります。

  • 5基準の「みなし」

    全部委託すると、自社で支援体制の基準を満たさなくても、満たしたものとみなされます(入管法2条の5第5項)。

5は、受け入れ実績がない会社にとって、委託でしか得られないメリットです。

委託費の公的データ

福岡県の令和7年度調査では、外国人介護人材を受け入れる事業所の1人あたり月額委託費は「2万円以上3万円未満」が31.5%で最多でした。「1万円以上2万円未満」と「3万円以上4万円未満」がともに13.0%、「委託していない」は26.8%です(在留資格を問わない数字)。委託費に法令上の上限はなく、契約のときに額と内訳を示す決まりです(出入国在留管理庁Q&A)。分布の読み方は登録支援機関の月額委託費の相場、月額の中身は登録支援機関の支援費の内訳で詳しく扱っています。

委託先は「安さ」より「実績」で選ばれている

岡山県の令和5年度調査では、介護事業所が委託先(監理団体・登録支援機関)を選んだ理由は「実績がある」51.8%、「サポートが手厚い」50.0%でした。「費用が安い」は9.8%にとどまります(N=164、複数回答)。委託のメリットを生かすなら、委託費の安さより、支援の中身で選ぶことが前提になります。比べる項目は登録支援機関の選び方|比べる15項目にまとめています。

委託しても残る社内の仕事

雇用契約と報酬の支払い、支援計画の作成、年1回の定期届出と14日以内の随時届出は、委託しても受入れ企業の仕事です。この試算では、こうした時間を3人で3年約90時間と見ています。

特定技能の自社支援のデメリット:数字に出にくい4つのリスク

自社支援のデメリットは、表の金額に出にくいところにあります。担当者への集中、行政上のリスク、退職による損失、事務の増加の4つです。どれも、起きたときの損失が試算の差額を上回ることがあります。

担当者が1人に集中する

支援責任者と担当者を同じ人が兼ねる小さな体制では、その人の退職や異動で体制がすぐに崩れます。そのときは別の担当者を選ぶか全部委託に切り替え、14日以内に届け出る必要があります。後任が見つからないまま支援が滞れば、次に挙げる行政上のリスクにつながります。

行政上のリスク

支援計画が適正に実施されていないと、指導・助言や改善命令の対象になります。改善命令に違反すると、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象です(入管法71条の3)。支援を怠った会社は、その後5年間、自社支援の基準を満たせなくなります(基準省令2条2項5号)。支援計画の変更などの届出を怠ると、10万円以下の過料の対象です。

退職1人で差が消える

支援が行き届かずに1人が辞めると、再び採用する費用がかかります。参考までに、職業紹介を通じた介護職の平均手数料は全国で59.7万円でした(令和6年度実績、特定技能に限らない)。1人受け入れの試算の差(10万〜30万円)は、退職1人で簡単に逆転します。

1号の外国人は、同じ分野の中なら本人の意思で転職できます。日本政策金融公庫の調査(2025年2月公表)でも、最近5年間に外国人従業員の退職があった484社の退職理由は「日本で転職するため」が51.0%で最多でした。支援の質は、定着を通じて費用に跳ね返ります。

事務が増える

自社支援では、年1回の定期届出で支援の実施状況も報告します。相談記録書や面談報告書の作成と、契約終了から1年以上の保管も自社の仕事です。

委託から自社支援に切り替える判断ライン:6つの条件

切り替えてよいのは、次の6つの条件がそろうときです。①が×なら委託を続けるしかありません。②〜⑥に×が2つ以上あるなら、試算の差よりリスクのほうが大きいと考えて委託を続けるのが無難です。

図4委託から自社支援に切り替える6つの判断ライン(編集部の目安)

  • ① 基準を満たしている過去2年間の受け入れ実績(または生活相談の経験者)と、外国人を監督しない支援責任者・担当者がいる。
  • ② 話せる常勤の担当者がいる本人の言語を話す常勤の役職員が、支援担当者になれる。
  • ③ 3人以上で言語がまとまっている1号の外国人が3人以上で、言語が1〜2種類にまとまっている。
  • ④ 担当者の時間がとれる1人あたり初年度で月約6時間、2年目以降は月約3時間を、本業と別に確保できる。
  • ⑤ 当番を2人以上で回せる勤務日に週3日以上・休日に週1日以上、夜間も含めて相談を受けられる。
  • ⑥ 2027年4月以降も続けられる常勤の担当者を選び続け、支援責任者が養成講習を受けられる。
③と④は、この記事の試算から編集部が置いた目安です。自社の数字で計算し直してください。

判断ラインの使い方

①は、自社支援の基準そのものです。満たすかどうかは、特定技能の自社支援とは|登録支援機関に委託しない条件と体制の判定表で確かめます。②〜⑥は、年に1回、定期届出の準備の時期に見直すと、人の入れ替わりに気づけます。

条件がそろわない会社の中間策

条件の一部しか満たせない会社には、2つの中間策があります。1つは段階的な移行で、全部委託で受け入れながら実績と言語の体制を整え、2年後に判断し直します。もう1つは一部委託です。基準を満たしたうえで、生活オリエンテーションの実施など一部を外に頼めます。ただし定期面談は、全部委託の場合を除いて第三者に任せられず、一部委託では委託費と社内の手間の両方がかかる点に注意が必要です。

いまの委託先に不満があるだけなら

切り替えの動機が「委託先の対応が悪い」だけなら、自社支援より先に委託先の見直しを考えます。評価のしかたは外国人採用の経験がある会社の見直しポイントにまとめています。

委託をやめて自社支援に切り替える手順

判断ラインがそろったら、次の順で切り替えます。委託契約の終了日の翌日を自社支援の開始日にして、支援の空白を作らないことが要です。

  1. 契約書の解約条項を読む

    予告期間、解約の費用、記録の引き渡しの定めを確かめ、終了日を決めます。

  2. 支援責任者・担当者を選ぶ

    外国人を監督しない役職員から選び、当番表と通訳の方法を決めます。

  3. 記録を引き継ぐ

    委託先から、面談記録、相談の経緯、生活の契約の内容を受け取ります。

  4. 本人に説明する

    新しい相談先と連絡方法を、本人が理解できる言語で伝えます。

  5. 14日以内に届け出る

    支援計画の変更(第3-2号)と支援委託契約の終了(第3-3-2号)を、地方出入国在留管理局に出します。

届出と支援計画書の書き方

随時届出Q&Aによると、委託から自社支援に変えるときは、支援計画書(第1-17号)の登録支援機関の欄を消し、受入れ企業の欄に支援責任者などを書きます。届出は事由が生じてから14日以内に到達している必要があり、まだ起きていない日付で先に出すことはできません。解約条項の確かめ方は支援委託契約書のチェックポイントで解説しています。

切り替えのスケジュール例(架空)

契約書の予告期間が3か月の場合の例です。終了日の3か月前に書面で解約を伝え、2か月前までに支援責任者・担当者と当番表を決めます。1か月前に委託先から記録を受け取り、本人への説明会を開きます。終了日の翌日から自社支援を始め、14日以内に届け出ます。担当者が替わった後の初回の定期面談は、オンラインではなく対面が望ましいとされています。

費用を軽くする公的な制度も確認する

自社支援でも委託でも、外国人の職場定着のための助成金を確認する価値があります。人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)は、2026年10月1日以降に計画を出す場合の支給額が変わりました。雇用労務責任者の選任と、就業規則などの多言語化で20万円です。一時帰国の休暇制度も整えると25万円で、離職率などの要件があります。

想定ケース:特別養護老人ホーム(従業員85人)の施設長が、3年比較のうえで委託を続けると決めた理由

想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。

  • 「委託をやめれば3年で360万円浮く」という見方が、社内の時間・通訳・当番を入れると差は約136万円、1人の退職を見込むと約76万円と分かった(試算)
  • 自社支援にした場合の社内の時間が、3年で約600時間(月約17時間)になると数字で示せた
  • 委託を続けたうえで、追加料金の項目と判断ラインを1枚の表にし、法人の会議で共有できた

――3年で比べてみて、何が変わりましたか。

議論が「感覚」から「数字」になりました。介護分野の特定技能の4人を、全部委託で受け入れています。法人本部からは「委託をやめれば、月2.5万円×4人×36か月で360万円浮く」と言われていました。社内の時間、通訳、当番まで入れて計算し直すと、差は約136万円。1人が辞めた場合の再採用費として、介護職の平均紹介手数料59.7万円を差し引くと、約76万円まで縮みました。

――比較を始めたきっかけは。

人件費の見直しです。うちは技能実習の受け入れが長く、自社支援の基準の「受け入れ実績」は満たしています。だから本部は、当然できるものと考えていました。

――何に困っていたのですか。

4人の言語が2種類に分かれていて、どちらも話せる職員がいないことです。夜勤のある施設なので職員は24時間いますが、相談を受ける当番は介護の仕事とは別です。生活相談員が「私がやります」と手を挙げてくれましたが、その人1人に週末と夜の電話まで背負わせることになります。正直、それがいちばん怖かった。

――どこで迷い、何で決めましたか。

迷ったのは、76万円という差です。小さくはありません。決め手は時間でした。自社でやると3年で約600時間。月に17時間、生活相談員が現場から抜ける計算です。その穴を埋めるシフトを組むほうが、介護の質には響くと判断しました。本部の会議では、試算の表と一緒に、600時間を生活相談員の勤務表に落とした図を見せました。金額だけの議論では動かなかった本部が、勤務表を見て「これは無理だ」と納得してくれたのは意外でした。

――委託を続けるうえで、何を変えましたか。

委託先に、追加料金になる項目を一覧で出してもらいました。通訳の同席や病院への同行がどこまで月額に入るのかを契約に書き、3年総額の見込みを1枚の表にしています。月1回の報告は、10項目のどれを何回行ったかの形でもらうようにしました。私が委託先とのやり取りに使う時間は、いまも月3時間ほどです。委託費を「払っているだけのお金」ではなく、職員の時間を守る費用として本部に説明できるようになったのが、いちばんの収穫でした。

――今後、自社支援に切り替える可能性は。

あります。同じ言語の人が3人以上になり、その言語を話す常勤の職員が担当者になれて、当番を2人で回せる。この3つがそろったら、もう一度計算すると本部と決めました。2年後の定期届出の準備の時期に、見直す予定です。

相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。

よくある質問

委託をやめて自社支援に切り替えるには?

まず自社支援の基準(受け入れ実績、中立な支援責任者・担当者、言語、記録、面談の体制など)を満たすかを確かめます。次に委託契約の解約条項に沿って終了日を決め、記録を引き継ぎ、本人に新しい相談先を説明します。終了後14日以内に、支援計画の変更(第3-2号)と支援委託契約の終了(第3-3-2号)を届け出ます。

1人だけの受け入れなら、自社支援と委託のどちらが得ですか?

この記事の試算では、通訳が必要なら差は3年で約10万円と小さく、委託が無難です。社内に本人の言語を話す職員がいても差は約30万円で、退職が1人出れば逆転しうる幅です。休日・夜間の当番の負担が人数にかかわらずかかることも、少人数で自社支援が割高になる理由です。

自社支援にすると、外国人本人に費用を負担してもらえますか?

できません。自社支援でも委託でも、義務的支援の費用を本人に直接・間接に負担させることは認められていません。通訳の費用を給与から差し引くことも、この扱いに反します。

自社支援から、また委託に戻すことはできますか?

できます。支援計画の変更と、新しい支援委託契約の締結を、事由が生じてから14日以内に届け出ます。支援計画書は、受入れ企業の欄を消して登録支援機関の欄を書きます。担当者の退職などで体制が崩れたときに備え、戻し方を決めておくと安心です。

試算の時給換算は、どう計算すればいいですか?

担当者の月給に会社負担の社会保険料を足し、月の労働時間で割ります。協会けんぽの全国平均の料率などで計算すると、会社負担は40歳未満で約15.4%、40〜64歳で約16.2%です(労災保険料を除く)。健康保険組合に入っている会社は、料率が違うので自社の数字を使ってください。

委託費が高いのか安いのか、どう判断すればいいですか?

公的な調査の分布と、3年総額で比べます。福岡県の令和7年度調査では、1人あたり月額は「2万円以上3万円未満」が31.5%で最も多い区分でした。月額だけでなく、初期費用と追加料金を含めた3年総額で比べると、会社ごとの差が見えます。

2027年4月の改正で、どちらが得かは変わりますか?

自社支援の手間は増える方向です。常勤の役職員からの選任と支援責任者の養成講習が求められ、講習の費用や時間はまだ公表されていません。委託先にも担当者1人あたりの上限がかかるため、契約更新の前に費用と体制の見通しを聞いておきましょう。

「外国人は安く雇える」というのは本当ですか?

本当ではありません。特定技能の報酬は、日本人が同じ仕事をする場合と同等以上が必要で、そのうえに支援の費用や手間がかかります。よくある思い込みは外国人採用のよくある誤解10で公的データとあわせて整理しています。

この記事の編集方針と出典

  • 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
  • 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
  • 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
  • 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
  • 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。

出典

  1. 福岡県「令和7年度 外国人介護人材の受入れ状況等に関するアンケート調査結果報告書」(令和7年度)
  2. 厚生労働省「地域ブロック別の職種別平均手数料額・分布について」(令和6年度実績)
  3. 岡山県「令和5年度 外国人介護人材の受入状況等に関するアンケート調査」(2023年9月1日時点)
  4. 日本政策金融公庫総合研究所「中小企業等における外国人雇用に関するアンケート」(2025年2月21日公表)
  5. 全国健康保険協会(協会けんぽ)長野支部「令和8年度の保険料率について」(2026年3月5日)
  6. 日本年金機構「厚生年金保険料額表」(2026年10月確認)
  7. 山形労働局「令和8年度の雇用保険料率について」(2026年4月1日〜2027年3月31日)
  8. こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について」(2026年3月)
  9. 全国健康保険協会(協会けんぽ)栃木支部「令和8年10月分からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」(2026年10月分から)
  10. 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日一部改正)
  11. e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(第2条の5、第19条の18〜第19条の22、第71条の3、第77条の2)(2026年10月確認)
  12. e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月確認)
  13. 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月)
  14. 出入国在留管理庁「特定技能所属機関からの随時届出に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」(令和7年6月)
  15. 出入国在留管理庁「支援体制等の主な改正点」(2027年4月1日施行)
  16. 厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」(2026年10月1日改定)

最終更新:(2026年10月版)

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