特定技能のりあい窓口

https://tokutei-noriai.blog/2026/10/15/hitode-busoku-tokutei/ 印刷日:2026年10月15日

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日本人が採用できない会社の人手不足対策|特定技能を選ぶ判断基準

比べるのは国籍ではなく「仕事・期間・社内の手間」。応募が来ない会社のための判断マトリクス

求人を出しても日本人の応募が来ない。人手不足の対策として外国人の採用を考え始めたものの、何を選べばよいか決めきれない会社は少なくありません。特定技能か、ほかの在留資格か、まず日本人の採用を見直すべきか。この記事では、日本人採用の見直し、身分に基づく在留資格の人の採用、留学生のアルバイト、特定技能、育成就労の5つを比べる判断マトリクスを示します。比べる軸は「任せたい仕事」「働いてほしい期間」「社内で負える手間」の3つです。特定技能が向いている会社の条件、費用と期間の目安、最初の1か月にやることまで、2026年10月時点の公的資料で整理しました。

この記事の結論
  • 選ぶ軸は「仕事・期間・社内の手間」:現場の仕事をフルタイムで長く任せたいなら特定技能、短時間の穴なら日本人のパートや留学生のアルバイト、と3つの軸で候補が絞れます。
  • 日本人採用の見直しは並行して進める:外国人の採用は入社まで数か月かかります。求人票と賃金を3か月の期限で見直しながら、外国人採用の準備を同時に動かすのが現実的です。
  • 特定技能が向くのは条件がそろう会社:仕事が19分野に当たる、報酬を日本人と同等以上にできる、法令を守り届出と指導の担当を決められる。この3つを先に確かめます。
  • 費用と期間は3年単位で見る:在留資格の変更は標準1〜2か月、海外からの認定は1〜3か月。紹介料・委託費・給与を3年分で比べます。

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この記事の目次

結論:人手不足の外国人採用は「仕事・期間・社内の手間」で選ぶ

人手不足の対策として外国人を採用するなら、選ぶ基準は国籍でも費用の安さでもありません。任せたい仕事、働いてほしい期間、社内で負える手間の3つで、合う方法が決まります。

外国人の採用は、もう特別なことではなくなりました。外国人を雇用する事業所は371,215か所です(2025年10月末、厚生労働省)。届出が義務化された2007年以降で、最も多くなりました。そのうち63.1%は従業員30人未満の事業所です。日本政策金融公庫の調査では、外国人を雇う理由の1位が「人手が足りないから」の66.5%でした。

図1数字で見る、人手不足と外国人の採用

  • 371,215か所外国人を雇用する事業所2025年10月末・過去最高
  • 63.1%うち従業員30人未満の事業所2025年10月末
  • 66.5%外国人を雇う理由「人手が足りないから」公庫の調査・2024年9〜10月
  • 17.9%外国人を雇用している企業公庫の融資先3,948社の回答
外国人の採用は小さな事業所に広がっていますが、雇っている企業はまだ2割に届きません。公庫の調査は融資先が対象で、中小企業全体を代表しない可能性があります。出典:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」(2025年10月末)、同【概要版】(2025年10月末)、日本政策金融公庫総合研究所「中小企業等における外国人雇用に関するアンケート」(2025年2月21日公表)

この記事の判断マトリクスの使い方

比べる方法は5つです。日本人採用の見直し、身分に基づく在留資格の人の採用、留学生のアルバイト、特定技能、2027年4月に始まる育成就労です。この先の比較表で違いをつかみ、4つの問いで自社の欠員に当てはめます。

日本人採用の見直しを止めない理由

外国人の採用は、決めてから働き始めるまで数か月かかります。その間の欠員を埋めるのは、日本人や、すでに日本に住んでいる人の採用です。求人の条件や伝え方を直すことは、入社した外国人の定着にも効きます。働く条件が分かりやすい職場は、国籍を問わず人が辞めにくいからです。

日本人の応募が来ない対策:外国人採用の前に見直す5つのこと

応募が来ない原因は、多くの場合「条件」「見え方」「届け方」のどれかにあります。3か月の期限を決めて求人を直し、それでも埋まらない人数を外国人の採用で考える。この順番なら、どちらに進んでも準備が無駄になりません。

図2日本人の応募を増やすために見直す5つのこと

  • 1賃金:最低賃金の改定を確かめる

    2026年度の地域別最低賃金は全国加重平均1,177円で、前年度から56円上がります。都道府県ごとに10月1日〜12月2日にかけて順次発効します。求人の時給が改定後の額を下回っていないかを確かめます。

  • 2求人票:明示が必要な事項を書く

    2024年4月から、就業場所と業務の「変更の範囲」、有期契約を更新する場合の基準(更新の上限を含む)の明示が必要です。1日の仕事の流れと残業の月平均も書くと、比べてもらいやすくなります。

  • 3出し先:1つに頼らない

    ハローワークだけに出しているなら、地域の求人誌、学校、職業紹介事業者など2つ以上に広げます。

  • 4返事の速さ:3日以内に連絡する

    応募から面接日の連絡まで何日かかっているかを数えます。返事が遅いと、その間に他社に決まります。

  • 5年齢と経験:条件を外せないか

    募集・採用では、年齢にかかわりなく均等な機会を与えることが法律で求められています(労働施策総合推進法9条。例外あり)。経験を問わない仕事は、経験の条件も外します。

1〜5を3か月続けても埋まらない人数が、外国人の採用で考える人数の目安になります。出典:厚生労働省「令和8年度最低賃金額答申」(2026年9月3日公表)、厚生労働省「令和6年4月から募集時等に明示すべき事項が追加されます」(2024年4月1日施行)、e-Gov法令検索「労働施策総合推進法」(2026年10月時点)

欠員を「人数×時間帯×期間」で書き出す

判断の前に、足りない人手を数字にします。「早朝5時〜9時に2人」「11月〜12月だけ3人」「通年でフルタイム1人」のように書き出すと、穴の形が見えます。短時間の穴と、フルタイムで長く必要な穴では、合う方法がまったく違います。

3か月で区切る理由

求人の見直しは、効果が出るまで時間がかかります。外国人の採用も、準備から入社まで数か月かかります。見直しの期限を3か月と決め、その間に外国人採用の情報集めと社内の点検を並行させると、判断が遅れません。

外国人を採用する方法の比較表:働ける仕事・期間・会社の手続き

外国人の採用方法は、相手の在留資格で決まります。現場の仕事をフルタイムで長く任せたいなら、特定技能か育成就労が候補です。すぐに、時間帯を問わず働いてほしいなら、身分に基づく在留資格の人が候補になります。

図3人手不足を埋める5つの方法の比較(判断マトリクスの表)

働ける仕事・時間と期間・会社の手続き・働き始めるまで(2026年10月時点)
方法働ける仕事時間・期間会社の主な手続き働き始めるまで
日本人採用の見直し制限なし契約しだい求人票・条件の見直し応募しだい
身分に基づく在留資格の人(永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者)活動の制限なし契約しだい在留カードの確認、ハローワークへの届出日本人の採用とほぼ同じ
留学生のアルバイト(資格外活動許可)許可の範囲(風俗営業等は不可)原則週28時間以内(掛け持ちは合計)在留カードと許可の確認、届出日本人の採用とほぼ同じ
特定技能1号19分野の決められた業務フルタイム、通算5年まで協議会への加入、支援計画、入管への申請と届出国内在住:変更許可の標準1〜2か月/海外から:認定の標準1〜3か月+査証
育成就労(2027年4月1日開始)人手不足分野で、特定技能1号の水準まで育成原則3年3年間の計画の認定、監理支援機関による監理支援(単独型もある)2027年4月以降
「すぐ」なら身分に基づく在留資格の人、「短時間」なら留学生、「フルタイムで長く」なら特定技能か育成就労が候補です。出典:厚生労働省「外国人雇用はルールを守って適正に」(令和8年6月版)、出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月)、出入国在留管理庁「育成就労制度に関するQ&A」(2026年10月)

すぐに働けるのは「就労制限なし」の人

永住者や定住者など、身分に基づく在留資格の人は、在留中の活動に制限がありません。手続きは日本人の採用とほぼ同じで、在留カードを確かめ、雇い入れたらハローワークに外国人雇用状況を届け出ます。雇用保険の被保険者なら、資格取得届を翌月10日までに出せば届出を兼ねます。技術・人文知識・国際業務など就労目的の在留資格は、それぞれ定められた範囲の仕事に限られる点が違います。

留学生のアルバイトは週28時間まで

留学生は資格外活動の許可を受けて働きます。時間は原則週28時間以内で、掛け持ちは合計で数えます。早朝や夕方の短時間の穴には合いますが、フルタイムの欠員は埋められません。許可を超えて働かせると、雇った会社が不法就労助長罪に問われ得ます(現行は3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、併科あり)。

育成就労は「3年かけて育てる」制度

技能実習に代わる育成就労は、2027年4月1日に始まります。3年間の就労を通じて特定技能1号の水準まで育てる制度で、受入れ企業は最初に3年間の計画の認定を受けます。本人の意向による転籍は、技能と日本語の水準を満たし、分野ごとに1年以上2年以下で決まる期間を過ぎれば、同じ業務区分の中でできます。即戦力なら特定技能、育てる前提なら育成就労と考えると整理できます。

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判断マトリクス:4つの問いで自社に合う方法を選ぶ

4つの問いに順に答えると、候補は1〜2つに絞れます。問いは、あとから変えにくい条件から順に並べました。

図4自社に合う方法を絞り込む4つの問い

  1. 問1:任せたい仕事は、特定技能の19分野の業務区分に当たるか当たらなければ、特定技能と育成就労は使えません。日本人の採用と、身分に基づく在留資格の人の採用が中心になります。
  2. 問2:フルタイムで1年以上働いてほしいか短時間・短期なら、日本人のパートや留学生のアルバイトが合います。特定技能はフルタイムが前提で、1人が複数の会社で働くことはできません。
  3. 問3:働き始めるまで何か月待てるか特定技能は、国内在住者でも在留資格の変更に標準1〜2か月かかります。海外からは認定に標準1〜3か月、その後に査証と入国の期間が加わります。
  4. 問4:届出と指導の担当を社内で決められるか1号には10項目の支援が義務で、登録支援機関に全部委託できます。ただし届出や雇用契約の責任は会社に残るため、担当者を1人決めます。
問1と問2の答えが「はい」なら、特定技能と育成就労が候補に残ります。出典:出入国在留管理庁「特定技能制度」(2026年10月)、出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月)

図5欠員のタイプ別に向く方法

  • ① 短時間の穴(早朝・夕方など)日本人のパート・アルバイト、留学生のアルバイト(週28時間以内)。
  • ② フルタイムで、すぐ必要身分に基づく在留資格の人。国内在住の特定技能人材も候補ですが、許可まで1〜2か月はかかります。
  • ③ フルタイムで長く、即戦力がほしい特定技能1号。2号がある分野なら、5年を超えて働く道もあります。
  • ④ フルタイムで長く、育てるつもりがある2027年4月からの育成就労。3年で1号の水準まで育てます。
1つの会社で①〜④が混ざるのが普通です。欠員ごとに分けて当てはめます。

繁忙期だけの欠員はどう考えるか

特定技能は直接雇用のフルタイムが原則で、数週間だけ雇う使い方には向きません。農業と漁業に限っては派遣での受け入れも認められていますが、派遣元は農業・漁業の関係者や地方公共団体が関わる者などに限られます。繁忙期だけの欠員は、日本人の期間雇用やアルバイトと組み合わせて考えます。

迷ったら「1年後に何人足りないか」で決める

今月の欠員だけを見ると、すぐ働ける方法に目が向きます。退職の予定と繁忙期を入れて1年後の人数を数えると、長く働ける方法の比重が上がります。60代のベテランが多い職場ほど、この差は大きくなります。

特定技能が向いている会社・向いていない会社

特定技能が向いているのは、仕事が19分野に当たり、報酬を日本人と同等以上にでき、教える人と届出の担当を決められる会社です。短時間の穴埋めが目的の会社や、受入れ機関の基準を満たせない会社には向きません。

向いている会社の条件

  • 任せたい仕事が、19分野のどれかの業務区分に当たる(関連業務だけを専らさせない)
  • フルタイムの直接雇用で、日本人が同じ仕事をする場合と同等以上の報酬を払える
  • 労働・社会保険・租税に関する法令を守っている
  • 雇用契約の前1年以内に、同じ業務の労働者を会社都合で離職させていない(定年・自己都合などは除く)
  • 現場で教える人を1人、届出の担当を1人決められる

向いていない、または先に確かめたいケース

  • 繁忙期の数週間だけ人がほしい(直接雇用が原則で、派遣が認められるのは農業と漁業だけ)
  • 外食業で、海外から新しく呼びたい(2026年4月13日から認定証明書の交付を一時停止中)
  • 介護・建設で、常勤の職員数を超える人数を受け入れたい(この2分野だけ会社ごとの上限がある)
  • 給与を、同じ仕事の日本人より低くしたい

図6分野ごとの受入れ見込数(上限)に対する在留者数(2026年7月末・速報)

  • 外食業49,290人/50,000人(98.6%)
  • 飲食料品製造業101,922人/133,500人(76.3%)
  • 建設52,366人/76,000人(68.9%)
  • 介護81,436人/126,900人(64.2%)
  • 特定技能1号の合計432,016人/805,700人(53.6%)
上限に近い分野ほど、外食業のように新規の受け入れが止まる可能性があります。自社の分野の状況も、向き不向きを左右します。出典:出入国在留管理庁「受入れ見込数と在留者数(2026年7月末速報)」(2026年7月末)、出入国在留管理庁「特定技能1号(外食業分野)の審査状況」(2026年9月10日掲載)

5年後をどう考えるか

1号の在留は通算5年までです。2号がある分野なら、試験などに合格すれば更新の上限なく働けます。介護には2号がなく、介護福祉士を取って在留資格「介護」に移る道があります。長く働いてほしい会社は、自社の分野に2号があるかを最初に確かめます。受入れ機関の基準の全体は特定技能の受入れ機関の基準で確認できます。

中小企業の人手不足対策:外国人採用にかかる費用と期間の目安

特定技能の費用は「採用の費用」「支援の費用」「給与と社会保険」の3つに分かれます。報酬は日本人と同等以上が条件なので、人件費を下げる手段にはなりません。

費用の目安になる公的データ

登録支援機関などへの月額委託費は、1人あたり「2万円以上3万円未満」が31.5%で最も多い区分でした。福岡県の令和7年度調査で、在留資格を問わない数字です。職業紹介を通じた介護職の平均手数料は全国で59.7万円です(厚生労働省、令和6年度実績、特定技能に限らない)。製造業などの職種別の公的な平均は見当たらないため、見積もりで確かめます。在留資格の変更・更新の手数料は、2026年10月1日に改定されました。許可される期間に応じて、窓口で10,000円〜75,000円です。海外から呼ぶときの在留資格認定証明書の交付申請は無料です。

賃金の参考として、令和7年の賃金構造基本統計調査(一般労働者)では、在留資格「特定技能」の賃金は月221.4千円でした。平均年齢は29.5歳、平均勤続年数は2.4年です。

図7外国人を雇う企業の困りごと(三つまで回答)

  • 採用費用(渡航費や手数料など)が想定よりも高い27.8%
  • 入管の手続きに時間や手間がかかる26.9%
  • 在留できる年数が短い24.2%
困りごとが「ある」と答えた654社の回答です。費用・手間・期間の3つは、採用を決める前に見積もれます。出典:日本政策金融公庫総合研究所「中小企業等における外国人雇用に関するアンケート」(2025年2月21日公表)

期間の目安

標準処理期間は、国内在住者の在留資格の変更が1〜2か月、海外から呼ぶ場合の在留資格認定証明書が1〜3か月です。その前に、分野の協議会への加入が必要です。たとえば飲食料品製造業の食品産業特定技能協議会は、加入審査に2〜3か月かかるとされています。費用の詳しい比べ方は特定技能と日本人採用のコスト比較にまとめました。

外国人採用の判断でよくある5つの思い込み

判断を誤らせるのは、制度の難しさより思い込みです。よく聞く5つを、公的な資料で確かめておきます。

  • 外国人を採用すれば、人件費が下がる特定技能の報酬は、日本人が同じ仕事をする場合と同等以上が条件です。国籍を理由に賃金などで差別的に扱うことは、労働基準法3条でも禁じられています。
  • 留学生を増やせば、フルタイムの欠員も埋まる資格外活動で働けるのは原則週28時間以内で、掛け持ちは合計で数えます。
  • 特定技能の人なら、来週から働ける日本に住む人でも、在留資格の変更許可を受けてから働き始めます。同じ分野で転職する人も同じです。
  • 外国人はすぐ辞めるから、採っても無駄公庫の調査で、外国人従業員の退職理由の1位は「日本で転職するため」51.0%でした。半数は、日本の別の会社へ移るための退職です。条件と職場づくりで差が出ます。
  • 国籍で選べば失敗しない職業安定法3条は職業紹介などでの国籍による差別的取扱いを禁じ、外国人雇用管理指針も募集で国籍の条件を付けないよう求めています。比べるのは仕事の経験と日本語、支援できる言語です。

思い込みは「相談する前」に入り込む

思い込みが入りやすいのは、相談先の話を聞く前です。「安く雇える」と思って相談すると、同等以上の報酬の説明で計画が崩れます。「すぐ来られる」と思っていると、審査の期間を待てずに判断を急ぎます。前提を先にそろえておけば、相談先の説明が正しいかどうかも見分けられます。

確かめる先は公的なページ

制度のルールは、出入国在留管理庁の「特定技能制度」のページとQ&Aで確かめられます。分野ごとの細かな決まりは、所管省庁のページと分野別の運用要領にあります。相談先の説明と食い違うときは、公的なページを優先してください。辞める理由のデータと対策は特定技能外国人の定着率を上げる方法、受け入れでつまずきやすい場面は特定技能の受け入れでよくある失敗10で詳しく扱っています。

最初の1か月でやること:外国人採用を判断する7つの手順

判断に必要な材料は、1か月あればそろいます。社長が決めるのは最後の1回で、それまでは担当者が数字を集めます。

図8人手不足の会社が外国人採用を判断するまでの7つの手順

  1. 欠員を数字にする(1週目)

    人数・時間帯・期間・必要な技能を1枚に書き出します。1年後の退職予定も入れます。

  2. 日本人の求人を直す(1週目)

    賃金、明示が必要な事項、出し先、返事の速さを見直し、3か月の期限を決めます。

  3. 仕事の分野を確かめる(1〜2週目)

    任せたい仕事が19分野のどの業務区分に当たるかを、出入国在留管理庁の分野別のページで確かめます。

  4. 自社の基準を点検する(2週目)

    労働・社会保険・税の法令の遵守、過去1年の会社都合の離職、社会保険料の納付書類を確かめます。

  5. 2〜3社に同じ質問をする(2〜3週目)

    人材紹介会社と登録支援機関に、分野の実績、費用の内訳、入社までの期間を聞きます。許可番号と登録番号も確かめます。

  6. 3年の予算を組む(3週目)

    紹介料+月額の委託費×36か月+住まいなどの準備費用を出し、給与・社会保険は別枠で見ます。

  7. 社内に説明して決める(4週目)

    教える人と届出の担当を決め、受け入れるか、何人から始めるかを判断します。

手順5で集めた答えを並べると、会社ごとの違いが見えてきます。出典:e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月時点)、出入国在留管理庁「特定技能制度」(2026年10月)

判断の結果は3つのどれかになる

手順を終えると、結論は次の3つのどれかに落ち着きます。「特定技能を進める」「日本人と身分に基づく在留資格の人の採用に絞る」「育成就労が始まる2027年4月以降に改めて考える」です。どれを選んでも、欠員の書き出しと求人の見直しはそのまま使えます。

人数と会社の状況で、次に読む記事

何人から始めるかで、進め方は変わります。1人なら特定技能を1人だけ採用したい、5人以上なら特定技能を5人・10人以上採用する、専任の担当者がいない会社は中小企業が特定技能を受け入れる進め方が参考になります。紹介会社の比べ方は特定技能の人材紹介会社の選び方、すでに外国人を雇っている会社は外国人採用の経験がある会社の見直しポイントもあわせて確かめてください。

想定ケース:水産加工会社(従業員38人)の管理部長が、日本人の求人見直しと特定技能を並行させた理由

想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。

水産加工会社で採用と労務を担う管理部長(60代)に聞きました。応募が来ない状態から、日本人の採用と特定技能の受け入れを同時に進めた1年の話です。

  • 求人票を書き直して3か月で日本人のパートが2人入り、早朝の欠員は月8日から2日に減った
  • 特定技能の2人が入社し、人手不足で加工ラインを止めた日は月3日から0日になった
  • 受け入れにかかる社内の時間は、管理部長が月3時間、ライン長が週1時間ほどに収まった

――1年で、何が変わりましたか。

ラインを止めずに済むようになりました。以前は人が足りず、月に3日ほど加工ラインを止めていたんです。いまは0日です。早朝の欠員も、月8日から2日に減りました。日本人のパートさんが2人、特定技能の2人が入ってくれたおかげです。

――検討を始めたきっかけは。

ハローワークに出した求人に、半年で応募が1件だけでした。工場は朝5時に始まります。パートさんの平均年齢は60歳を超え、2年以内に3人が辞める予定でした。社長から「外国人の採用も考えてほしい」と言われ、私が担当になりました。

――最初に迷ったのは、どこですか。

何から手を付けるかです。最初に話を聞いた会社は、すぐ特定技能で、という勢いでした。でも、入社まで数か月かかると聞いて、その間の欠員をどうするかが抜けていると気づいたんです。それで、日本人の求人の見直しと特定技能の準備を並べて進めることにしました。求人票には1日の仕事の流れと残業の月平均を書き足し、時給も最低賃金の改定に合わせて上げました。

――特定技能の相談先は、どう選びましたか。

3社に同じ質問をしました。決め手は、1社が最初の打ち合わせで「選別や包装だけの作業は、この分野の対象になりません」と言ったことです。うちの仕事を、製造・加工の工程を中心に組み直す必要がありました。耳の痛い話でしたが、先に言ってもらえて助かりました。協議会の加入審査に2〜3か月かかることも、その会社に教わりました。候補者探しと並行して早めに加入を申し込んだので、待ち時間が重なりませんでした。

――社内の反応や、費用の判断はどうでしたか。

正直に言うと、現場が戸惑うのではと心配していました。ライン長を面接に同席させ、本人と直接話してもらったら、空気が変わりましたね。費用は月額だけで見ず、紹介料と委託費を3年分足して、求人広告を出し続けた場合と並べました。社長が決めたのは、その表を見てからです。

――受け入れてみて、つまずいたことは。

衛生のルールです。帽子のかぶり方や手洗いの順番を、言葉だけで伝えるのは無理でした。ライン長が写真つきの手順書を作り、本人たちの言語の訳を委託先に付けてもらいました。手取りの説明も、寮費の控除を入れた見本を1枚作ってからは、質問が減りました。2027年4月に業務区分が「水産加工業」に分かれると聞いているので、更新の時期には委託先と確かめるつもりです。

相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。

よくある質問

外国人採用を始めるべきか迷ったら?

欠員を「人数・時間帯・期間」で書き出し、この記事の4つの問いに当てはめてください。フルタイムで1年以上の欠員が続き、仕事が19分野に当たるなら、特定技能を検討する価値があります。日本人の求人の見直しは並行して進めます。相談先を比べたい場合は、特定技能のりあい窓口が条件に合う人材紹介会社・登録支援機関を最大3社まで無料で紹介します。順位は付けず、選ぶのは御社です。掲載している会社から紹介手数料を受け取る場合がありますが、手数料の有無で提案の順番や内容は変えません。

永住者や定住者の外国人を雇うときの手続きは?

日本人を雇う場合とほぼ同じです。在留カードで在留資格と「就労制限の有無」を確かめ、雇い入れたらハローワークに外国人雇用状況を届け出ます。届出をしない、または虚偽の届出をすると、30万円以下の罰金の対象になります。

留学生のアルバイトだけで人手不足を埋められますか?

短時間の欠員なら埋められますが、フルタイムの欠員は埋められません。資格外活動の許可で働けるのは原則週28時間以内で、掛け持ちは合計で数えます。卒業後も働いてもらうには、仕事に合った在留資格への変更が必要です。

特定技能と育成就労は、どちらを選べばよいですか?

試験に合格した即戦力を求めるなら特定技能、3年かけて育てる前提なら育成就労です。育成就労は2027年4月1日に始まり、受入れ企業は3年間の計画の認定を受けます。どちらも、自社の分野で受け入れが認められているかを先に確かめます。

日本人の採用を続けながら、特定技能も受け入れられますか?

受け入れられます。注意したいのは、雇用契約の前1年以内に、同じ業務の労働者を会社都合で離職させていないことが基準になっている点です。定年や自己都合の退職などは除かれますが、人員の整理を予定している会社は時期を確かめてください。

水産加工の仕事は、特定技能のどの分野になりますか?

飲食料品製造業分野です。2027年4月1日からは、業務区分が「飲食料品製造業」と「水産加工業」に分かれます。単なる選別や包装だけの作業は製造・加工に当たらないため、任せる工程を確かめます。在留申請の前に、食品産業特定技能協議会への加入も必要です。

外国人を受け入れる会社が使える助成金はありますか?

厚生労働省の人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)があります。2026年10月1日以降に計画を出す場合の支給額は、雇用労務責任者の選任と就業規則などの多言語化で20万円です。一時帰国の休暇制度も整えると25万円になります。計画期間後6か月の離職率が15%以下であることなどが要件です。

決めてから、どのくらいで働き始めてもらえますか?

国内に住む人なら、在留資格の変更の標準処理期間が1〜2か月です。海外から呼ぶ場合は、在留資格認定証明書の標準処理期間1〜3か月に、査証の取得と入国の期間が加わります。分野の協議会への加入も申請の前に必要です。日程の組み方は特定技能を急いで採用したいで解説しています。

この記事の編集方針と出典

  • 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
  • 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
  • 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
  • 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
  • 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。

出典

  1. 厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」(2025年10月末時点・2026年1月30日公表)
  2. 厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況【概要版】」(2025年10月末時点)
  3. 日本政策金融公庫総合研究所「中小企業等における外国人雇用に関するアンケート」(2025年2月21日公表)
  4. 厚生労働省「外国人雇用はルールを守って適正に」(リーフレット)(令和8年6月版)
  5. 出入国在留管理庁「特定技能制度」(2026年10月)
  6. 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月)
  7. 出入国在留管理庁「育成就労制度に関するQ&A」(2026年10月)
  8. 出入国在留管理庁「受入れ見込数と在留者数(2026年7月末速報)」(2026年7月末)
  9. 出入国在留管理庁「特定技能1号(外食業分野)の審査状況」(2026年9月10日掲載)
  10. 出入国在留管理庁「特定技能 飲食料品製造業分野」(2026年9月4日現在)
  11. 出入国在留管理庁「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領(飲食料品製造業分野)」(令和8年8月28日一部改正)
  12. 農林水産省「食品産業特定技能協議会」(2026年10月)
  13. 出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」(2026年10月)
  14. 厚生労働省「令和8年度最低賃金額答申」(2026年9月3日公表)
  15. 厚生労働省「令和6年4月から募集時等に明示すべき事項が追加されます」(2024年4月1日施行)
  16. 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況(在留資格区分別)」(令和7年調査)
  17. 福岡県「令和7年度 外国人介護人材の受入れ状況等に関するアンケート調査結果報告書」(令和7年度)
  18. 厚生労働省「地域ブロック別の職種別平均手数料額・分布について」(令和6年度実績)
  19. 厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」(2026年10月1日改定)
  20. e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月時点)
  21. e-Gov法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(2026年10月時点)
  22. e-Gov法令検索「職業安定法」(2026年10月時点)
  23. e-Gov法令検索「労働基準法」(2026年10月時点)
  24. 労働政策研究・研修機構「外国人雇用管理指針」改正告示(2026年5月29日)
  25. 厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」(2026年10月)

最終更新:(2026年10月版)

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