特定技能のりあい窓口

https://tokutei-noriai.blog/2026/10/15/teichaku-ritsu/ 印刷日:2026年10月15日

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  • 2026年10月版

特定技能外国人の定着率を上げる方法|辞める理由のデータと対策

辞める理由の半分は「日本での転職」。最初の転職の86.6%は、資格を得てから2年以内に起きています

特定技能の外国人を採用したものの、育てた人が1年ほどで別の会社へ移ってしまった。次こそ定着してほしいが、何から手を付ければよいのか分からない。そんな経営者・採用担当者に向けて、特定技能外国人の定着策を公的データから逆算しました。使うのは、日本政策金融公庫の調査にある退職理由と、出入国在留管理庁が公表した転職の時期です。入社前・入社から3か月・1年の時期ごとに、誰が何をどのくらいの頻度で行うかを表にまとめ、定着支援を外部に任せるときの確かめ方も紹介します。

この記事の結論
  • 退職理由の1位は「日本で転職するため」51.0%:会社が手を打てる理由です。お金・人・将来の見通しのどこで比べられているかを確かめると、対策が絞れます。
  • 最初の転職は資格を得てから2年以内に集中:1年未満が44.5%、1〜2年が42.1%です。入社前の説明、最初の3か月の声かけ、1年目の評価と昇給が3つの山になります。
  • 定着率は「1年後に何人中何人が在籍しているか」で測る:委託先を選ぶときも、この形で実績を聞くと比べやすくなります。

相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。

この記事の目次

特定技能の定着は「入社前・3か月・1年」の3つの時期で決まる

特定技能外国人の定着率を上げる近道は、退職理由の多くを占める「日本での転職」を、それが起きやすい時期の前に手当てすることです。公的データでは、退職理由の1位は「日本で転職するため」で、最初の転職は資格を得てから2年以内に集中しています。

そこでこの記事では、定着策を「入社前」「入社から3か月」「1年」の3つの時期に分けて示します。大きな予算は要りません。必要なのは、誰がいつ何をするかを先に決めておくことです。

図1特定技能の定着を考えるための4つの数字

  • 51.0%退職理由「日本で転職するため」最近5年間に外国人の退職があった484社の回答(複数回答)
  • 22.4%1号を得た後に転職した人の割合2021〜2024年に資格を得た341,253人のうち76,338人
  • 44.5%最初の転職が資格取得から1年未満1〜2年が42.1%で、合わせて86.6%
  • 3か月に1回以上義務になっている定期面談本人と、指示を出す立場の上司の双方と行う
辞める理由の半分は「転職」で、その多くは資格を得てから2年以内に起きています。出典:日本政策金融公庫総合研究所「中小企業等における外国人雇用に関するアンケート」(2025年2月21日公表)、出入国在留管理庁「1号特定技能外国人の転職状況」(2025年8月末集計・暫定値)、出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日改正)

「外国人はすぐ辞める」は、データでは言えない

同じ公庫の調査は、外国人正社員を雇う402社に、同じ仕事をする日本人正社員と比べた定着率を聞いています。答えは「同じくらい」54.5%、「高い」26.4%、「低い」6.7%でした。外国人だから辞めやすい、とは言えません。

ただし特定技能1号は、同じ分野の中なら本人の意思で転職できます。他社との条件の差が見えやすく、地方から都市部へ移る動きもあります。だからこそ、会社が変えられる部分に先回りして手を打つ意味があります。

この記事で使う「定着率」の定義

ここでは定着率を「入社から1年後に在籍している人数÷入社した人数」で考えます。5人が入社して1年後に4人残っていれば80%です。3か月後・6か月後にも同じ計算をしておくと、どの時期に人が離れるのかが自社の数字で分かります。

退職理由のデータ:半分は「日本での転職」、3割は「母国で働く」

退職理由のうち、会社の取り組みで減らせるのは主に「日本での転職」です。「母国で働く」「家族の事情」は止めにくい理由ですが、時期を予測して後任を育てる準備はできます。

図2外国人従業員の退職理由(複数回答・上位5つ)

  • 日本で転職するため51.0%
  • 母国で働くため30.2%
  • 家族の事情のため26.0%
  • 結婚や出産のため12.6%
  • 病気のため4.1%
最近5年間に外国人従業員の退職があった484社の回答で、在留期間の満了による退職は含みません。「日本で転職するため」が2位の約1.7倍です。出典:日本政策金融公庫総合研究所「中小企業等における外国人雇用に関するアンケート」(2025年2月21日公表、調査は2024年9〜10月)

「転職」の裏にある3つの比較

転職を考える人は、今の職場をほかの職場と比べています。比べられるのは主に次の3つです。

  • お金:基本給だけでなく、残業代や寮費を差し引いた手取りと、昇給の見込み
  • 人:困ったときに相談できる人、仕事を教えてくれる人がいるか
  • 将来:1年後・3年後にどんな仕事を任され、給料がどう変わるか

本人の側の声も見ておきます。出入国在留管理庁の在留外国人基礎調査は、在留資格を問わない調査です。仕事について答えた7,706人の困りごとの1位は「給料が低い」29.1%でした。一方で「特にない」も54.2%あり、お金だけで人が動くわけではありません。理由ごとの詳しい分け方は特定技能外国人が辞める理由の記事で整理しています。

止めにくい理由には「準備」で備える

「母国で働くため」30.2%、「家族の事情のため」26.0%は、会社の努力だけでは変えにくい理由です。それでも面談で家族の状況や将来の予定を聞いておけば、退職の時期をある程度予測できます。後任の採用を半年前から始められれば、現場の混乱は小さくなります。

家族と離れて暮らすことが理由なら、まとまった休みを取りやすくする、2号への移行で家族を呼べる道を示す、といった手もあります。1号は家族の帯同が原則できませんが、2号は要件を満たせば帯同できます。

いつ辞めるのか:最初の転職は資格を得てから2年以内に集中

定着策は、転職が起きる前に打たなければ間に合いません。出入国在留管理庁の集計では、2021〜2024年に1号の資格を得た人のうち、転職した人は76,338人です。そのうち最初の転職が1年未満だった人が44.5%、1〜2年が42.1%でした。

図3資格取得から最初の転職までの期間(転職経験者76,338人の内訳)

  • 1年未満(33,963人)44.5%
  • 1〜2年(32,123人)42.1%
  • 2〜3年(9,010人)11.8%
  • 3〜4年(1,201人)1.6%
  • 4〜5年(41人)0.1%
2021年1月〜2024年末に特定技能1号を得た人の、2025年8月末までの転職を集計した暫定値です。転職は特定技能1号での在留資格変更許可を受けたことを指し、帰国した人は含みません。割合は人数から編集部が計算しました。出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人の転職状況」(2025年8月末集計・暫定値)

資格を得た年が早い人ほど、転職経験者が多い

2021年に資格を得た37,310人では、転職経験者が29.2%いました。2024年に得た人は12.2%ですが、これは在籍期間がまだ短いためです。時間がたつほど比率は上がるので、「うちはまだ誰も辞めていない」という会社でも、2年目に向けた準備が要ります。

分野による差もあります。2021〜2024年の取得者の合計で、農業は32.9%、飲食料品製造業は27.1%、建設は10.8%でした。自社の分野の数字を知っておくと、目標の立て方が現実的になります。

移る先は、3分の2がほかの都道府県

延べ90,029件の転職のうち、住所が都道府県をまたいで変わったのは59,387件(66.0%)でした。東京都・神奈川県・埼玉県・大阪府などの大都市圏は、いずれも転入が転出を上回っています。地方の会社が比べられている相手は、近所の同業者だけではありません。

都市部と時給で張り合うのが難しいなら、「合計の条件」で伝えます。住居費の負担、通勤のしやすさ、相談のしやすさ、昇給の見通しを合わせて示す工夫です。引き抜きへの備えは転職されない職場づくりで詳しく扱っています。

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入社前:期待とのずれをなくし、「聞いていた話と違う」を防ぐ

入社前にやることは、働き始めてからの手取り・仕事・住まいを、本人が理解できる言葉で具体的に伝えることです。入社後に「聞いていた話と違う」と感じた人は、比べる相手を探し始めます。

手取りの見本を1枚つくる

外国人雇用管理指針は、労働条件を本人が理解できる方法で示すよう努めることを求めています。使う言葉として挙げているのは「母国語その他の当該外国人が使用する言語又は平易な日本語」です。基本給だけを伝えると、税金や社会保険料、寮費が引かれた最初の明細を見て驚かれます。

図4入社前に見せたい「手取り」の考え方

手取り=基本給+手当残業代は月によって変わると伝える−税金・社会保険料明細の見本で項目ごとに示す−寮費・光熱費など会社負担の部分も書く

金額を一つずつ示すと、「思ったより少ない」という最初の不満を防げます。残業が少ない月は手取りが下がることも、先に伝えておきます。

事前ガイダンスは「説明した」でなく「理解した」で終える

1号の義務的支援である事前ガイダンスは、運用要領で3時間程度が必要と考えられています。1時間に満たない場合は、適切な実施とはいえないとされています。対面かビデオ通話などで本人確認をしたうえで、本人が十分に理解できる言語で行います。最後に、本人に仕事内容と手取りの見込みを自分の言葉で説明してもらうと、理解の抜けが分かります。

長く働いてくれる人を採用するための確認

採用の段階では、国籍や年齢ではなく、本人の目的と自社の条件が合うかを確かめます。募集で国籍を条件にすることは、外国人雇用管理指針で避けるべきとされています。年齢の上限を設けることも、法律で原則として禁止されています。面接では次の点を聞いておきます。

  • 日本で何年働きたいか。2号や資格の取得を目指しているか
  • 家族の状況と、一時帰国を希望する時期
  • 前の職場(技能実習先など)で続けられた理由
  • 住まいと通勤の条件(寮を希望するか、車や自転車が必要か)

必須条件と歓迎条件の分け方は特定技能の採用基準の決め方で解説しています。日本に住む人を採用するときの確かめ方は国内在住の外国人を特定技能で採用する方法が参考になります。

入社から3か月:孤立させず、最初の給料日を一緒に越える

最初の3か月は、仕事・生活・人間関係の困りごとが一度に出る時期です。会社がやることは、相談できる人を決め、義務の面談の間を短い声かけで埋めることです。

義務の支援を「形だけ」にしない

入国後の生活オリエンテーションは、運用要領で少なくとも8時間以上行うことが必要と考えられています。ごみの出し方、病院のかかり方、交通ルールなど、生活のつまずきは仕事の集中力にも響きます。定期面談は3か月に1回以上で、本人と、指示を出す立場の上司の双方と行います。相談への対応も面談も、本人が十分に理解できる言語で行うことが求められています。

面談の間を、社内の15分の声かけで埋める

3か月に1回の面談だけでは、最初の不安には間に合いません。入社1週目・2週目・1か月目・2か月目に、15分ほどの声かけを社内で行うと、小さな不満が大きくなる前に拾えます。聞くことは毎回同じでかまいません。

  • 仕事で分からないことはあるか
  • 体調、食事、睡眠で困っていないか
  • 給料の明細で分からないところはあるか
  • 困ったときに相談する人の名前を言えるか

最初の給料日には、明細を一緒に見ながら、引かれた項目を一つずつ説明します。入社前に見せた見本と同じ形なら、30分ほどで終わります。

コミュニケーションの工夫は、費用をかけずにできる

公庫の調査で、外国人と日本人の意思疎通を良くする取り組みを聞くと、1位は「わかりやすい日本語を使うよう日本人従業員に指示している」50.8%でした。2位は「交流できるイベントを開催している」47.5%です。日本語学習の機会の提供も義務的支援の1つで、具体的な方法と費用は日本語学習支援の記事にまとめています。借金や生活の行き詰まりが重なると、連絡がとれなくなる例もあります。早めの兆しのつかみ方は失踪を防ぐにはを参考にしてください。

1年:「ここで働き続ける理由」を見える形にする

1年目の終わりには、評価と昇給の結果を本人に示し、次の1年で何を任せるかを伝えます。転職を考える人は「この会社にいても変わらない」と感じたときに動くため、変化を数字で見せることが定着策になります。

図5定着のための1年間の主な予定(例)

  1. 事前ガイダンスと手取りの説明

    仕事内容・手取りの見本・住まいを、本人が分かる言語で説明します。

  2. 生活オリエンテーションと住まいの準備

    役所・銀行・携帯電話の手続き、ごみや交通のルールを伝えます。

  3. 最初の給料日に明細を一緒に確認

    入社前の見本と比べ、差がある項目を説明します。

  4. 1回目の定期面談と、できる作業の確認

    本人と上司の双方と面談し、困りごとへの答えを1週間以内に返します。

  5. 中間の評価

    1年後の昇給の条件に対して、いまどこまでできているかを伝えます。

  6. 評価面談と2年目の目標

    昇給の結果と、次に任せる仕事、2号や資格への道筋を話します。

義務の定期面談(3か月に1回以上)に、社内の評価と声かけを重ねた例です。時期は自社の評価のサイクルに合わせて調整してください。

評価の基準と昇給の幅を、入社時に見せておく

「頑張れば上がる」では伝わりません。「1年後に、この3つの作業を1人でできれば時給を上げる」のように、条件と金額を先に示します。評価項目のつくり方や、2号を目指す支援はキャリアアップの記事で扱っています。

帰省と家族の悩みに、仕組みで応える

国の人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)は、2026年10月1日に改定されました。改定後の内容では、「一時帰国のための休暇制度」の整備が上乗せの措置です。要件には、雇用労務責任者による3か月に1回以上の面談も入っています。計画期間の終了から6か月後に、外国人労働者の離職率が15%以下であることも求められます。帰省しやすい休暇と定期的な面談は、国の考え方とも重なる定着策です。

時期別の定着計画表:誰が・いつ・何をするか

ここまでの内容を1枚の表にまとめます。担当は会社の規模に合わせて置き換えてください。支援を登録支援機関に委託している場合も、社内の声かけと評価は会社が担う部分です。

図6時期別の定着計画表(入社前〜1年)

誰が・いつ・何をするか(例)
時期やること担当(例)目安の時間・回数防ぎたいこと
採用面接働きたい年数・家族・住まいの希望を聞く採用担当面接の中で15分目的と条件のずれ
入社前手取りの見本と仕事内容の説明(事前ガイダンス)支援担当・現場責任者3時間程度(運用要領の目安)「聞いていた話と違う」
入社の週生活オリエンテーション、住居・銀行・携帯電話の手続き支援担当(委託可)8時間以上(運用要領の目安)生活の行き詰まり
1週目〜2か月目社内の短い声かけ指導役・総務1回15分×4回孤立、小さな不満の放置
最初の給料日明細を一緒に確認総務30分手取りの誤解
3か月ごと定期面談(本人と上司の双方)支援責任者・支援担当3か月に1回以上(義務)相談できないままの不満
6か月目中間の評価、できる作業の確認現場責任者30分「評価されていない」
12か月目評価面談、昇給の結果、2年目の目標経営者・現場責任者1時間「ここにいても変わらない」
時間・回数のうち「運用要領の目安」と「義務」は制度にもとづくもので、それ以外は編集部が示す例です。出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日改正)

表を回すための3つの決まりごと

  • 面談と声かけの記録は、日付・聞いたこと・対応を1行で残す
  • 本人の不満を聞いたら、1週間以内に「できること・できないこと」を返す
  • 退職者が出たら、理由と時期を記録し、この表のどこで防げたかを振り返る

担当が1人に集中すると、忙しい週に声かけが抜けます。予定表に書き込み、抜けたら別の人が代わる、と決めておくと続きます。

定着策でよくある失敗

  • 定期面談を委託先に任せきりにし、報告書の「問題なし」だけを見て安心する
  • 昇給の条件を「様子を見て決める」とあいまいにしたまま1年がたつ
  • 不満を聞いても返事をせず、「言っても変わらない」と思わせてしまう
  • 転職の相談をした本人を責め、ほかの社員の前で話題にする
  • 引き止めのために、パスポートなどの書類を会社が預かる(してはいけないことです)

どれも、本人が「この会社では相談しても無駄だ」と感じるきっかけになります。逆に言えば、返事を早く返すだけでも、転職を考え始める前に話してもらえる関係に近づきます。

定着支援を外部に任せるとき、委託先に確かめること

委託先が定着に強いかどうかは、「1年後に何人中何人が在籍しているか」と「面談の中身を会社と共有してくれるか」の2点で見分けます。義務的支援は全部委託できますが、待遇や評価を決めるのは会社です。

図7委託先に聞く5つの質問

  • 1定着の実績

    自社と同じ分野で、入社1年後に何人中何人が在籍しているか。転職した人の主な理由は何だったか。

  • 2面談の言語と記録

    誰が、どの言語で、何分くらい面談するか。記録をいつ、どの形で会社に共有するか。

  • 3担当者の受け持ち数

    担当者1人が何社・何人を見ているか。2027年4月1日からは、受入れ機関10未満・1号50人未満が基準になります。

  • 4転職の相談への対応

    本人から転職の相談を受けたとき、会社にどう伝え、どう調整するか。

  • 5夜間・休日の連絡

    本人が困ったとき、母国語で連絡できる窓口があるか。

同じ質問を2〜3社に送り、文書の答えで比べると違いが見えます。出典:出入国在留管理庁「登録支援機関の支援体制要件の改正(令和9年4月1日施行)」(2027年4月1日施行)

人数によって向く体制も変わります。1人だけの受け入れなら特定技能を1人だけ採用したい、5人以上なら大量採用の体制と会社選びが参考になります。会社選びの全体の流れは総合ガイドにまとめています。

特定技能のりあい窓口では、分野・人数・国内か海外か・任せたい範囲をうかがいます。そのうえで、条件に合う人材紹介会社・登録支援機関を最大3社まで無料でご紹介しています。会社に順位は付けず、選ぶのは御社です。掲載している会社から紹介手数料を受け取る場合がありますが、手数料の有無で提案の順番や内容は変えません。

想定ケース:食品工場(従業員60人)の工場長が「最初の3か月」に時間を割いた理由

想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。

  • 2回目に受け入れた特定技能の5人は、入社1年後も5人全員が在籍(1回目は4人中1人が11か月目に転職)
  • 入社から3か月の面談・声かけを、1人あたり2回から6回に増やした
  • 入社前の手取りの説明を、通訳つきで1人30分行うようにした

――受け入れの2回目で、何が変わりましたか。

2回目に入った5人が、1年たって全員残っています。1回目は4人のうち1人が、11か月目に関東の工場へ移りました。その人は仕事を覚えるのが早く、ラインの段取りも任せ始めたところだったので、正直こたえました。(食品工場・従業員60人・工場長・50代)

――最初の受け入れのとき、何に困っていましたか。

困っていることに気づいていなかった、が本当のところです。定期面談は委託先に任せていて、報告書には「特に問題なし」と書いてありました。辞めた人に最後に話を聞いたら、「最初の給料が思ったより少なかった。誰に聞けばいいか分からなかった」と言われました。寮費と社会保険料を引いた額を、入社前にきちんと見せていなかったんです。

――やり方を変えるとき、どこで迷いましたか。

時給を上げるかどうかです。都市部の求人と比べると、時給ではどうしても負けます。委託先の担当者に相談したら、「時給だけで比べると勝てません。でも寮費の会社負担と、通勤の近さと、1年後の昇給の条件を合わせて見せれば、比べ方は変わります」と言われました。できないことはできないと言ってくれたので、その線でいこうと決めました。

――具体的には何をしましたか。

3つです。入社前に、通訳を入れて手取りの見本を1人30分で説明する。入社1週目、2週目、1か月目、2か月目に15分ずつ話を聞く。1年後に3つの工程を1人で回せたら時給を上げる、と紙に書いて渡す。委託先の定期面談と合わせると、最初の3か月で1人あたり6回、話を聞いたことになります。

――続けてみて、つまずいた点はありましたか。

声かけを班長に任せたら、繁忙期の週に2回抜けました。いまは総務が予定表で管理して、班長が無理な週は総務が代わります。記録は1人1行で、日付と聞いたことと返事だけです。面談のたびに「1週間以内に答えを返す」と決めたのが、一番効いた気がします。小さな不満のうちに返事ができるので、本人たちも言いやすくなったようです。

相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。

よくある質問

特定技能で定着率が高い会社は?

会社名で示せる公的なランキングはありません。公的調査から言えるのは2点です。退職理由の1位が「日本で転職するため」(51.0%)であることと、最初の転職の86.6%が資格取得から2年以内に起きていることです。この時期に手取りの説明・声かけ・評価と昇給を計画的に行っている会社ほど、転職のきっかけを減らせます。自社の定着率は「1年後に何人中何人が在籍しているか」で測りましょう。

特定技能外国人の離職が少ない会社は?

共通するのは、入社前の説明と入社後3か月の相談の場が厚いことです。手取りの見本を入社前に見せ、義務の定期面談の間を社内の短い声かけで埋め、昇給の条件を先に示しています。公庫の調査では、外国人正社員の定着率が日本人正社員と「同じくらい」の会社が54.5%、「高い」会社が26.4%でした。外国人だから辞めやすいとは限りません。

特定技能の定着支援に強い会社は?

「定着支援に強い」かどうかは、自社と同じ分野での1年後の在籍実績と、面談の言語・記録・担当者の受け持ち数で判断します。宣伝の言葉ではなく、「何人中何人」という数字で答えてもらいましょう。2027年4月1日からは、登録支援機関の担当者1人あたりの受け持ちに基準もできます。

特定技能で長く働いてくれる人材を採用するには?

本人の目的(日本で何年働きたいか、2号を目指すか、家族の状況)と、自社が出せる条件が合う人を選ぶことです。国籍や年齢を条件にすることは避けるべきとされています。面接で住まいと通勤、前の職場で続けられた理由を聞き、入社前に手取りの見本を示すと、入社後のずれが小さくなります。

転職しないよう、契約で縛ることはできますか?

できません。特定技能1号は同じ分野の中なら本人の意思で転職でき、保証金を取ったり違約金を定めたりする契約は認められていません。パスポートなどを会社が預かって引き止めることも、してはいけないことです。選ばれ続ける条件と関係づくりで対応しましょう。

給料を上げれば定着しますか?

給料は大きな理由の1つですが、それだけでは決まりません。在留外国人基礎調査では仕事の困りごとの1位が「給料が低い」29.1%でしたが、「特にない」も54.2%でした。昇給の条件を先に示す、相談できる人を決める、住まいの負担を軽くする、を組み合わせると、同じ人件費でも効果が変わります。

1号の5年が終わったら、辞めてしまいますか?

2号に移れば、在留期間の更新に上限はなく、要件を満たせば家族も呼べます。1号は通算5年までで、介護には2号がないため、介護福祉士を取って在留資格「介護」に移る道があります。公庫の調査でも、外国人雇用の困りごとに「在留できる年数が短い」を挙げた会社が24.2%ありました。入社1年目から、5年後の道筋を本人と話しておきましょう。

この記事の編集方針と出典

  • 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
  • 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
  • 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
  • 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
  • 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。

出典

  1. 日本政策金融公庫総合研究所「中小企業等における外国人雇用に関するアンケート」(2025年2月21日公表(調査は2024年9〜10月))
  2. 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人の転職状況」(2025年8月末までの集計・暫定値)
  3. 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日改正)
  4. 出入国在留管理庁「特定技能制度」(2026年10月)
  5. 出入国在留管理庁「令和7年度 在留外国人に対する基礎調査」概要資料(2026年5月公表(調査は2025年10〜11月))
  6. 厚生労働省「外国人雇用管理指針」(2026年10月確認)
  7. 厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」(2026年10月1日改定)
  8. 出入国在留管理庁「登録支援機関の支援体制要件の改正(令和9年4月1日施行)」(2027年4月1日施行)

最終更新:(2026年10月版)

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