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特定技能雇用契約書・雇用条件書の作り方|記載例と注意点
契約書は1枚、中身は雇用条件書。基準省令の7つの基準と労働基準法を、欄ごとの書き方に置き換えます
文・構成:特定技能のりあい窓口 編集部最終更新:情報の確認日:(数値ごとに時点を記載)出典:公的機関の公表資料(ページ末尾に一覧)
特定技能の外国人を雇うときは、在留資格の申請の前に「特定技能雇用契約書」と「雇用条件書」を交わします。どちらも出入国在留管理庁の参考様式がありますが、報酬が日本人と同等以上か、一時帰国の休暇や帰国旅費をどう書くかなど、審査で見られる点は様式を眺めるだけでは分かりません。この記事では、特定技能の雇用契約書と雇用条件書の書き方を、報酬・労働時間・控除・一時帰国・帰国旅費の記載例つきで示します。入れてはいけない条項、母国語での示し方、契約を変えたときの届出もまとめました。
- 契約書は「雇用条件書に従う」1枚:参考様式の特定技能雇用契約書は、別添の雇用条件書の内容で契約を結ぶ形です。具体的な条件は、雇用条件書と別紙「賃金の支払」に書きます。
- 基準省令の7つの基準を条件書に落とす:業務、通常の労働者と同等の所定労働時間、日本人と同等以上の報酬、差別的取扱いの禁止、一時帰国の有給休暇、帰国旅費の負担、健康・生活状況の把握です。
- 控除は労使協定と本人の理解が前提:税・社会保険料以外を給与から差し引くには労使協定が必要です。寮費などは金額と根拠を書き、本人が分かる言語で説明します。
- 違約金・保証金・旅券の預かりは書かない:労働基準法や基準省令などで禁じられています。契約を変えたら、14日以内の届出が必要な場合があります。
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この記事の目次
特定技能の雇用契約書は2点セット:契約書は1枚、中身は雇用条件書
特定技能の雇用契約は、「特定技能雇用契約書」(参考様式第1-5号)と「雇用条件書」(第1-6号)の2点で結ぶのが基本です。契約書は1枚で、具体的な条件は雇用条件書と別紙「賃金の支払」に書きます。審査で見られるのは、その中身が基準省令と労働関係の法令に合っているかどうかです。
契約書(第1-5号)に書いてあること
参考様式の契約書は、受入れ企業を「甲」、外国人を「乙」として、別添の雇用条件書の内容に従って契約を結ぶ形です。雇用は、上陸許可や在留資格の変更許可を受けた日から1か月以内で、双方が合意した日に始めるとされています。雇用条件書の契約期間は、実際に雇用を始める日に合わせて変わる、という定めもあります。契約書と雇用条件書は2部作り、双方が1部ずつ持ちます。
許可から1か月たっても働き始めていない場合は、受入れ困難に係る届出が必要になります。入社日は、許可の見込み時期から逆算して決めておきます。
審査で見られる7つの基準
基準省令(特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令)の第1条は、労働基準法などに適合していることに加えて、次の7つを求めています。雇用条件書のどの欄に書くかまで決めておくと、書き漏れが防げます。
図1特定技能雇用契約の7つの基準と、書く欄
- 1分野・業務区分の業務
分野と業務区分に当たる業務に従事させる。雇用条件書のⅢ欄に分野と業務区分を書きます。
- 2所定労働時間が同等
同じ会社の通常の労働者と同等の所定労働時間にする。Ⅳ欄です。
- 3報酬は日本人と同等以上
日本人が同じ仕事をする場合と同等以上の報酬にする。Ⅶ欄と別紙に書き、報酬に関する説明書(第1-4号)で示します。
- 4差別的な取扱いをしない
外国人であることを理由に、報酬、教育訓練、福利厚生施設の利用などで差をつけない。
- 5一時帰国の有給休暇
本人が一時帰国を希望したら、必要な有給休暇を取得させる。Ⅵ欄です。
- 6帰国旅費の負担
契約終了後の帰国旅費を本人が負担できないときは、会社が負担し、円滑に出国できるようにする。Ⅸ欄です。
- 7健康・生活状況の把握
健康の状況など生活の状況を把握する措置をとる。Ⅸ欄の健康診断などで示します。
分野ごとの告示で、上乗せの基準が定められていることもあります。たとえばビルクリーニング分野では、外国人を労働者派遣の対象としない旨を雇用契約に定める必要があります。自社の分野の運用要領(分野別の要領別冊)も確かめます。
特定技能の雇用条件書の書き方:Ⅰ〜Ⅸ欄の記載例
雇用条件書は、契約期間から帰国旅費までⅠ〜Ⅸの欄でできています。公式の記載例は2019年の日付で書かれ、分野名も当時のものです。下の表は、電子部品工場で「工業製品製造業・電気電子機器組立て」の1人を雇う架空の例に置き換えました。
| 欄 | 書くこと | 記載例 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| Ⅰ 雇用契約期間 | 期間、入国予定日、更新の有無と基準、更新上限、無期転換 | 2026年12月1日〜2027年11月30日。更新する場合があり得る(業務量・勤務成績で判断)。更新上限なし | 入国予定日は、すでに日本にいる人なら記載不要 |
| Ⅱ 就業の場所 | 直接雇用か派遣か、事業所名・所在地、変更の範囲 | 直接雇用。本社工場(〇〇県〇〇市)。変更の可能性なし | 派遣は農業・漁業のみ |
| Ⅲ 従事すべき業務 | 分野、業務区分、変更の範囲 | 工業製品製造業・電気電子機器組立て。変更の可能性なし | 申請書や支援計画と同じ名称にする |
| Ⅳ 労働時間等 | 始業・終業、休憩、所定労働時間、所定労働日数、変形労働時間制・交代制、時間外労働の有無 | 8時30分〜17時30分、休憩60分。1日8時間・週40時間。年245日。時間外労働あり | 同じ会社の通常の労働者と同じ所定労働時間にする |
| Ⅴ 休日 | 定例日、年間合計休日 | 土曜・日曜、夏季・年末年始(会社カレンダー)。年間120日 | Ⅳ欄の年間労働日数と足して365日にそろえる |
| Ⅵ 休暇 | 年次有給休暇、その他の休暇、一時帰国休暇 | 6か月継続勤務で10日。一時帰国は希望に応じ、上記の範囲内で必要な休暇を取得させる | 一時帰国の定めは基準省令の必須事項 |
| Ⅶ 賃金 | 基本賃金、手当、割増率、締切日・支払日、支払方法、協定による控除、昇給、賞与、退職金、休業手当 | 月給220,000円。時間外25%(月60時間超50%)、法定休日35%、深夜25%。月末締め翌月25日、口座振込 | 控除がある場合は別紙「賃金の支払」に内訳を書く |
| Ⅷ 退職 | 自己都合退職の手続、解雇の事由と手続 | 退職日の14日前までに届け出る。解雇は30日前の予告か、30日分以上の平均賃金の支払 | 就業規則の該当条文も示す |
| Ⅸ その他 | 社会保険・労働保険、健康診断、相談窓口、帰国旅費 | 厚生年金・健康保険・雇用保険・労災保険に加入。雇入れ時と年1回の健康診断。本人が負担できない帰国旅費は会社が負担 | 待遇の相違の説明を求められる窓口も書く |
参考様式は「使わなければならない」わけではない
記載例には、参考様式のため必ずしも本様式を使う必要はない、という注記があります。ただし、自社の書式を使う場合も、表の欄の内容はすべて入れます。2024年4月からは、全ての労働者について、就業場所と業務の「変更の範囲」を明示することになりました。有期契約なら更新上限の有無も示します。様式のⅠ〜Ⅲ欄にも、そのための欄があります。
Ⅰ欄の契約期間と、在留期間の関係
雇用期間について、入管法上の特段の定めはありません(出入国在留管理庁Q&A)。一方で、1号の在留期間は3年を超えない範囲で個別に指定され、通算5年が上限です。契約期間を1年にするか3年にするかは、自社の就業規則と更新の考え方で決めます。
報酬と控除の書き方:「日本人と同等以上」と別紙「賃金の支払」
報酬は、比べる相手を決めてから金額を書きます。控除は、税・社会保険料のように法令で引くものと、労使協定で引くものを分けて書きます。この2つが整理できていれば、Ⅶ欄と別紙はほぼ埋まります。
同等以上は「比べる相手」で判断される
出入国在留管理庁のQ&Aでは、賃金規定があれば規定にもとづいて判断します。規定がなければ同じ仕事をする日本人と比べ、比べる日本人もいなければ、近隣の同業他社で同じ仕事をする特定技能外国人の報酬と比べるとしています。比べ方は「特定技能外国人の報酬に関する説明書」(第1-4号)で説明します。記載例の月給220,000円は架空の数字です。令和7年(2025年)賃金構造基本統計調査では、在留資格「特定技能」の一般労働者の賃金は221.4千円でした。
割増賃金率は法定以上を書く
労働基準法の最低の割増率は、時間外労働25%、休日労働35%、深夜労働(午後10時〜午前5時)25%です。月60時間を超える時間外労働は50%以上になります。記載例のとおり、Ⅶ欄にこの率以上の数字を書きます。
図2手取り額の考え方(別紙「賃金の支払」の組み立て)
手取り額=支給額基本給+手当+割増賃金−法令による控除所得税・住民税・社会保険料・雇用保険料−協定による控除寮費・食費など(労使協定が必要)
協定による控除は、金額と根拠まで書く
賃金は全額を支払うのが原則で、法令にない控除をするには、過半数労働組合か過半数代表者との書面の協定が必要です(労働基準法24条)。寮費なら、たとえば「借上げアパートの家賃60,000円を3人で使うため、1人20,000円」のように根拠を書きます(架空の例)。支援計画書の記載例も、借上げ物件では家賃を入居人数で割った額などで説明するとしています。住居で利益を得てはならず、保証会社の保証料は会社の負担です。
出入国在留管理庁の定期面談報告書(監督者用)の記載例には、居住費の控除を本人の合意なく月5,000円から18,000円に変えた事例が載っています。面談で見つかり、労働基準監督署への案内と入管への通報まで進んだ想定です。控除額を変えるときは、改めて本人の分かる言語で説明し、合意を得ます。
報酬の支払は、本人が指定する預貯金口座への振込みか、実際に支払った額を確かめられる方法で行います(基準省令2条)。振込み以外で払う場合は、支払った事実を示す資料を入管に出して確認を受ける必要があります。
相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。
労働時間・休日・一時帰国休暇の書き方
労働時間は「同じ会社の通常の労働者と同等」、休暇は「一時帰国を希望したら必要な有給休暇」が基準です。特定技能の外国人はフルタイムで働くことが求められ、1人が複数の会社で働くことはできません(出入国在留管理庁Q&A)。
図3労働時間と賃金に関わる法定の数字
- 8時間/日法定労働時間1週40時間まで(休憩を除く)
- 45時間/月36協定の限度時間年360時間まで(特別条項は別の上限)
- 50%以上月60時間超の割増率通常の時間外は25%以上
- 1,177円最低賃金の全国加重平均2026年度。都道府県ごとに10月1日〜12月2日に発効
交代制・変形労働時間制は、勤務の型をすべて書く
Ⅳ欄には、変形労働時間制や交代制を選ぶ欄があります。交代制なら、各勤務の始業・終業・休憩を全部書きます。深夜にかかる勤務があれば、Ⅶ欄の深夜割増の率と合わせます。時間外労働は36協定の範囲で、特別条項がある場合も、時間外・休日労働の合計は月100時間未満などの上限を守ります。
一時帰国休暇の書き方
基準省令は、本人が一時帰国を希望した場合に必要な有給休暇を取得させることを求めています。公式の記載例は「乙が一時帰国を希望した場合は、上記1及び2の範囲内で必要な休暇を取得させることとする」と書いています。上記1・2とは、年次有給休暇とその他の休暇の欄です。入社して間もない時期の希望や、繁忙期の時季の調整をどうするかも、就業規則とあわせて本人に説明しておきます。
安全衛生と健康診断も書いておく
Ⅸ欄には、雇入れ時の健康診断と初回の定期健康診断の時期を書きます。外国人雇用管理指針は、安全衛生教育を母国語や視聴覚教材など本人が理解できる方法で行うよう求めています。多言語での教育の進め方は外国人社員の労災と安全衛生教育で解説しています。
帰国旅費・社会保険・退職の書き方(Ⅷ・Ⅸ欄)
Ⅷ・Ⅸ欄は、契約の終わり方と、在籍中の保険・健康を書く欄です。帰国旅費は基準省令の必須事項で、社会保険は在留期間の更新の審査で納付状況まで見られます。
帰国旅費は「本人が負担できないときは会社が負担」
基準省令は、契約終了後の帰国旅費を本人が負担できないときは、会社が負担し、出国が円滑にできるよう必要な措置をとることを求めています。記載例もこの文言をⅨ欄に入れています。送出国の法令で、渡航費など受入れ企業が負担すべき費用が定められている場合もあるため、大使館などで確かめるようQ&Aは案内しています。
社会保険・労働保険は日本人と同じ
健康保険や雇用保険などの法令は、国籍を問わず外国人にも適用されます。雇用保険は、週20時間以上で31日以上の雇用見込みがあれば原則として加入します。在留資格の変更・更新の申請では、社会保険料の納付状況を確かめられる書類の提出が必要です。入社時の手続は特定技能の社会保険・労働保険の手続きにまとめています。
退職と解雇は、就業規則の条文まで示す
記載例は、自己都合退職の届出の時期と、解雇は30日前の予告か30日分以上の平均賃金の支払によることを書いています。会社都合の離職は、その後の受入れの基準に関わることがあります。契約を結ぶ日の前1年以内とその後に、同じ種類の業務の労働者を非自発的に離職させていないことが、受入れ企業の基準だからです。試用期間や雇止めの扱いは試用期間・解雇・雇止めの注意点で確かめてください。
2024年4月から加わった明示事項
厚生労働省のリーフレットは、2024年4月から労働条件の明示に4つが加わったと説明しています。全ての労働者への就業場所・業務の変更の範囲、有期契約の更新上限、無期転換を申し込める旨、無期転換後の労働条件です。雇用条件書の参考様式にも、更新上限と無期転換の欄、無期転換後の条件を書く別紙2があります。
特定技能の雇用契約の注意点:入れてはいけない条項と、書類の食い違い
注意点は2つです。法令で禁じられた条項を入れないこと、そして雇用条件書の数字をほかの書類と食い違わせないことです。前者は契約の効力や受入れの可否に、後者は審査の遅れにつながります。
入れてはいけない条項
- 途中で辞めたら違約金を払う、損害賠償の額をあらかじめ決める(労働基準法16条)
- 渡航費などの前貸しを、賃金と相殺する(同17条)
- 給与の一部を会社が積み立てる強制貯金、通帳の管理(同18条)
- 旅券や在留カードを会社が預かる(外国人雇用管理指針)
- 保証金を取る、本人や家族と違約金の契約を結ぶ(基準省令2条)
- 支援の費用を、給与からの控除などで本人に負担させる(同上)
- 外国人であることを理由に、賃金・教育訓練・福利厚生施設の利用で差をつける(労働基準法3条、基準省令1条)
保証金や違約金の契約があると知りながら雇用契約を結ぶことも、基準省令は認めていません。送出機関などとの間で本人がそうした契約を結ばされていないかは、事前ガイダンスの場でも確かめます。
書類どうしの数字をそろえる
- 雇用条件書の月給と、報酬に関する説明書(第1-4号)の金額が同じか
- Ⅳ欄の年間労働日数とⅤ欄の年間休日を足すと365日(うるう年は366日)になるか
- 別紙の寮費と、支援計画書の住居の欄の居住費が同じか
- Ⅲ欄の業務区分と、申請書・支援計画書の業務区分の名称が同じか
- 求人票や面接で伝えた条件と、雇用条件書の条件が同じか
求人票と雇用条件書の数字をそろえる方法は特定技能の求人票の書き方で、支援計画書の住居の欄の書き方は支援計画の作り方で解説しています。申請に出す書類全体は必要書類一覧で確かめられます。
雇用条件書を母国語で示す方法と、契約を変えたときの届出
雇用条件書は、本人が十分に理解できる言語で示します。出入国在留管理庁は、特定技能雇用契約書と雇用条件書の参考様式を、英語と9つの言語(ベトナム語、タガログ語、インドネシア語、タイ語、ミャンマー語、カンボジア語、モンゴル語、ネパール語、中国語)で公開しています。外国人雇用管理指針も、母国語など本人が理解できる言語や平易な日本語で労働条件を示し、賃金や控除の内容を説明するよう求めています。
母国語で説明して署名をもらう手順
- 日本語版を確定する
先に日本語版の数字と文言を固めます。翻訳の後に日本語版を直すと、食い違いの原因になります。
- 翻訳版に同じ数字を写す
10言語版の様式に、金額・日付・時間を写します。数字は2人で読み合わせて確かめます。
- 本人の言語で読み合わせる
通訳を交え、Ⅰ欄から順に読みます。別紙の控除と手取りは、具体的な月の例で説明します。
- 質問を受け、理解を確かめる
「残業が月10時間なら手取りはいくらか」など、本人に言い換えてもらい、誤解がないかを確かめます。
- 署名して1部ずつ持つ
契約書と雇用条件書を2部作り、甲乙が1部ずつ保管します。翻訳版も本人に渡します。
本人の言語で相談できる体制が委託先にあるかは、母国語で相談できる登録支援機関の選び方が参考になります。
契約を変えたら14日以内の届出
図4雇用契約の変更と届出の要否(主な例)
- 届出が不要な例昇給によって基本賃金が上がる場合。
- 届出が必要な例①予定していた昇給の取りやめ。雇用条件書に書いた部署の変更。
- 届出が必要な例②別の事業所への異動、雇用条件書にない事業所での掛け持ち勤務。
- 期限と出し方事由が生じた日から14日以内に入管へ到達させる。様式は特定技能雇用契約の変更に係る届出書(第3-1-1号)。
どの出来事で何を出すかの一覧は随時届出の記事にまとめています。条件の変更は、定期面談で本人と監督者の双方に伝わっているかも確かめます(定期面談のやり方)。
想定ケース:電子部品工場(従業員130人)の専務取締役が、雇用条件書を「読み合わせ」で結ぶと決めた理由
想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。
- 申請書類どうしの数字の食い違いが、1人目の準備では7か所、2人目以降は0か所に
- 給与明細の控除についての本人からの質問が、入社3か月目以降は0件
- 1年間に出た一時帰国休暇の希望2件を、どちらも希望した時期に取得
――特定技能の3人を迎えて1年。何が変わりましたか。
契約の後に「聞いていない」が出なくなりました。基板の組立てラインで、工業製品製造業の電気電子機器組立ての3人が働いています。雇用条件書は、本人の言語の版を横に置いて、1人ずつ90分かけて読み合わせてから署名しています。
――受け入れの背景は。
ラインの若手が毎年数人ずつ辞め、求人の反応も年々鈍くなっていました。130人の工場でも、組立ての経験者を中途で採るのは難しい。特定技能なら、試験に合格した人や、技能実習を修了した人を雇えると聞いたのが始まりです。
――書類づくりで困ったことは。
最初は、社内の雇用契約書を翻訳すれば済むと思っていました。ところが、一時帰国の休暇や帰国旅費の定めがない。寮費も一律にしていて、なぜその額なのかを説明できませんでした。報酬の説明書、支援計画書と並べたら、数字の食い違いが7か所も見つかった。正直、冷や汗が出ました。
――どう立て直しましたか。決め手は。
支援を委託した登録支援機関の担当者が、欄ごとに理由を説明してくれたのが大きかったです。寮費は家賃を入居人数で割った額にする、交代勤務は型ごとに始業と終業を全部書く、と具体的でした。読み合わせにも通訳と同席してくれました。書類の「直し方」まで一緒に考えてくれたので、この会社と進めようと決めました。
――読み合わせで、どんな質問が出ましたか。
多かったのは、月60時間を超えた残業の割増と、翌年から引かれる住民税です。手取りが2年目に下がる理由を、具体的な金額で説明しました。そこを最初に話しておいたので、明細を見て驚くことがなかったようです。
――これから契約書を作る会社に伝えたいことは。
契約書は1枚ですが、本番は雇用条件書です。日本語版を先に固めて、数字を全部の書類でそろえてから翻訳する。その順番だけで、手戻りはかなり減ります。
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よくある質問
特定技能の契約書はどの言語で作る?
日本語版と、本人が十分に理解できる言語の版の両方を用意するのが基本です。参考様式の雇用契約書と雇用条件書には、英語と9つの言語の版があります。外国人雇用管理指針も、母国語など本人が理解できる言語で労働条件を示し、賃金や控除を説明するよう求めています。
参考様式ではなく、自社の雇用契約書の書式を使えますか?
使えます。記載例にも、参考様式を必ず使う必要はないという注記があります。ただし、基準省令が求める一時帰国の有給休暇、帰国旅費の負担などは必ず入れ、本人が理解できる言語で示します。
雇用契約の期間は何年にすればよいですか?
入管法上、雇用期間の特段の定めはありません。ただし、1号の在留期間は3年を超えない範囲で個別に指定され、通算5年が上限です。更新の有無と判断の基準、更新上限の有無を雇用条件書に書きます。
雇用契約書はいつ結びますか?
在留資格の申請の前に結びます。参考様式の契約書では、許可を受けた日から1か月以内の、双方が合意した日に雇用を始めるとしています。事前ガイダンスは、契約の締結時以前に行うことが望ましいとされています。
寮費や食費を給料から差し引いてもよいですか?
過半数労働組合か過半数代表者との書面の協定があれば差し引けます。金額と根拠を別紙に書き、本人が分かる言語で説明して合意を得ます。住居で利益を得てはならず、合意なく額を変えることも避けます。
給料を上げたら、入管への届出は必要ですか?
昇給で基本賃金が上がるだけなら不要です。予定していた昇給を取りやめた場合や、雇用条件書に書いた部署を変えた場合は、14日以内に雇用契約の変更の届出が必要です。
一時帰国の休暇は、有給にしなければいけませんか?
基準省令は、本人が一時帰国を希望した場合に「必要な有給休暇を取得させる」ことを求めています。公式の記載例は、年次有給休暇などの範囲内で必要な休暇を取得させる書き方です。時季の調整のしかたも本人に説明しておきます。
帰国旅費は、必ず会社が払うのですか?
本人が負担できないときに、会社が負担します。あわせて、契約終了後に円滑に出国できるよう必要な措置をとります。送出国の法令で渡航費などの負担が定められている場合もあるので、確かめておきます。
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この記事の編集方針と出典
- 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
- 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
- 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
- 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
- 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。
出典
- e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(第1条・第2条)(2026年10月確認(令和8年法務省令第35号まで反映))
- e-Gov法令検索「労働基準法」(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「特定技能関係の申請・届出様式一覧」(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「雇用条件書(参考様式第1-6号)記載例」(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「参考様式(ミャンマー語版)特定技能雇用契約書・雇用条件書ほか」(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月)
- 出入国在留管理庁「特定技能所属機関による特定技能雇用契約に係る届出」(2026年10月確認)
- 出入国在留管理庁「特定技能所属機関からの随時届出に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」(令和7年6月)
- 出入国在留管理庁「定期面談報告書(監督者用)参考様式第5-6号 記載例」(2026年10月確認)
- 厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(2026年5月29日告示による改正を反映)
- 厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わりました」(リーフレット)(2024年9月)
- 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「外国人労働者の雇用保険手続きをお忘れなく!」(LL250318)
- 厚生労働省「令和8年度最低賃金額答申」(2026年9月3日公表)
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況(在留資格区分別)」(令和7年調査)
- 法務省・厚生労働省「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領(ビルクリーニング分野)」(2026年8月28日一部改正)
- 日本年金機構「『特定技能』にかかる社会保険関係書類の交付」(2023年6月1日更新)
最終更新:(2026年10月版)
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