特定技能のりあい窓口

https://tokutei-noriai.blog/2026/10/15/soudan-taisei/ 印刷日:2026年10月15日

特定技能の人材紹介会社・登録支援機関を比べて相談できる窓口 全国オンライン対応

  • 特定技能のりあい窓口|企業向けガイド
  • 支援・定着
  • 2026年10月版

相談・苦情対応の体制づくり|外国人社員が母国語で相談できる仕組み

「誰が・何語で・いつ受けるか」を3層で分け、夜間の受け方と記録の残し方まで決める実務

特定技能の外国人社員から「給与明細の控除が分からない」「先輩の言い方がつらい」と打ち明けられたとき、誰が何語で受け、会社はどこまで動けばよいのでしょうか。相談・苦情への対応は特定技能1号の義務的支援の1つで、本人が十分に理解できる言語で、1週間に勤務日3日以上・休日1日以上受けられる体制が求められます。この記事では、社内窓口・登録支援機関・公的窓口の3層で相談を受ける仕組みと、夜間の受け方、相談記録の残し方を、2026年10月時点の公的資料にもとづいて解説します。

この記事の結論
  • 相談・苦情対応は義務的支援の1つ:省令で「遅滞なく」適切に応じることが定められ、運用要領は本人が理解できる言語で、勤務日に週3日以上・休日に週1日以上の対応を求めています。
  • 3層で受けると漏れにくい:仕事の段取りは社内窓口、会社に言いにくい話は登録支援機関、在留・労働条件・法律の専門的な話は公的窓口へ。連絡先の一覧は入社時に本人の言語で渡します。
  • 夜間は「緊急」と「翌営業日」に分ける:けが・急病・事件はまず119番・110番、その後に会社の緊急連絡先へ。それ以外はメッセージで受け、返信の時刻を約束します。
  • 記録は相談記録書に残し、1年以上保存:相談記録書(参考様式第5-4号)に記録し、支援の状況に係る文書は雇用契約の終了の日から1年以上備えて置く必要があります。

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この記事の目次

結論:特定技能の相談・苦情対応は「3層」で受ける

外国人社員の相談は、社内窓口・登録支援機関・公的窓口の3層で受けると取りこぼしが減ります。1か所に集めると、担当者が休んだ日や、会社そのものへの不満を言いたいときに、相談の出口がなくなるからです。

特定技能1号では、相談・苦情への対応は、会社が必ず行う10項目の「義務的支援」の1つです。登録支援機関に委託できますが、相談のきっかけの多くは職場で起きます。仕事の段取りや人間関係の話は、社内で早く受けたほうが解決も早くなります。

3層の役割分担

第1層の社内窓口は、仕事・シフト・寮の生活など「その日のうちに動ける話」を受けます。第2層の登録支援機関(自社で支援する場合は支援担当者)は、母国語での詳しい聞き取りと、会社に直接言いにくい苦情の受け皿です。第3層の公的窓口は、在留手続き・労働条件・法律など、専門の判断が要る話の行き先になります。

図1相談を受ける3層の仕組み

  • 第1層:社内窓口現場の上司と、評価に関わらない総務担当の2人。仕事の進め方、シフト、寮の設備など、社内で決められる話を当日中に受ける。
  • 第2層:登録支援機関母国語での詳しい聞き取り、会社に言いにくい苦情、役所への同行。委託しない会社は、自社の支援担当者がこの役を担う。
  • 第3層:公的窓口在留手続き、労働条件、法律の相談。多言語の電話窓口があり、会社や支援機関では判断できない話をつなぐ先。
3層の連絡先を1枚にまとめ、入社時に本人の言語で渡すところから仕組みが動き出します。

3層にする理由は調査にも表れている

出入国在留管理庁は2024年9〜10月、在留外国人への調査を行いました(有効回答7,621件)。公的機関への相談で「どこに相談すればよいか分からなかった」人は16.2%でした。窓口があっても、存在が伝わっていなければ使われません。

「相談」「苦情」と定期面談の違い

この記事では、困りごとを打ち明けるものを「相談」、会社や周りへの不満・改善の求めを「苦情」と呼びます。どちらも、本人から申し出があったときに随時受けるものです。一方の定期面談は、支援の担当者が3か月に1回以上、本人と上司のそれぞれに会う決まった場です。随時の相談と定期の面談がかみ合うと、問題が早く見つかります。以下、各層の作り方を順に説明し、最後に夜間の受け方と記録の残し方を示します。

特定技能の苦情対応は義務:省令と運用要領が求めること

相談・苦情への対応は、省令で内容が決まっている義務です。根拠は「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」第3条です。職業生活・日常生活・社会生活に関する相談や苦情を受けたら、「遅滞なく」適切に応じ、助言・指導などの措置を取るよう定めています。

対象は仕事の話に限りません。職業生活は職場のこと、日常生活は住まい・病院・役所のこと、社会生活は地域や人間関係のことと考えると、受ける範囲の見当がつきます。支援計画そのものも、日本語と本人が十分に理解できる言語で作り、写しを本人に渡す必要があります(省令第3条第2項)。

運用要領に書かれた具体的な基準

具体的な中身は、出入国在留管理庁の「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日一部改正)にあります。読み落としやすいのは、「求められる」ことと「望まれる」ことが書き分けられている点です。下の表で、守る線と、上乗せでめざす線を分けました。

相談・苦情対応の基準(運用要領の書き方で区分)
項目運用要領の内容書き方
言語本人が十分に理解できる言語で対応する求められる
対応日勤務形態に合わせ、1週間あたり勤務日に3日以上・休日に1日以上求められる
時間帯相談しやすい就業時間外(夜間)などにも対応できる求められる
行政機関必要に応じ、地方出入国在留管理局・労働基準監督署などを案内し、同行して手続きを補助するしなければならない
記録相談記録書(参考様式第5-4号)に記録する必要がある
窓口の形事務所の相談窓口、相談専用の電話番号やメールアドレス望まれる
一覧の配布相談窓口の情報を一覧にして、あらかじめ手渡す望まれる(任意的支援)
緊急時事故などの緊急連絡先を設け、基本的にいつでも連絡を受けられるようにする望まれる

通訳は「応急的なら同僚や翻訳アプリも可」

運用要領は、通訳の確保が難しいときに、同僚の外国人や翻訳アプリを応急的に使うことは差し支えないとしています。ただし、詳しい聞き取りは通訳を確保したうえで行う必要があります。給与や人間関係の込み入った話を同僚に訳させると、内容が職場に広まるおそれもあります。

第1層:外国人社員のための社内の相談窓口をつくる

社内窓口は、担当者を2人決め、相談の入り口を3つ用意するのが基本形です。担当が1人だけだと、その人が休んだ日や、その人自身が悩みの原因になっているときに相談が止まります。

担当者は「現場の上司」と「別ラインの1人」

1人目は、仕事の指示を出す班長や主任です。2人目は、本人の評価に関わらない総務や人事の担当者にします。厚生労働省の外国人雇用管理指針も、苦情や相談を受け付ける窓口の設置など、体制の整備を事業主に求めています。あわせて、行政機関の相談窓口を教えるよう努めることも書かれています。

パワハラの相談窓口と兼ねてよい

2022年4月1日から、パワーハラスメントの防止措置は中小企業を含むすべての事業主の義務です(岡山労働局)。相談窓口の体制整備が必要とされているので、すでにある窓口を外国人社員も使えるようにすれば、仕組みを二重に作らずに済みます。案内文は本人の言語かやさしい日本語にし、相談したことで不利に扱われないことを書き添えます。

図2社内窓口に用意する3つの入り口

  • 1対面

    朝礼後や休憩明けに5分、担当者が現場に顔を出す。「話がある」と言いやすい場面をつくる。

  • 2メッセージ

    会社のスマートフォンで受ける相談用アカウント。翻訳アプリで送ってよいと伝え、夜間も送信だけはできるようにする。

  • 3紙の相談票

    母国語で書ける記入欄つき。休憩室の箱に入れれば、支援機関の担当者が訳して読む流れにする。

口で言うのが苦手な人、文字なら書ける人がいます。入り口を1つに絞らないことが、相談の数を増やします。

窓口の案内文に書く5つのこと

案内文は、A4用紙1枚に収めます。書くのは、誰が受けるか(顔写真つき)、いつ受けるか、どうやって連絡するか、何語で話せるか、の4つ。そして「話した内容は本人の同意なく広めず、相談したことで不利に扱わない」という約束です。休憩室と寮の玄関に貼り、入社の日に手渡しもします。

日本語の壁を下げる工夫

同じ言語を話す先輩社員は心強い存在ですが、頼るのは日程の調整や簡単な確認までにします。日々のやり取りは、短い文で区切る、数字は紙に書いて見せるといった工夫で伝わり方が変わります。日本語の力そのものを伸ばす方法は、特定技能外国人の日本語学習支援で紹介しています。

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第2層:母国語で相談できる体制を会社と支援機関で分担する

母国語での詳しい聞き取りは、登録支援機関に任せるのが現実的です。ただ、委託契約に「相談対応」と1行あるだけでは、夜間に誰が出るのか、会社にどこまで報告するのかが決まりません。契約の前か更新のときに、次の6項目を書面で決めておきます。

委託契約で決めておく相談対応の6項目
項目支援機関に聞く質問制度上の基準・目安
対応言語本人の母国語で誰が対応しますか。通訳を使うなら手配は誰がしますか本人が十分に理解できる言語
対応日と時間何曜日の何時から何時まで受けますか勤務日に週3日以上・休日に週1日以上
夜間・休日時間外の連絡手段と、返信までの目安は就業時間外(夜間)にも対応できること
会社への報告どの内容を、本人の同意を得てどこまで会社に伝えますか事前に書面で取り決める
同行役所や労働基準監督署への同行は費用に含まれますか必要に応じて案内・同行する
記録の共有相談記録書をいつ、どの形で会社に渡しますか支援の状況に係る文書は契約終了から1年以上保存

会社に言いにくい苦情の受け皿にする

給与や上司への不満は、会社の窓口には言いにくいものです。支援機関は本人と会社の間に立てる位置にあり、ここが機能すると問題が小さいうちに表に出ます。3か月に1回以上の定期面談で労働関係の法令違反などを知ったときは、労働基準監督署などへの通報も支援の内容に含まれています。

通訳の費用は会社が持つ

相談・苦情への対応は義務的支援なので、通訳や同行にかかる費用を外国人本人に負担させることはできません。委託先が通訳を別料金にしている場合は、その費用を会社が払う前提で見積もりに入れます。委託しない会社(自社支援)も同じです。福岡県が介護事業所に行った令和7年度調査(在留資格を問わない)では、外部に委託していない事業所が26.8%ありました。自社支援なら、通訳の手配先を先に押さえておきます。

担当者の受け持ち数も確かめる

2027年4月1日から、登録支援機関の支援担当者の数に基準ができます。「受入れ機関の数÷10」と「1号特定技能外国人の数÷50」を、どちらも上回る人数が必要です。返信の速さは受け持ち数に左右されるので、今の数字を聞いておきます。福岡県の同じ調査では、受入れの相談先の1位が登録支援機関(43.4%)でした。対応言語の確かめ方は母国語で相談できる登録支援機関の選び方で詳しく扱っています。

第3層:公的な相談窓口を一覧にして渡す

公的窓口は、会社や支援機関では判断できない話の行き先です。在留手続き・労働条件・法律の相談には、それぞれ多言語の窓口があります。運用要領も、生活オリエンテーションでこうした連絡先を伝えるよう求めています。対象は地方出入国在留管理局、労働基準監督署、ハローワーク、法テラス、大使館などです。

在留・労働・法律で窓口が分かれる

外国人社員が使える主な公的窓口(2026年10月確認)
窓口相談できること言語受付
外国人在留総合インフォメーションセンター(0570-013904)入国・在留手続きの一般的な案内日本語・英語・中国語・韓国語・スペイン語・ポルトガル語・ベトナム語・ネパール語・タイ語・ミャンマー語・シンハラ語平日8:30〜17:15
外国人在留支援センター(FRESC、0570-011000)在留・労働・就職・人権・法律などの機関が集まる。企業からの相談も受け付け機関ごとに確認平日9:00〜17:00
労働条件相談ほっとライン賃金・残業などの労働条件日本語と13言語(言語ごとに曜日が異なる)平日17:00〜22:00、土日祝9:00〜21:00(無料)
外国人労働者向け相談ダイヤル労働条件13言語(言語ごとに曜日が異なる)10:00〜15:00(正午〜13時を除く、通話料あり)
法テラス 多言語情報提供サービス(0570-078377)通訳を介して、法制度や相談窓口を紹介10言語窓口で確認

図3公的機関への相談で困ったこと(在留外国人への調査)

  • 特に困ったことはなかった59.2%
  • どこに相談すればよいか分からなかった16.2%
  • 相談のために仕事などを休まなければならなかった12.6%
「行き先が分からない」と「平日の昼に休めない」が、公的窓口を使う前の壁になっています。出典:出入国在留管理庁「令和6年度 在留外国人に対する基礎調査報告書」(2024年9〜10月調査、過去1年間)

一覧はカードとスマートフォンの両方で渡す

一覧は、財布に入る大きさのカードにして渡し、同じ内容をスマートフォンの連絡先にも登録してもらいます。渡す時期は生活オリエンテーションのときが確実です。平日の昼に仕事を休めない人には、夜や土日も開いている労働条件相談ほっとラインの存在が支えになります。

夜間・休日の相談は「緊急」と「翌営業日」に分ける

夜間の相談は、内容で振り分けるルールを先に決めておきます。運用要領は、就業時間外(夜間)にも対応できることを求めています。事故などの緊急連絡先を設け、基本的にいつでも連絡を受けられる体制も望ましいとしています。ただ、すべてを担当者個人の携帯電話で受け続けると、仕組みが長続きしません。

図4夜間・休日の相談の振り分け方

  1. 命や安全にかかわる(けが・急病・火事・事件・災害)まず119番か110番。そのあと会社の緊急連絡先へ。会社は家族への連絡や病院への同行を判断します。
  2. 今夜の暮らしにかかわる(寮の鍵、設備の故障、発熱)緊急連絡先で受け、翌朝までの対応を決めます。住居の契約や支援の担当と分担しておきます。
  3. 給与・人間関係・手続きの相談メッセージで受け、「翌営業日の正午までに返信」など決めた時刻に返します。急ぎでないことを責めない言い方にします。
振り分けの基準を本人と共有しておくと、夜間の電話は「本当に急ぐもの」に絞られます。出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日一部改正)

連絡先は1本にまとめ、当番で持つ

夜間の連絡先は、会社の携帯電話1台にまとめ、週ごとの当番で持ち回ります。番号が変わらないので本人も迷いません。登録支援機関にも夜間窓口があるなら、どちらにかけるかを内容で決め、カードに書いておきます。

返信の文は3つだけ決めておく

当番が迷わないよう、夜間に送る返信文を3つ用意し、本人の言語とやさしい日本語の両方で登録しておきます。「メッセージを受け取りました。あしたの12時までに返事をします」「けがや病気なら、すぐに119に電話してください」「あしたの朝、会社で話を聞きます。何時に来られますか」。この3つで、夜間のやり取りの多くは足ります。

夜でも開いている公的窓口を伝える

労働条件相談ほっとラインは平日17時〜22時、土日祝日は9時〜21時に受け付けています(2026年10月現在)。残業代などの相談は、会社に言う前にここで整理したい人もいます。災害時の連絡網は災害・緊急時の外国人社員対応で扱っています。心の不調が疑われるときのつなぎ方は、外国人社員のメンタルヘルスとトラブル対応をご覧ください。

相談記録書の書き方と、1年以上の保存

相談を受けたら、その日のうちに相談記録書に残します。運用要領は、相談・苦情に対応したときは相談記録書(参考様式第5-4号)に記録しておく必要があるとしています。省令も、支援の状況に係る文書を作り、特定技能雇用契約の終了の日から1年以上備えて置くことを求めています。

相談記録に書く8項目

図5相談記録に書く8つの項目

  • ① 日時と方法何月何日の何時に、対面・電話・メッセージのどれで受けたか。
  • ② 言語と通訳何語で話したか。通訳や翻訳アプリを使ったか。
  • ③ 相談の内容本人の言葉と、確かめた事実を分けて書く。
  • ④ 本人の希望どうしてほしいか。誰に知られたくないか。
  • ⑤ 会社の対応その場で答えたこと、調べると約束したこと。
  • ⑥ 案内した機関支援機関・公的窓口のどこを案内し、同行したか。
  • ⑦ 結果解決したか、続いているか。本人の受け止め。
  • ⑧ 次の確認日いつ、誰が、もう一度声をかけるか。
参考様式の欄に沿いながら、③と④を分けて書くと、後から読んだ人が判断を誤りにくくなります。

受けてから記録するまでの5つの手順

  1. その場でメモを取る

    日時と、本人が使った言葉をそのまま書きます。訳した言葉と原文が違いそうなら両方残します。

  2. 共有してよい範囲を本人に聞く

    上司に伝えてよいか、支援機関と共有してよいかを確認し、記録に書きます。

  3. 当日中に相談記録書へ清書する

    8項目を埋め、答えを保留したことは「いつまでに返事をするか」まで書きます。

  4. 次の確認日に声をかける

    解決したように見えても、1〜2週間後に一言たずねます。結果を記録に足します。

  5. 月1回、記録を見返す

    同じ人・同じ内容が続いていないかを確かめ、定期面談の話題に入れます。

記入例(③と④を分けた書き方)

10月3日18時40分、メッセージで受信(ベトナム語、翻訳アプリで確認)。③本人の言葉「先週から先輩が私にだけ大きな声を出す」。事実:同じラインの先輩1人。今週2回、作業手順の注意の場面。④本人の希望:先輩に名前を出さずに伝えてほしい。⑤翌日、総務が班長と面談。⑧10月17日に本人へ再確認。

記録を見られる人を決めておく

相談記録には、家族や健康の話も含まれます。保管場所は鍵のかかる棚か、アクセス権を絞ったフォルダにします。見られる人は担当者2人と支援機関に限ります。定期面談の報告書(本人用は参考様式第5-5号、監督者用は第5-6号)と同じ場所にまとめておきます。地方出入国在留管理局から求められたときにも、すぐに出せます。

よくある失敗と、相談体制のチェックリスト

相談体制の失敗は、「窓口はあるのに使われない」形で起きることがほとんどです。相談できないまま不満がたまると、転職や、連絡が取れなくなる事態につながることがあります。

よくある失敗

  • 窓口が班長1人だけで、班長への不満を言う先がない
  • 同僚に通訳を頼み、相談の内容が職場に広まった
  • 夜間の電話を担当者の私用の携帯で受け続け、担当者が疲れて返事が遅れた
  • 「支援機関に任せている」と考え、会社が相談の中身を知らない
  • 記録を残さず、同じ相談が何度も繰り返された
  • 公的窓口を教えると「外に訴えられる」と考え、一覧を渡さなかった

相談体制のチェックリスト

  • 本人が理解できる言語で相談を受ける人、または通訳の手配先が決まっている
  • 勤務日に週3日以上、休日に週1日以上、相談を受けられる
  • 夜間の連絡先が1つにまとまり、本人のスマートフォンに登録されている
  • 社内・支援機関・公的窓口の一覧を、本人の言語で渡した
  • 相談記録書の置き場所と書く人が決まっていて、契約終了から1年以上残す
  • 役所や労働基準監督署への案内・同行を誰がするか決まっている
  • 通訳や同行の費用を、本人ではなく会社が負担する形になっている
  • 相談の記録を、3か月に1回以上の定期面談の話題に反映している

見直しは年1回、定期届出の準備と一緒に

体制の点検は、年1回の定期届出(毎年4月1日〜5月31日に前年度分を提出)の準備と合わせると忘れません。1年分の相談記録を並べ、件数・多かった内容・返信までの日数を数えます。担当者の異動や支援機関の担当替えがあったときも、その月のうちにカードを作り直します。

相談の窓口が機能していない職場では、失踪や転職のリスクも高まります。予防策は特定技能外国人の失踪を防ぐにはと転職されない職場づくりで扱っています。母国語で対応できる登録支援機関を比べたいときは、特定技能のりあい窓口が条件に合う会社を最大3社まで無料でご紹介します。順位は付けず、選ぶのは御社です。掲載している会社から紹介手数料を受け取る場合がありますが、手数料の有無で提案の順番や内容は変えません。

想定ケース:食品製造業(従業員70人)の総務課長が、相談の入り口を3つに増やした理由

想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。

総菜工場で特定技能の社員6人を雇う総務課長(40代)の想定インタビューです。2人が続けて転職したことをきっかけに、相談の受け方を作り直しました。

  • 相談記録は「月1件あるかないか」から、月5〜7件に増えた(多くは小さな困りごとの段階)
  • 夜間の電話は月10回前後から月2回ほどに減った(緊急以外はメッセージで受け、翌営業日の正午までに返信)
  • 見直し後の1年間、特定技能の6人のうち退職者は0人(前の年は2人が転職)

――相談の数が増えたのは、良い変化なのでしょうか。

最初は戸惑いました。仕事が増えたように見えたからです。でも中身を見ると、寮のごみ出しの曜日、給与明細の控除の意味、先輩の言い方がきつい、といった話です。以前なら黙ってためこんでいた種類のことでした。小さいうちに聞けているので、1件の対応は10分ほどで終わります。

――見直しのきっかけは何でしたか。

2人が同じ月に、同じ分野の別の会社へ移ったことです。退職の面談で「言っても変わらないと思った」「誰に言えばいいか分からなかった」と言われ、正直こたえました。窓口は現場の班長1人だけ。班長本人への不満は、どこにも言えなかったんです。

――以前は、どんな困りごとがありましたか。

夜の相談が、班長の私用の携帯に集まっていました。月に10回前後です。班長は寝不足になり、返事が遅れ、相談した側は「無視された」と感じる。記録もないので、同じ話が何度も出ていました。支援機関とは、3か月ごとの面談の報告を受けるだけの関係でした。

――分担を決めるとき、どこで迷いましたか。

全部を登録支援機関に任せるか、かなり迷いました。決め手は、委託契約を見直す打ち合わせでの担当者の一言です。「24時間すべてに出るとは約束できません。そのかわり、緊急かどうかの線引きを一緒に決めましょう」。できないことを先に言ってくれたので、かえって任せる範囲を決めやすくなりました。仕事の段取りは社内、会社に言いにくい話は支援機関。対応言語と返信の目安時刻は、契約書の別紙に書き込みました。

――3つの入り口のうち、どれが一番使われていますか。

メッセージが6割ほどです。意外だったのは紙の相談票で、最初に入っていたのは、日本語の会話が一番苦手な社員からでした。母国語で3行、寮の湯沸かし器が壊れて1週間シャワーが冷たい、と。口では「大丈夫です」と言っていた人です。支援機関の担当者が訳して、翌日には業者を呼べました。

――運用してみて、つまずきはありましたか。

同じ言語の先輩に通訳を頼みすぎて、相談の内容が休憩室で話題になったことがあります。本人には謝りました。今は込み入った話は支援機関の通訳を通し、先輩には日程の調整だけをお願いしています。相談記録は月に1回、私と支援機関の担当者で30分ほど見返します。公的窓口の一覧は、財布に入るカードにして配りました。70人の会社でも無理なく回る形になったと感じています。

相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。

よくある質問

外国人社員から夜間に相談が来たら?

まず、命や安全にかかわる内容かどうかを確かめます。けが・急病・火事・事件なら119番か110番を先にかけてもらい、その後に会社の緊急連絡先で受けます。それ以外は、メッセージで内容を受け取り、「翌営業日の正午までに返信」など決めた時刻に返します。運用要領は夜間などの就業時間外にも対応できることを求めているので、振り分けのルールと連絡先を事前に本人と共有しておきます。

相談・苦情対応を登録支援機関に委託すれば、会社は何もしなくてよいですか?

いいえ。委託しても、雇用契約や報酬、労務管理の責任は会社に残ります。職場で起きた問題を直すのは会社です。支援機関から相談の報告を受ける範囲と、会社が対応する範囲を、委託契約の段階で書面にしておきます。

相談は何語で受ける必要がありますか?同僚に通訳を頼んでもよいですか?

本人が十分に理解できる言語で受ける必要があります。運用要領は、通訳が確保できないときに、同僚の外国人や翻訳アプリを応急的に使うことは差し支えないとしています。ただし、詳しい聞き取りには通訳の確保を求めています。給与や人間関係の相談は、同僚以外の通訳を使うほうが安全です。

相談の内容を上司や支援機関と共有してもよいですか?

本人の同意を得た範囲で共有します。相談を受けた時点で「誰に伝えてよいか」を本人に聞き、相談記録書に書いておきます。命や安全にかかわる場合は、本人を守るために必要な範囲で関係者に伝えることも考えます。

相談記録は何年保存すればよいですか?

特定技能雇用契約の終了の日から1年以上です。省令は、支援の状況に係る文書を作成し、支援を行う事業所に、契約終了の日から1年以上備えて置くことを求めています。オンラインで定期面談をした場合の録画も、同じく1年以上の保管が必要です。

支援を委託しない会社(自社支援)でも、同じ基準ですか?

同じです。本人が十分に理解できる言語で支援できる体制を持ち、勤務日に週3日以上・休日に週1日以上相談に応じる必要があります。社内に母国語を話せる人がいない場合は、通訳の手配先を先に決めておきます。

苦情の相手が会社自身だったときは、どうすればよいですか?

会社の窓口だけで受けず、登録支援機関や公的窓口にもつなげる形にします。たとえば残業代の不満なら、会社が事実を確かめるのと並行して、本人には労働条件相談ほっとラインの存在も伝えます。外の窓口を教えることを恐れないほうが、結果として信頼が残ります。

相談窓口の一覧は、いつ渡せばよいですか?

入社直後の生活オリエンテーションのときに渡すのが確実です。運用要領は、オリエンテーションで行政機関などの連絡先を伝えることを求めています。相談窓口の一覧をあらかじめ手渡すことも望ましいとされています。番号が変わったら、その都度カードを作り直します。

この記事の編集方針と出典

  • 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
  • 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
  • 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
  • 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
  • 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。

出典

  1. 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日一部改正)
  2. e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月確認)
  3. 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」(2026年10月確認)
  4. 出入国在留管理庁「特定技能制度」(2026年10月)
  5. 出入国在留管理庁「令和6年度 在留外国人に対する基礎調査報告書」(2024年9〜10月調査)
  6. 厚生労働省「確かめよう労働条件:相談機関のご紹介(外国人労働者向け)」(2026年10月現在)
  7. 出入国在留管理庁「外国人在留総合インフォメーションセンター等」(2026年10月確認)
  8. 出入国在留管理庁「外国人在留支援センター」(2026年10月確認)
  9. 出入国在留管理庁「外国人在留支援センター よくある質問」(2026年10月確認)
  10. 法務省 広報誌「あかれんが」vol.91(法テラスの多言語情報提供サービス)(2026年10月確認)
  11. 厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(平成19年告示(改正を含む))
  12. 岡山労働局「職場におけるパワーハラスメントの防止について」(2026年10月確認)
  13. 出入国在留管理庁「登録支援機関の支援体制要件の改正(令和9年4月1日施行)」(2027年4月1日施行)
  14. 福岡県「令和7年度 外国人介護人材の受入れ状況等に関するアンケート調査結果報告書」(令和7年度)

最終更新:(2026年10月版)

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