特定技能のりあい窓口

https://tokutei-noriai.blog/2026/10/15/shanai-setsumei/ 印刷日:2026年10月15日

特定技能の人材紹介会社・登録支援機関を比べて相談できる窓口 全国オンライン対応

外国人受け入れ前の社内説明|日本人社員の不安に答える方法

反対の声は「仕事・言葉・待遇」の3つに分けて答える。説明会の台本と、そのまま使える回答例

外国人の受け入れを決めたものの、現場から「教える余裕がない」「言葉が通じるのか」と反対の声が出る。社内説明をどう進めるかで、受け入れの滑り出しは大きく変わります。社員の不安の多くは、制度を知らないことや、受け入れ後に自分の役割がどうなるか見えないことから生まれます。この記事では、岡山県の介護事業所調査などの公的データで現場の不安の中身を整理し、社員説明会の60分の進め方、よく出る質問への答え方の例、説明会のあとの役割分担を、2026年10月時点の情報で示します。

この記事の結論
  • 不安は「仕事・言葉・待遇」の3つに分けて答える:岡山県の調査では、受け入れない理由の上位は「指導できる職員がいない」41.6%、「利用者等とのコミュニケーションに支障」32.4%でした。種類ごとに答えを用意します。
  • 説明会は60分、質疑に20分を残す:社長が自社の事実で理由を話し、数字・制度・受け入れ計画の順に示してから質問に答えます。事前の匿名アンケートで質問を集めると、本音が出ます。
  • 誤解には事実で、負担には役割と評価で応える:報酬は日本人と同等以上が要件で、人件費を下げる制度ではありません。指導役の負担は、手当や評価、支援の委託で軽くします。

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この記事の目次

外国人の受け入れの社内説明は「2回の場」と「3つの不安」で組み立てる

外国人の受け入れを社内に説明するときは、場を2回に分け、不安を3種類に分けて答えるのが近道です。1回目は受け入れを決める前の意見の聞き取り、2回目は入社の1〜2か月前の説明会です。不安は「仕事(教える負担)」「言葉と生活」「待遇と将来」に分けると、答えを準備しやすくなります。話すのは社長自身が基本です。外部の会社に全部任せると、「会社が本気なのか」が伝わりにくくなります。

全国で37万の事業所が、外国人を雇っている

厚生労働省の集計では、2025年10月末の外国人労働者は2,571,037人、外国人を雇う事業所は371,215所でした。どちらも届出が義務化されて以降で最多です。外国人を雇う事業所の63.1%は、従業員30人未満の規模でした。

図1外国人と働く職場は、すでに珍しくない(説明会の冒頭で使える数字)

  • 2,571,037人外国人労働者2025年10月末・過去最多
  • 371,215所外国人を雇う事業所前年から29,128所増
  • 63.1%そのうち従業員30人未満の事業所事業所数に占める割合
  • 444,256人特定技能で在留する外国人2026年6月末・速報値
小さな会社でも、外国人と働くことは珍しくありません。冒頭で示すと「うちだけが特別なことをする」という不安が和らぎます。出典:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」(2026年1月30日公表)、同【概要版】(2025年10月末)、出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数(令和8年6月末・速報値)」(2026年6月末)

説明が足りないと、反対は「理由の見えない反対」になる

反対の声には、受け入れそのものへの反対と、知らされていないことへの反発が混ざっています。朝礼で「来月から外国人が来る」と伝えるだけでは、「聞いていない」「誰が教えるのか」という声が残ります。決める前に意見を聞き、決めたあとに計画を示す。この2段階を踏むと、反対の中身が具体的な質問に変わり、答えられるようになります。

自社の分野で受け入れの枠がどれだけ残っているかも、説明の前に確かめておきます。分野ごとの消化状況は受入れ見込数の記事で確認できます。

現場の不安は何か:外国人の受け入れをためらう理由のデータ

現場の不安で最も多いのは「教えられる人がいない」こと、次が「言葉」です。岡山県の調査(2023年9月1日時点)は、外国人介護人材の受入予定がない1,345事業所に理由を聞いています(複数回答)。在留資格を問わない、介護事業所の数字です。

図2外国人介護人材を受け入れない理由(岡山県・受入予定がない1,345事業所、複数回答)

  • 指導できる職員がいない41.6%
  • 利用者等とのコミュニケーションに支障32.4%
  • 日本語の文章力・読解力の不足32.3%
  • 文化・生活習慣の違い26.2%
  • 受入制度が分からない22.5%
  • 費用の相場が分からない18.4%
上位は「指導」と「言葉」です。どちらも、受け入れの準備と説明で答えられる不安です。出典:岡山県「令和5年度 外国人介護人材の受入状況等に関するアンケート調査」(2023年9月1日時点)

不安は「仕事・言葉・待遇」の3つに分けて答える

  • 仕事の不安(誰が教えるのか、負担が増えるのでは)→ 指導役の決め方、評価と手当、手順書の整備、支援の委託で答えます。
  • 言葉と生活の不安(話が通じるのか、生活の面倒は)→ 日本語の要件、伝え方のルール、生活支援の担い手で答えます。
  • 待遇と将来の不安(安く雇うのか、自分の仕事は)→ 報酬のルール、制度の目的、日本人の採用方針で答えます。

「事例」と「制度の説明」が、ためらいを減らす

同じ調査は、課題が解決しても受け入れないと答えた572事業所に、どんな支援があれば検討するかも聞いています(複数回答)。上位は「他施設での外国人介護人材受入事例の紹介」33.4%と、「受入れに関する制度説明」31.3%でした。社内説明でも、同業の事例と制度の基本が、不安を減らす材料になります。介護以外の業種でも、指導と言葉は受け入れ準備で必ず決める項目です。同じ順番で説明を用意しておきましょう。

受け入れた会社が実際に困ったことは「費用」と「手続き」

対象の違う調査ですが、現場が心配することと、受け入れた会社が実際に困ったことは少しずれています。日本政策金融公庫の調査は、外国人を雇う企業のうち困っていることが「ある」654社に内容を聞いています(三つまで回答)。上位は、費用・入管の手続き・在留できる年数でした。

図3外国人を雇う企業が困っていること(上位3つ、三つまで回答)

  • 採用費用(渡航費や手数料など)が想定よりも高い27.8%
  • 入管の手続きに時間や手間がかかる26.9%
  • 在留できる年数が短い24.2%
上位3つは、どれも経営と総務の側で向き合う課題です。説明会では「手続きと費用は会社が担う」と分けて伝えると、現場の負担感が整理されます。出典:日本政策金融公庫総合研究所「中小企業等における外国人雇用に関するアンケート」(2025年2月21日公表)

外国人の受け入れに社員が反対する理由と、本音の聞き方

社員の反対は、理由によって答え方が変わります。理由はおおむね「教える負担」「自分の待遇や評価への影響」「言葉や文化の違い」「過去に見聞きした失敗」「制度の誤解」の5つに分けられます。このうち「制度の誤解」には、公的資料の事実を示して答えられます。

図4社内で出やすい思い込みと、公的資料で分かる事実

  • 外国人は安く雇える特定技能の雇用契約は、報酬が日本人が同じ仕事をする場合と同等以上であることが基準です(特定技能基準省令1条1項3号)。
  • 日本語がまったく通じない特定技能1号は、国際交流基金日本語基礎テストか日本語能力試験N4以上で日本語力を確認します。N4は「基本的な日本語を理解することができる」水準です。仕事の言葉は職場で教える必要があります。
  • すぐに辞めてしまう同じ分野の中なら本人の意思で転職できます。外国人従業員の退職があった484社の回答でも、退職理由は「日本で転職するため」51.0%が最多でした(日本政策金融公庫、2025年2月公表)。辞める理由が「別の職場を選ぶこと」なら、定着を左右するのは職場の働きやすさです。
  • 生活の面倒は社員が全部見る1号の義務的支援10項目は会社の責任ですが、登録支援機関に全部委託できます。社員にお願いするのは、職場での声かけや交流です。
  • 日本人の仕事が減る特定技能は、生産性の向上や国内人材の確保に取り組んでもなお人材の確保が難しい分野に限って受け入れる制度です(出入国在留管理庁「制度概要」)。
誤解には、出典つきの事実で答えます。自社の方針(日本人の採用を続けるか等)は、社長の言葉で補います。出典:e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月確認)、日本語能力試験「N1〜N5:認定の目安」(2026年10月確認)、日本政策金融公庫総合研究所「中小企業等における外国人雇用に関するアンケート」(2025年2月21日公表)、出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」(2026年9月29日更新)

本音を聞く:匿名アンケートと少人数の聞き取り

全員の前では言いにくい本音は、紙1枚の匿名アンケートで集めます。質問は「受け入れで心配なこと」「会社に準備してほしいこと」「自分が手伝えること」の3つで足ります。配属先のリーダーとは、3〜5人で30分ほど話す場を別に設けます。集めた声は、説明会の質疑の順番づくりに使います。

強く反対した人を、準備の担い手に招く

強く反対する人ほど、現場の危ない作業や、教えにくい手順をよく知っています。「何が心配か」を聞いたら、「どうすれば防げるか」も一緒に考えてもらいましょう。安全の言葉のリストや、写真つきの手順書づくりを頼むと、反対の理由がそのまま準備の項目になります。

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外国人の受け入れ説明会の進め方(60分の台本)

説明会は60分で、質疑に20分を残します。社長が自分の言葉で理由を話し、数字・制度・計画の順に示してから、質問に答える流れです。配属先の社員だけでなく、同じ職場で働くパートや、関わる部署の人も対象にします。

  1. 社長が受け入れの理由を話す(5分)

    求人に応募が来なかった期間、欠員の数、残業の増え方など、自社の事実で話します。日本人の採用を続けるかどうかも、ここで伝えます。

  2. 数字で現状を共有する(10分)

    全国の外国人雇用の数字と、自社の分野の受け入れ状況を示します。小さな会社でも外国人と働く例が多いことを伝えます。

  3. 制度の基本を説明する(10分)

    特定技能とは何か、日本語の要件、報酬は日本人と同等以上であること、1号は通算5年までであること、生活支援の仕組みを説明します。

  4. 受け入れ計画を示す(10分)

    人数、入社の時期、配属先、指導役、住まい、委託先を示します。候補者の試験の合格や経歴をどう確かめるかも伝えると安心につながります。

  5. 質問に答える(20分)

    アンケートで多かった質問から答えます。その場で答えられないことは持ち帰り、1週間以内に文書で回答します。

  6. 次の約束をする(5分)

    入社までの準備の担当と、受け入れ3か月後に振り返る日を伝えます。

準備するもの:A4で1枚の資料

資料はA4で1枚にまとめます。載せるのは、受け入れの理由、人数と時期、配属先と指導役、報酬のルール、相談の窓口の5点です。制度の部分は、委託先の登録支援機関に事実の誤りがないか見てもらいます。候補者の確認の手順は候補者の確認方法の記事にまとめています。

当日の役割:司会・社長・制度の説明役を分ける

司会は総務の担当者、理由と約束は社長、制度の説明は委託先の登録支援機関の担当者、と役割を分けます。社長が制度の細部まで話すと、質問が細かい規則の話に流れがちです。社長は「なぜ受け入れるか」と「社員に何を約束するか」に集中しましょう。終了後は、事前と同じ3つの質問でアンケートを取り、不安がどう変わったかを確かめます。

説明会で避けたい言い方

  • 「外国人なら安く使える」「文句を言わない」など、事実に反し、差別につながる言い方
  • 「◯◯人は真面目だから」など、国籍で人柄を決めつける言い方
  • 「もう決まったことだから」と、質問を打ち切る言い方
  • 本人の了解を取らずに、指導役を全員の前で発表すること

よく出る質問への答え方の例

説明会で出る質問の多くは、前もって答えを用意できます。答え方の原則は3つです。事実で答える、分からないことは持ち帰る、社員の負担が増えることは認める。下の表は、根拠とあわせて使える回答例です。

社員説明会でよく出る質問と、答え方の例(2026年10月時点の制度にもとづく)
よく出る質問答え方の例根拠
安く雇えるから入れるのですか「いいえ。報酬は、日本人が同じ仕事をする場合と同等以上が条件です。人件費を下げる目的では使えません」特定技能基準省令1条1項3号
私たちの仕事が減りませんか「人手不足の分野で、国内の人材確保に取り組んでもなお足りない場合の制度です。日本人の募集も続けます」出入国在留管理庁「制度概要」+自社の方針
日本語は通じますか「日本語の試験に合格しています。基本的な日本語は分かりますが、仕事の言葉は職場で教えます。短く、はっきり話す協力をお願いします」日本語能力試験N4以上などの要件
教える手間の分、評価は「指導役は役割として評価に入れ、手当も設けます。最初の3か月は作業量を調整します」自社で決める事項
すぐ辞めませんか「同じ分野なら転職できる制度です。だから働きやすい職場づくりが要で、皆さんの協力が欠かせません」特定技能制度、日本政策金融公庫の調査
生活の面倒まで見るのですか「生活の支援は会社の責任として、登録支援機関に委託します。皆さんには職場での声かけをお願いします」1号の義務的支援10項目
外国人だけ特別扱いですか「給与・教育・福利厚生は同じルールです。国籍で差をつけることは法律で禁じられています。伝え方だけ工夫します」労働基準法3条、特定技能基準省令1条1項4号
困ったら誰に相談すれば「総務の担当者が窓口です。本人との定期面談も3か月に1回以上行います」1号の支援(定期面談)

「特別扱いではない」を正確に伝える

労働基準法3条は、国籍を理由に賃金や労働時間などの労働条件で差別的な取扱いをすることを禁じています。特定技能の基準省令も、外国人であることを理由に、報酬の決定、教育訓練、福利厚生施設の利用などで差別的な取扱いをしないことを求めています。言葉の壁への配慮は、ルールの差ではなく「伝え方の工夫」だと説明しましょう。

説明会のあとにすること:役割分担と職場のルール

説明会で終わらせず、入社までに「誰が・何を」するかを決めます。役割が見えると、社員の不安は「自分は何をすればよいか」という具体的な問いに変わります。

図5受け入れ前に決める4つの役割

  • 経営者受け入れの方針、指導役の評価と手当、委託先の選定、3か月後の振り返りの主催。
  • 総務・人事届出と手続き、支援の委託先との窓口、社内の相談窓口、災害時の連絡網。
  • 現場リーダー配属とシフト、写真つき作業手順書の準備、安全教育の計画。
  • 指導役(先輩)最初の3か月の付き添い、毎日の短い声かけ、質問の受け手。
指導役は1人に集中させず、2人1組にすると休みの日も途切れません。

指導役は「説明を何度でもできる人」を選ぶ

指導役に向くのは、外国語が得意な人より、同じことを落ち着いて何度でも説明できる人です。経験年数より、手順を言葉や写真で示せるかを見ます。最初の1か月は指導役の担当作業を減らし、教える時間を勤務の中に確保します。

「やさしい日本語」を職場の共通ルールにする

出入国在留管理庁と文化庁は「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」をまとめています。話し言葉のポイントには「短くはっきり言い切る」「相手が理解できる言葉に言い換える」「資料・写真・実物を使う」などが挙がっています。職場では、言い換えの例を休憩室に貼っておくと、日本人社員も実践しやすくなります。

  • 「あれ取って」→「青い箱を取ってください」
  • 「ちょっと待って」→「5分、待ってください」
  • 「適当にやっといて」→「この順番で、3つ、してください」
  • 「なるはやで」→「今日の3時までに、してください」

ハラスメントを防ぐルールを、受け入れ前に確かめる

パワーハラスメントの防止措置は、2022年4月1日から中小企業でも義務です。方針の周知と相談窓口が整っているかを、受け入れ前に見直します。説明会では、国籍や言葉をからかう言動は許されないことを明言します。外国人雇用管理指針も、2026年5月29日告示の改正で基本的な考え方を広げました。日本人労働者が共生社会の実現について理解し協力することが加わり、2026年6月14日から適用されています。外国人本人に向けた研修は入社前研修の記事、災害時の連絡網は災害・緊急時の対応の記事を参考にしてください。

反対が強いときの進め方と、説明会前のチェックリスト

反対が強いときは、無理に押し切らず「小さく始めて、期限を決めて見直す」形にします。1〜2人の受け入れから始め、3か月後に振り返る日を先に決めます。期限があると、反対していた人も「まず様子を見る」立場に移りやすくなります。

3か月後の振り返りで聞く3つのこと

  • 指導役の負担:1日あたりの指導時間は、想定と比べてどうだったか
  • 仕事の質と安全:ミスやヒヤリハットは、どの作業で起きたか
  • 職場の雰囲気:言葉や習慣の違いで困った場面と、うまくいった工夫

結果は社員全員に返します。うまくいかなかった点を隠さず、次の手を示すことが、2人目以降の受け入れへの信頼になります。

反対を続ける人への接し方

受け入れが始まってからも反対の立場を変えない社員はいます。意見を言ったことを理由に、評価や配置で不利に扱うことはしません。そのうえで、職場のルール(からかい・無視をしない、指示は分かる言葉で)は全員に同じように求めます。考えは自由、行動はルールどおり、と線を引くと、現場は落ち着きます。

社内の手間を、先に見積もって示す

「負担が増える」という反対には、増える手間を時間で示すのが誠実です。手続き、支援の窓口、指導の時間が月に何時間になるかを見積もり、どこを委託で減らすかを説明します。見積もりは、受け入れ後の実績と比べられるよう記録に残します。作業時間の目安は社内の手間の記事で整理しています。受け入れできる会社の条件を満たしているかも、受入れ機関の基準の記事で事前に確かめておきましょう。

説明会前のチェックリスト

  • 受け入れの理由を、自社の数字(応募数・欠員・残業)で話せる
  • 匿名アンケートで質問を集め、多い順に並べた
  • 人数・時期・配属先・指導役の案を決めた
  • 指導役の評価と手当の扱いを決めた
  • 報酬のルール(日本人と同等以上)を説明できる
  • 制度の説明に誤りがないか、委託先に確認してもらった
  • 相談の窓口と、3か月後の振り返りの日を決めた
  • シフトの都合で参加できない社員への説明方法を決めた

採用の方法を検討している段階なら、紹介会社を使わない場合の手間とリスクを直接採用の記事で比べておくと、社内での説明にも根拠が増えます。

想定ケース:金属加工会社(従業員45人)の専務が、説明会を2回開いた理由

想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。

  • 説明会の前後の匿名アンケートで、「受け入れに反対」と答えた人が11人から3人に減った
  • 指導役に4人が手を挙げ、2人1組で教える体制ができた
  • 受け入れから6か月、2人とも在籍し、現場から総務への相談は月1〜2件に落ち着いた

工業製品製造業の会社で、専務を務める50代の男性を想定したインタビューです。

――いちばん変わったことは何ですか。

反対が11人から3人に減ったことです。ただ、数字以上に変わったのは質問の中身でした。最初は「なぜ外国人なのか」でしたが、2回目の説明会のあとは「どの機械から教えるか」に変わりました。

――受け入れを考えたきっかけは。

ハローワークに1年近く求人を出して、応募が2件だけだったんです。残業が月30時間を超える社員も出てきて、このままでは事故が起きると思いました。同業の集まりで、30人規模の会社が特定技能の人を受け入れていると聞き、うちでもできるのではと考え始めました。

――最初は、どう伝えたのですか。

朝礼で社長が一言伝えただけでした。ベテランの班長から「聞いていない」「教える暇はない」と言われ、正直、反対されるとは思っていなかったので慌てました。それで、決める前の聞き取りからやり直したんです。匿名のアンケートを配ると、45人中38人が書いてくれました。一番多かったのは「誰が教えるのか」で、「外国人が嫌だ」という声はほとんどありませんでした。

――説明会の準備で、迷ったことはありますか。

給与の話をどこまでするかです。「外国人のほうが高いらしい」という噂まで出ていました。登録支援機関の担当者に相談すると、個人の金額は言わず、「日本人と同等以上」というルールだけを示せばいいと教えてくれました。その担当者は「現場の負担はゼロにはなりません」とも言ったんです。都合のいい話だけをしない人だと感じて、制度の説明の部分をお願いしました。

――2回目の説明会は、どう進めましたか。

社長が5分で理由を話し、私が人数と配属、指導役の案を説明しました。制度は登録支援機関の担当者に10分お願いしています。質問は事前のアンケートで17件集まっていたので、多い順に答えました。その場で答えられなかった2件は、翌週に紙で回答しました。

――受け入れてから、つまずいたことは。

最初の1か月は、指導役の残業が週に2〜3時間増えました。もう一つは、指導役がつい「ちょっと」「あれ取って」と言ってしまうことです。やさしい日本語の言い換え例を休憩室に貼り、手順書も写真つきに作り直しました。指導役には手当を新しく設けて、評価の項目にも入れています。

――反対していた班長は、いまどうしていますか。

指導役のまとめ役です。危ない作業で使う言葉を20個選んで、リストを作ってくれました。反対の理由が一番具体的だった人が、一番頼れる準備役になったわけです。いまは日本人の新人にも、そのリストを使って教えています。

相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。

よくある質問

外国人の受け入れに社員が反対したら?

まず反対の理由を聞き、「仕事の負担」「言葉や生活」「待遇や将来」のどれかに分けて答えます。誤解には制度の事実で、負担には役割分担と評価で応えます。それでも不安が強いときは、1〜2人から小さく始め、3か月後に振り返る日を決めて進めます。反対した人を準備の担い手に招くと、現場の課題が早く見つかります。

社員への説明は、いつ行えばよいですか?

受け入れを決める前の聞き取りと、入社の1〜2か月前の説明会の2回が目安です。海外から呼ぶ場合は在留資格の審査に標準1〜3か月かかるため、内定を出すころに説明会を開くと準備の時間を取れます。内定から入社までの流れは内定後のフォローの記事にまとめています。

パートやアルバイトの社員にも説明しますか?

同じ職場で働く人には、雇用形態を問わず説明します。現場で最初に声をかけるのが、パートの社員ということもあるからです。シフトで参加できない人には、同じ内容を別の日にもう一度行うか、資料と録画で伝えます。

外国人社員の給与額を、ほかの社員に伝えるべきですか?

個人の給与額は伝えません。伝えるのは「報酬は日本人が同じ仕事をする場合と同等以上」という制度のルールです。噂が出ているときほど、ルールを文書で示すと落ち着きます。

外国人社員だけ、別のルールを作ってもいいですか?

国籍を理由に、賃金や労働時間などの労働条件で差をつけることはできません(労働基準法3条)。安全のルールも同じものを使います。多言語の掲示や写真つきの手順書のような配慮は、ルールの差ではなく、伝え方の工夫として行います。

日本人社員との交流の場は、会社が用意しなければいけませんか?

特定技能1号の義務的支援には「日本人との交流促進」が含まれています。地域の行事や社内行事の案内、参加の手助けなどです。社員に参加を強いるのではなく、参加しやすい場をつくることを考えましょう。

すでに働いている外国人社員に、説明会で話してもらうのは有効ですか?

本人が望むなら有効です。仕事で困ったことや、助かった声かけを話してもらうと、社員は具体的な場面を思い浮かべられます。ただし、会社の代弁役を頼むのは避け、断ってもよいことを先に伝えます。母語で話したい場合は、通訳を用意しましょう。

介護の利用者やご家族への説明も必要ですか?

利用者や家族と接する仕事では、入社の前にお知らせを出しておくと安心につながります。伝えるのは、名前、担当する仕事、日本語の試験に合格していること、困ったときの相談先です。国籍を強調する書き方ではなく、新しい職員の紹介として伝えます。

説明会の資料は、誰が作ればよいですか?

会社が作るのが基本です。受け入れの理由や計画は、社長や担当者の言葉で書きます。制度の部分は、委託先の登録支援機関や紹介会社に確認してもらうと、誤りを防げます。

この記事の編集方針と出典

  • 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
  • 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
  • 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
  • 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
  • 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。

出典

  1. 厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」(2026年1月30日公表)
  2. 厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況【概要版】(令和7年10月末時点)」(2025年10月末)
  3. 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数(令和8年6月末・速報値)」(2026年6月末)
  4. 岡山県「令和5年度 外国人介護人材の受入状況等に関するアンケート調査」(2023年9月1日時点)
  5. 日本政策金融公庫総合研究所「中小企業等における外国人雇用に関するアンケート」(2025年2月21日公表)
  6. 出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」(2026年9月29日更新)
  7. 出入国在留管理庁「特定技能制度」(2026年10月)
  8. e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月確認)
  9. e-Gov法令検索「労働基準法」(2026年10月確認)
  10. 日本語能力試験「N1〜N5:認定の目安」(2026年10月確認)
  11. 出入国在留管理庁・文化庁「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン~話し言葉のポイント~」概要版(2026年10月確認)
  12. 厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」(2026年10月確認)
  13. 労働政策研究・研修機構「外国人雇用管理指針」改正告示(2026年5月29日)

最終更新:(2026年10月版)

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