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特定技能外国人の教育・OJTの進め方|最初の3か月の計画
1週目は安全、1か月目は基本作業、3か月目は任せて確かめる。指導担当に背負わせない計画の立て方
文・構成:特定技能のりあい窓口 編集部最終更新:情報の確認日:(数値ごとに時点を記載)出典:公的機関の公表資料(ページ末尾に一覧)
特定技能の外国人が入社することになったが、誰がどう教えるのかが決まっていない。ベテランに「見て覚えて」と任せてよいのか不安だ。そんな会社に向けて、外国人のOJTの進め方を、最初の3か月の週ごとの教育計画としてまとめました。雇入れ時の安全衛生教育や生活オリエンテーションなど、法令や制度で決まっていることを先に押さえます。そのうえで、教える順番と確かめ方、指導担当者の選び方と負担の減らし方を、すぐ使える表とチェックリストで示します。
- OJTの前に、決まっていることを入れる:雇入れ時の安全衛生教育(2024年4月から全業種で全項目)、生活オリエンテーション(8時間以上が目安)、3か月に1回以上の定期面談を、計画の最初に組み込みます。
- 3か月を週で区切る:1週目は安全と職場のルール、1か月目までに基本作業、2か月目は1人でできる作業を増やし、3か月目は任せて確かめます。
- 指導担当は主・副の2人で:仕事を教える指導担当と、相談を受ける支援担当は分けます。指導の時間を業務量から差し引くと、負担が1人に偏りません。
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この記事の目次
外国人のOJTの進め方は「安全→基本→任せる」を週で区切る
外国人のOJTは、最初の3か月を週単位で区切って進めます。1週目は安全と職場のルール、1か月目までに基本作業、3か月目には任せて確かめる、という順番です。教える人は1人に背負わせず、主・副の2人で回します。
OJT(仕事をしながら教えること)は、日本人の新人と同じ中身で構いません。変えるのは教え方です。言葉だけに頼らず、写真・実物・やってみせる時間を増やします。
図1最初の3か月のOJTの流れ
- 入社前:仕事の全体を見せておく仕事の流れ、勤務時間、持ち物、職場の言葉の一覧を、写真や動画で送ります。
- 1週目:安全に動ける雇入れ時の安全衛生教育、合図、職場のルール。生活オリエンテーションもこの週に行います。
- 2〜4週目:基本作業を手順どおりにできる写真マニュアルを使い、見せる→一緒にやる→見守りで任せる、を作業ごとに繰り返します。
- 5〜8週目:担当の作業を1人で回せる任せる作業を増やし、品質の基準と報告のしかたを身につけます。
- 9〜12週目:任せて、確かめる急な変更への対応を経験し、3か月目に評価をして次の目標を決めます。
計画を立ててOJTをしている会社は約半分
日本政策金融公庫の調査は、外国人を雇う684社に、教育担当者や内容を具体的に定めた「計画的なOJT」の実施状況を聞いています。日本人と外国人の両方に行っている会社は55.8%でした。計画のないまま現場に任せている会社も、少なくないと読めます。
「教える人がいない」が、受け入れをためらう理由の1位
岡山県の介護事業所調査(2023年9月1日時点)は、外国人の受入予定がない1,345事業所に理由を聞いています。1位は「外国人介護職員を指導できる職員がいない」で、41.6%でした。指導の体制は、受け入れる前に決めておきたい課題です。
OJTの前に押さえる、法令と制度で決まっていること
OJTの計画には、会社が自由に決める部分の前に、法令や制度で決まっている教育と支援を入れます。とくに雇入れ時の安全衛生教育は、2024年4月1日から業種を問わず全項目が必要になっています。
図2最初の3か月に入れる、決まっている教育と支援
| 項目 | 中身 | 時期・回数 | 担当 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| 雇入れ時の安全衛生教育 | 下の8項目 | 雇い入れたとき | 会社 | 労働安全衛生規則35条(2024年4月から全業種で全項目) |
| 安全衛生教育の方法 | 母国語や視聴覚教材を用いるなど、理解できる方法で行う | 教育のたび | 会社 | 外国人雇用管理指針 |
| 生活オリエンテーション | 生活のルール、役所や病院の手続きなど | 入社直後に8時間以上が目安 | 支援担当(委託可) | 1号の支援の運用要領 |
| 定期面談 | 本人と、指示を出す上司の双方と面談 | 3か月に1回以上 | 支援責任者・支援担当 | 1号の支援の運用要領 |
| 日本語学習の機会の提供 | 教室・教材・講座の案内と手続きの補助 | 入社前後 | 支援担当(委託可) | 1号の支援の運用要領 |
| 教育訓練の配慮 | 日本語能力に配慮した教育訓練に努める | 2026年6月14日から | 会社 | 外国人雇用管理指針の改正 |
雇入れ時の安全衛生教育の8項目
- 機械や原材料などの危険性・有害性と、その取扱い方法
- 安全装置・有害物抑制装置・保護具の性能と取扱い方法
- 作業手順
- 作業開始時の点検
- その業務で起こるおそれのある病気の原因と予防
- 整理、整頓、清潔の保持
- 事故のときの応急措置と退避
- そのほか、その業務の安全・衛生に必要なこと
以前は業種によって前半の4項目を省けましたが、その規定は廃止され、2024年4月1日から全業種で全項目の教育が義務になっています。機械の種類によっては、特別教育や技能講習を受けた人でなければ就けない作業もあります。任せる前に、該当するかを確かめておきます。
母国語の教材は、国の物から探す
厚生労働省は、11言語に対応した「マンガでわかる働く人の安全と健康」や、業種別の安全衛生教育の教材を公開しています。食料品製造業や金属製品製造業などに向けた、イラストつきの注意表示もあります。自社の資料を一から翻訳する前に、使える物がないか確かめると準備が早く済みます。
研修の時間は労働時間
厚生労働省のガイドラインは、次の時間を労働時間の例に挙げています。業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示で業務に必要な学習をした時間です。OJTも安全教育も、勤務時間の中で行う前提で計画します。
特定技能外国人の教育計画(週ごとの計画表)
教育計画は、週ごとに「できるようになること」と「確かめ方」を決めると、教える側の迷いが減ります。下の表は、作業の種類を問わず使える形にした例です。自社の作業名を入れて使ってください。
図3最初の3か月の週ごとの教育計画表(例)
| 時期 | 目標(できるようになること) | 教えること | 進め方 | 確かめ方 |
|---|---|---|---|---|
| 入社の1〜2週前 | 職場と仕事の全体が分かる | 仕事の流れ、勤務時間、持ち物、職場の言葉の一覧 | 写真と動画を送り、オンラインで15分話す | 本人から質問を3つ出してもらう |
| 1週目 | 安全に動ける | 安全衛生教育の8項目、合図、職場のルール、休憩と報告のしかた | 実物と写真、母国語の資料を使う | 危ない場所を本人に指さしてもらう |
| 2週目 | 簡単な作業を手順どおりにできる | 基本作業2つ(写真マニュアル) | 見せる→一緒にやる | 手順を本人に説明してもらう |
| 3〜4週目 | 基本作業を見守りの中で1人でできる | 基本作業3つ、終わったときと困ったときの報告 | 任せて、近くで見る | 1日の作業を見守りの中で終えられる |
| 5〜8週目 | 担当の作業を1人で回せる | 作業を2つ追加、段取り、品質の基準 | 任せて、終わりに確認する | 不良や手直しの件数 |
| 9〜12週目 | 決まった作業を任せられる | 急な変更への対応、次の作業の準備 | 任せて、週1回振り返る | 3か月目の評価シート |
毎週15分の振り返りを固定する
週の最後に、指導担当と本人で15分話します。聞くのは「できるようになったこと」「まだ不安なこと」「来週やること」の3つです。答えを1行ずつ記録しておくと、3か月目の評価と、3か月に1回の定期面談の材料になります。
進みが遅いときは、3つの順で見直す
計画より遅れているときは、本人の能力を疑う前に、教える側から見直します。1つ目は、一度に教える量が多すぎないか。2つ目は、指示の言葉が伝わっているか(やってもらって確かめたか)。3つ目は、体調や住まいなど生活の困りごとがないか、です。生活のことは、支援担当に面談で聞いてもらいます。
入社前の準備が、1週目の質を決める
住まい、通勤、役所の手続きが落ち着かないと、仕事を覚える余裕は生まれません。住居の準備は特定技能外国人の住居確保で、入社日から逆算した段取りを確かめてください。急いで入社してもらう場合も、1週目の安全教育は省けません(特定技能を急いで採用したい)。
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入社初日の進め方と、前日までの準備
初日は、作業を覚える日ではなく、安全に過ごせる場所と、頼れる人を覚える日にします。前日までにマニュアル・保護具・指導担当の予定をそろえておくと、初日の流れが崩れません。
図4入社初日のスケジュール(例)
- あいさつと職場の案内
ロッカー、トイレ、休憩所、避難経路、救急箱の場所を一緒に歩いて確かめます。
- 安全衛生教育(1)
危ない場所と保護具の使い方。写真と実物で示し、母国語の資料も渡します。
- 合図と職場の言葉の練習
「止めて」「危ない」などの合図と、職場の言葉の一覧を声に出して練習します。
- 昼休み
指導担当と一緒に取り、休憩の取り方や食事の場所を伝えます。
- 安全衛生教育(2)
作業手順の基本、作業前の点検、事故のときの連絡と退避を教えます。
- 作業の見学
翌週から教える作業を、指導担当がやってみせます。
- 1日の振り返り
15分で、分からなかったことと明日の予定を確かめます。
前日までに準備しておくこと
- 週ごとの計画表に、自社の作業名と指導担当の名前を書き込んだ
- 最初の2週間で使う写真マニュアルを3枚以上そろえた
- 保護具と作業着のサイズを本人に聞き、用意した
- 名札に、本人が読める表記で名前を書いた
- 指導担当の最初の1か月の作業量を減らし、職場に知らせた
- 合図のカードと職場の言葉の一覧を、作業場に貼った
採用の段階から、教育は始まっている
面接のときに作業の動画を見せておくと、入社後の「思っていた仕事と違う」が減ります。海外の候補者との面接の段取りは特定技能のオンライン面接の進め方で紹介しています。紹介会社を使う場合は、候補者がどの作業を何年経験したかを具体的に聞いておきます。計画表のどの段階から始めるかを決めやすくなります(人材紹介会社の選び方)。
外国人の新人教育の方法:見せる→一緒に→任せる→確かめる
外国人の新人教育は、1つの作業を「見せる」「一緒にやる」「任せる」「確かめる」の4段階で教えるのが基本です。最後の「確かめる」を、言葉の返事ではなく、本人の動きで行うのがこつです。
- 見せる
指導担当がやってみせます。手元が見える位置に本人を立たせ、写真マニュアルの番号と同じ順に進めます。理由は「ここを触ると、けがをします」のように一言で添えます。
- 一緒にやる
本人の手で、指導担当が横から声をかけながら進めます。操作盤は指でさし、工具は実物を手に取って示します。
- 任せる
本人1人でやってもらい、指導担当は近くで見ます。止まっても、すぐに手を出さず、10秒ほど待ってから声をかけます。
- 確かめる
「わかりましたか」で終わらせず、もう一度やってもらうか、手順を説明してもらいます。できたら、その日の記録に書きます。
一度に教えるのは3つまで
新しいことを一度にたくさん教えると、最初の1つも残りません。1回に教える手順は3つまでにし、次の3つは、前の3つが本人の手でできてから教えます。急がば回れで、結果的に独り立ちが早くなります。
言葉と日本語学習の支援を組み合わせる
2026年6月14日から、外国人雇用管理指針は「日本語能力に配慮した教育訓練の実施」に努めるよう求めています。指示の言い換えや写真マニュアルの作り方はやさしい日本語で伝える、仕事の言葉を覚える支援は日本語学習支援の記事で詳しく紹介しています。
外国人の指導担当の選び方と負担の減らし方
指導担当には、いちばん仕事ができる人より、手順を言葉と動作に分けて説明できる人を選びます。そのうえで主・副の2人制にし、指導にかける時間を業務量から差し引くと、負担が1人に偏りません。
指導担当を選ぶ5つの基準
- 作業を「1行1動作」に分けて説明できる
- 同じ質問に、何度でも同じ言い方で答えられる
- 短く、はっきり、言い切って話せる(方言や略語を言い換えられる)
- 人前で叱らず、事実と次にしてほしいことを伝えられる
- 最初の3か月、残業や出張が比較的少ない
図5指導担当と支援担当の役割の分け方
指導担当(仕事を教える人)
- 同じ部署で、日々の指示を出す
- 週ごとの計画にそって教える
- 毎週15分の振り返り
- 3か月目の評価に意見を出す
主担当と副担当の2人にし、主担当が休む日は副担当が教えます。
支援担当(相談を受ける人)
- 生活や仕事の悩みの相談を受ける
- 3か月に1回以上の定期面談
- 本人が理解できる言語で対応する
- 必要なことを会社に伝える
自社で支援する場合、支援担当は外国人に指示を出す立場にない人から選びます。委託する場合は登録支援機関の担当者です。
支援担当になれない人
出入国在留管理庁のQ&Aによると、自社支援の支援責任者・支援担当者は、異なる部署の職員など、その外国人に指揮命令をしない人です。部署が違っても、代表取締役や、所属部署を監督する長のように組織図で縦のラインにいる人は適格ではありません。役員の配偶者や2親等内の親族も同じです。社内の体制づくりは受け入れ担当者の役割と社内体制を参考にしてください。
指導担当に渡す1枚のメモ
指導担当には、教え方の約束を1枚にまとめて渡します。中身は4行で足ります。「一度に教えるのは3つまで」「確認は、やってもらうか説明してもらう」「人前で叱らない」「困ったら副担当か支援担当に相談する」です。全員が同じ約束で教えると、人によって言うことが違う、という混乱を防げます。
指導担当の負担を減らす5つの工夫
- 指導の時間を見込み、最初の1か月は担当の作業量を減らす
- 写真マニュアルを先に作り、説明の手間を減らす
- 振り返りは週15分に固定し、長い面談を何度もしない
- 言葉の壁が大きい話は、支援機関の通訳を頼る
- 指導の成果を、指導担当本人の評価にも入れる
担当者を置く余裕がない会社の回し方は中小企業が特定技能を受け入れる進め方で解説しています。母国語で相談できる委託先の選び方は母国語で相談できる登録支援機関の選び方が参考になります。
3か月目の評価と、4か月目からの育て方
3か月目には、計画の最初に決めた「できるようになること」に照らして評価し、次の3か月の目標を本人に伝えます。評価の項目は、安全・品質と速さ・報告・仕事の日本語の4つにそろえると、日本人の新人とも同じ物差しで見られます。
図63か月目の評価の4項目
- ① 安全保護具を正しく使う。危ない場所で止まれる。合図に正しく反応できる。
- ② 品質と速さ任された作業を、基準の品質で、決めた時間内に終えられる。
- ③ 報告終わったとき、困ったとき、ミスをしたときに、自分から言える。
- ④ 仕事の日本語職場の言葉の一覧の言葉が分かる。指示を聞いて、言い直しなしで動ける。
評価の結果は、本人に分かる言葉で返す
評価は、点数より「できるようになったこと」と「次にできるようになってほしいこと」を、1つずつ具体的に伝えます。母国語での説明が必要なら、支援担当や通訳を交えます。3か月に1回の定期面談と時期を合わせると、本人の話も聞けます。
4か月目からは、次の役割を見せる
独り立ちした後は、作業の幅を広げる、後から入る人に教える、といった次の役割を示します。昇給の条件や2号に向けた道筋と結びつけると、学ぶ理由がはっきりします。評価と昇給の組み立てはキャリアアップの記事で扱っています。
よくある失敗と、安全教育で外せないこと
OJTで最も避けたいのは、安全の教育が伝わらないまま現場に入ってもらうことです。厚生労働省の集計では、2024年の特定技能の労働者の死傷年千人率は3.91で、全ての労働者の2.3を上回りました。
図7在留資格別の死傷年千人率(2024年、労働者1,000人あたりの死傷者数)
- 技能実習3.98
- 特定技能3.91
- 身分に基づく在留資格3.63
- 外国人労働者全体2.71
- 技術・人文知識・国際業務1.22
- 全ての労働者2.3
よくある失敗
- 初日から現場に入れ、「見て覚えて」で済ませる
- 指導担当が日替わりで、人によって教え方が違う
- 安全衛生教育を、日本語の口頭説明だけで終える
- 「わかりましたか」「はい」で確認したことにする
- 研修や勉強会を勤務時間外にし、賃金を払わない
- ミスを人前で強く叱り、質問しにくい空気をつくる
どれも、本人の能力ではなく教える側の段取りの問題です。計画表と振り返りの記録があれば、多くは防げます。
ヒヤリとしたことは、その日のうちに教材へ
けがにならなかったものの、危なかった場面があれば、その日のうちに写真を撮り、マニュアルに「してはいけない形」として加えます。外国人社員だけでなく、日本人の社員にも同じ場面を共有します。小さな出来事を教材に変える習慣が、次の事故を防ぎます。
想定ケース:自動車整備工場(従業員22人)の工場長が、指導を「主・副の2人制」にした理由
想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。
- 点検作業を1人で任せられるまでの期間が、前回の約5か月から約3か月に短くなった
- 指導担当の残業の増え方が、月20時間ほどから月5時間ほどに減った
- 3か月で、写真マニュアルを15枚作った
――2人目の受け入れで、何が変わりましたか。
定期点検を1人で任せられるまでが、3か月ほどになりました。1人目のときは5か月かかっています。指導していた整備士の残業も、前は月20時間ほど増えていたのが、今回は5時間ほどです。(自動車整備工場・従業員22人・工場長・40代)
――1人目のときは、どのように教えていたのですか。
一番腕のいい整備士に、全部任せていました。本人も責任感が強くて、自分の仕事を夜に回して教えていた。3か月目に「もう無理です」と言われて、初めて負担の大きさに気づきました。教わる側も、その人が忙しそうで質問できなかったと、あとで支援機関の面談で話していたそうです。
――やり方を変えるとき、何に迷いましたか。
指導担当を誰にするかです。腕で選ぶなら同じ人になる。でも計画表を作ってみると、必要なのは「手順を分けて説明できる人」だと分かりました。若手の整備士を主担当、ベテランを副担当にして、ベテランには難しい作業だけを見てもらう形にしました。支援機関の担当者から「教える人と相談を受ける人は分けたほうがいい。指導の不満は指導担当には言えませんから」と言われたのも、決め手でした。
――計画表は、どう作ったのですか。
最初の1週目は、リフトと工具の扱い、合図、危ない場所だけにしました。2週目からは、タイヤ交換、オイル交換と、作業ごとに写真マニュアルを1枚ずつ。週の終わりに15分、主担当と本人で「できたこと・不安なこと・来週やること」を話して、1行ずつ記録しています。
――続けるうえで、工夫していることは。
主担当の作業量を、最初の1か月は2割ほど減らしました。それと、指導の成果を主担当の評価に入れると決めたことです。教えることが、自分の仕事の一部として認められる。それで、若手のほうから「マニュアルを増やしたい」と言ってくるようになりました。
相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。
よくある質問
外国人社員に最初の3か月で何を教える?
1週目は安全と職場のルール、1か月目までに基本作業、2か月目は1人でできる作業を増やし、3か月目は任せて確かめます。最初に入れるのは、雇入れ時の安全衛生教育の8項目と合図です。生活オリエンテーション(8時間以上が目安)も1週目に行い、生活の不安を減らしてから仕事を覚えてもらいます。
OJTの時間にも給料は必要ですか?
必要です。OJTは仕事として行うものなので、勤務時間の中で行います。厚生労働省のガイドラインも、業務上義務づけられた研修や、使用者の指示で業務に必要な学習をした時間を労働時間の例に挙げています。
指導担当に手当を出すべきですか?
法令上の決まりはなく、会社の判断です。手当より先に、最初の1か月の作業量を減らし、指導の成果を本人の評価に入れることを考えましょう。負担が見える形で認められると、指導担当が続けやすくなります。
通訳がいないと、OJTはできませんか?
できます。短く言い切る話し方、写真マニュアル、実物と指さしで、多くの作業は教えられます。ただし安全衛生教育は、母国語や視聴覚教材を用いるなど、本人が理解できる方法で行うよう指針で求められています。危険に関わる説明だけは、母国語の資料や支援機関の通訳を使いましょう。
技能実習を終えた人にも、最初からOJTは必要ですか?
必要です。同じ分野でも、会社ごとに機械・手順・品質の基準は違います。雇入れ時の安全衛生教育は、経験の有無にかかわらず行います。経験がある人は、確かめ方で「できる」と分かった段階を早めに進めれば十分です。
日本人の新人と同じ教え方でよいですか?
教える中身と評価の基準は、日本人と同じで構いません。変えるのは方法です。言葉だけに頼らず、写真・実物・やってみせる時間を増やし、確認は返事ではなく動きで行います。この方法は、日本人の新人にもそのまま役立ちます。
OJTの記録は、何を残せばよいですか?
教えた日、教えた作業、確かめた方法、できたかどうか、の4つを1行で残します。安全衛生教育は、行った日と項目、使った資料も書いておきます。毎週の振り返りと合わせると、3か月目の評価にそのまま使えます。
指導担当が異動や退職をしたら、どうすればよいですか?
主・副の2人制にしておけば、副担当が引き継げます。週ごとの計画表、写真マニュアル、振り返りの記録が残っていれば、新しい担当者も同じところから教えられます。人に頼る教え方を、記録に頼る教え方に変えておくことが備えになります。
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この記事の編集方針と出典
- 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
- 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
- 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
- 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
- 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。
出典
- 厚生労働省 職場のあんぜんサイト「雇入れ時の教育」(2026年10月確認)
- 岡山労働局 和気労働基準監督署「人材を育成して安全衛生水準向上を」(雇入れ時教育等の省略規定の廃止)(2024年6月)
- 厚生労働省「外国人雇用管理指針」(2026年10月確認)
- 労働政策研究・研修機構「外国人雇用管理指針」改正告示(2026年5月29日告示(2026年6月14日から段階的に適用))
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日改正)
- 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月)
- 厚生労働省「外国人労働者の安全衛生対策について」(2026年10月確認)
- 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(2026年10月確認)
- 厚生労働省「令和6年 労働災害発生状況について」(2025年5月30日公表)
- 日本政策金融公庫総合研究所「中小企業等における外国人雇用に関するアンケート」(2025年2月21日公表(調査は2024年9〜10月))
- 岡山県「令和5年度 外国人介護人材の受入状況等に関するアンケート調査」(2023年9月1日時点)
最終更新:(2026年10月版)
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