特定技能のりあい窓口

https://tokutei-noriai.blog/2026/10/15/shien-fujubun-risk/ 印刷日:2026年10月15日

特定技能の人材紹介会社・登録支援機関を比べて相談できる窓口 全国オンライン対応

  • 特定技能のりあい窓口|企業向けガイド
  • 失敗を防ぐ
  • 2026年10月版

支援が不十分だった場合のリスク|改善命令・登録取消・受け入れ停止

支援を任せても、義務は会社に残る。放置すれば、5年間受け入れられなくなる道もある

特定技能1号の外国人を受け入れる会社には、10項目の義務的支援を行う義務があります。登録支援機関に全部を任せていても、その義務が消えるわけではありません。支援が不十分なまま放置すると、出入国在留管理庁の指導や改善命令の対象になり、命令に違反すれば罰則もあります。受入れ機関の基準に適合しなくなれば、5年間、特定技能の外国人を受け入れられなくなる道もあります。この記事では、支援が不十分だった場合に会社が負うリスクを、入管法と省令の条文にもとづいて段階ごとに整理しました。委託しても会社に残る責任と、防ぐための点検表もまとめています。

この記事の結論
  • 処分は段階的に重くなる:指導・助言、報告の求めや立入検査、改善命令(公示される)の順です。改善命令に違反すると、6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象です(入管法71条の3)。
  • 受け入れが止まる道がある:届出義務違反や改善命令違反などの不正・著しく不当な行為があると、5年間は受入れ機関の基準を満たしません。自社支援で支援を怠ると、5年間は自社支援ができません。
  • 委託先は登録取消の対象:登録支援機関が支援計画どおりに支援しないと登録を取り消されることがあり、取消しから5年間は登録を受けられません。会社は14日以内の届出と、次の支援体制の手当てが必要です。
  • 委託しても義務は会社に残る:支援計画にもとづく支援を行う義務は受入れ機関にあります(入管法19条の22)。毎月・3か月ごと・年1回の点検で、記録と実態を確かめます。

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この記事の目次

特定技能の支援が不十分だとどうなるか:結論と処分の流れ

支援が不十分だった場合のリスクは、3つの層で考えます。1つ目は、受入れ機関への行政上の措置です。指導・助言から始まり、改善されなければ改善命令が出て、命令に違反すると刑事罰の対象になります。2つ目は、受入れ機関の基準に適合しなくなり、一定期間、特定技能の外国人を受け入れられなくなることです。3つ目は、委託先の登録支援機関が登録を取り消され、支援の体制を作り直さなければならなくなることです。

図1支援の不備が見つかってからの流れ(受入れ機関の場合)

  1. 実地調査や届出の確認で不備が分かる入管は事業所を訪ねる実地調査のほか、電話や郵送でも調査を行います。
  2. 指導・助言(入管法19条の19)支援計画の適正な実施などを確保するために行われます。
  3. 報告の求め・立入検査(19条の20)報告や帳簿の提出を命じられ、事業所への立入検査を受けることがあります。拒否や虚偽の回答は、30万円以下の罰金の対象です(71条の4第2号)。
  4. 改善の報告改善の内容を報告し、改善が確かめられれば終わります。様式には改善報告書(第5-1号、第5-2号)があります。
  5. 改善命令と公示(19条の21)期限を定めて改善を命じ、その旨が公示されます。指導の後も改善されない場合や、重大・悪質な違反、同種の違反を繰り返す場合などが対象とされています。
  6. 命令に違反すると刑事罰(71条の3)6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です。
支援が不十分なことは、まず指導・助言の対象になります。放置すると段階が進みます。出典:e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(2026年10月確認)、出入国在留管理庁「特定技能制度における行政処分等について」(2026年10月確認)、出入国在留管理庁「実地調査に御協力ください」(2026年10月確認)、出入国在留管理庁「特定技能関係の申請・届出様式一覧」(2026年10月確認)

図2支援や届出の不備に関わる数字

  • 30万円改善命令違反の罰金の上限または6月以下の拘禁刑(71条の3)
  • 5年受入れ機関の基準を満たさない期間不正・著しく不当な行為があった場合
  • 14日随時届出の期限入管に届いている必要がある
  • 4件公表されている改善命令2025年5月2日現在の一覧
罰金・期間は入管法と省令の定め、改善命令の件数は出入国在留管理庁の公表資料によります。出典:e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(2026年10月確認)、e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月確認)、出入国在留管理庁「特定技能所属機関に対する改善命令」(2025年5月2日現在)

「不十分」の基準は、支援計画どおりに行ったかどうか

運用要領は、義務的支援の全てを行わなければ、支援計画を適正に実施していないことになると書いています(客観的に見て明らかに不要な支援は除く)。指導・助言や改善命令の対象になる事項にも、「支援計画の適正な実施」が入っています。つまり、10項目のうち1つでも抜けていれば、それだけで指摘の対象になり得ます。

「支援が不十分」とされやすい状態:10項目ごとの水準と記録

支援の10項目には、それぞれ運用要領で水準が示されています。次の表は、求められる水準と、不十分とされやすい状態の例を並べたものです。例は編集部の整理で、実際の判断は個別の事情によります。

義務的支援10項目の水準と、不十分とされやすい状態(例)
支援の項目求められる水準不十分とされやすい状態(例)
事前ガイダンス申請前に、対面かテレビ電話で、理解できる言語で3時間程度。確認書(第5-9号)書面の郵送やメールだけ。1時間に満たない
出入国時の送迎入国時は空港から事業所・住居まで。出国時は保安検査場の前まで同行し、入場を確認出国の日に空港で別れ、入場を確かめない
住居と生活の契約居室は1人7.5㎡以上。口座・携帯電話・電気ガス水道の契約を支援契約の手続きを本人任せにする
生活オリエンテーション理解できる言語で8時間以上。確認書(第5-8号)資料を渡すだけ。生活環境に変化がない人でも4時間未満
公的手続への同行住居地の届出・社会保険・税の情報提供、必要に応じて同行手続きの案内をしない
日本語学習の機会希望に応じて教室・教材の情報提供や手続きの補助希望を聞かない
相談・苦情への対応理解できる言語で、勤務日に週3日以上・休日に週1日以上。相談記録書(第5-4号)平日の昼しかつながらない。記録がない
日本人との交流促進地域の行事などの情報提供と参加の補助案内をしない
転職支援(会社都合の解除時)次の受入れ先探しの支援、求職のための有給休暇、手続きの情報提供解雇しても何もしない
定期面談と通報本人と監督者のそれぞれと3か月に1回以上。報告書(第5-5号・第5-6号)。法令違反は関係機関へ通報面談が空く。監督者とだけ話す

記録がなければ、行ったことを示せない

支援を行っても、記録がなければ調査のときに示せません。相談記録書、定期面談報告書、確認書のほか、オンラインで面談したなら、本人の同意の書面と録画を雇用契約の終了から1年以上保管します。自社で支援する場合は、支援の状況の文書を作り、契約終了から1年以上備えておくことが基準になっています。委託している場合も、記録の写しを会社が受け取る取り決めにしておきます。

特定技能の改善命令とは:指導から命令・罰則までの仕組み

改善命令は、入管法19条の21にもとづく処分です。出入国在留管理庁長官は、受入れ機関に期限を定めて改善を命じることができます。対象は、雇用契約の基準への適合、契約の適正な履行、支援計画の適正な実施、出入国・労働の法令への適合などが確保されていないと認めるときです。命令をしたときは、その旨を公示しなければなりません。

図3公表されている特定技能所属機関への改善命令(4件)

  1. 届出義務違反改善命令

    入管法19条の18第2項の届出(受入れ状況や支援の実施状況などの定期の届出)の一部をせず、指導勧告の後も届け出なかった。

  2. 届出義務違反改善命令

    同じく、定期の届出の一部をせず、指導勧告の後も届け出なかった。

  3. 報酬の不払い改善命令

    手当や報酬の一部または全部を払わず、省令の基準と、雇用契約を続けて履行する体制の基準に適合しないと認められた。

  4. 報酬の不払い改善命令

    同じく、報酬の不払いを理由とするもの。

出入国在留管理庁の一覧は2025年5月2日現在です(2026年10月確認)。届出をしないことも、命令の理由になっています。出典:出入国在留管理庁「調査・行政処分等」(2026年10月確認)、出入国在留管理庁「特定技能所属機関に対する改善命令(法第19条の21第1項)」(2025年5月2日現在)

定期の届出には、支援の実施状況も入る

19条の18第2項の届出には、受け入れている外国人の活動内容のほか、支援計画の実施状況(全部を委託している場合を除く)が含まれます。公表された4件のうち2件は、この届出をしなかったことが理由でした。支援の記録をそろえておくことは、届出の不備を防ぐことにもつながります。

改善命令の後に続く影響

影響は命令そのものにとどまりません。第一に、命令は公示されます。第二に、一定の機関が申請書類の一部を省略できる条件の1つが「過去3年間に指導勧告書の交付や改善命令を受けていないこと」なので、その間はこの省略が使えません。第三に、命令に違反すると刑事罰の対象になるうえ、後で説明する「不正・著しく不当な行為」に当たり、5年間は受入れ機関の基準を満たしません。

調査に協力しないことも処罰の対象

入管法19条の20にもとづく報告の求めや立入検査を拒んだり、虚偽の答えをしたりすると、30万円以下の罰金の対象です(71条の4第2号)。届出をしない、または虚偽の届出をした場合も、届出の種類に応じて30万円以下の罰金(71条の4)か10万円以下の過料(77条の2)の対象になります。

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受入れ機関が基準に適合しないとき:受け入れが止まる3つの道

特定技能の外国人を雇える会社には、省令で基準が定められています(特定技能基準省令2条)。支援や届出の不備が重なってこの基準を満たさなくなると、特定技能の外国人の受入れが認められなくなります。基準を満たさなくなる道は、大きく3つです。

図4受け入れが止まる3つの道

  • 1不正・著しく不当な行為(5年)

    雇用契約の締結日の前後5年以内に、出入国や労働の法令に関する不正・著しく不当な行為があると、基準を満たしません。報酬の不払い、旅券・在留カードの取上げ、届出義務違反、報告・検査の妨害、改善命令への違反などが挙げられています。

  • 2自社支援で支援を怠った(5年)

    締結日の前後5年以内に、支援計画にもとづく支援を怠ったことがあると、自社で支援する基準を満たしません。その間は、登録支援機関への全部委託が必要になります。

  • 3行方不明者を出した(1年)

    締結日の前後1年以内に、会社の責めに帰すべき事由で外国人の行方不明者を出すと、基準を満たしません。相談対応の不足は、この原因にもなり得ます。

1と3は受入れ機関の基準(省令2条1項)、2は支援体制の基準(同2条2項)です。出典:e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月確認)、e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」2条の5(2026年10月確認)

受入れ機関が基準に適合しないと分かったら

2025年4月1日から、基準に適合しなくなったときは「基準不適合に係る届出」(第3-5号)を出します。税や社会保険料の未納、非自発的離職者の発生なども届出の事由です。期限は事由が生じた日から14日以内です。自社支援で支援計画の実施が難しくなった場合は、認知した日から14日以内に「実施困難に係る届出」(第3-7号)も必要です。支援の全部を登録支援機関に委託している場合、この届出は不要です。

定期届出を出さないことも、受け入れ停止につながる

定期届出を出さない場合や、提出書類から基準に合わないことが分かり是正されない場合、特定技能外国人の受入れは原則認められないとされています。届出をしない、または虚偽の届出をした場合は、一定期間、特定技能雇用契約を結べなくなることがあるとも案内されています。会社がやってはいけないことの全体は特定技能で会社がやってはいけないこと一覧、受入れ機関の基準は特定技能の受入れ機関の基準で確かめられます。

登録支援機関の登録取消:委託先の不備が会社に及ぶ影響

委託先の登録支援機関も、支援の不備に責任を負います。入管法は登録支援機関に、委託された支援計画にもとづいて支援業務を行う義務を課しています(19条の30第1項)。出入国在留管理庁長官は、必要に応じて指導・助言(19条の31)や、報告・資料の提出の求め(19条の34)を行えます。

登録支援機関の登録取消の5つの事由

  • 登録を拒否される事由(刑罰歴、5年以内の不正行為、支援業務を的確に行う体制がないなど)に当たるようになった
  • 登録事項の変更や、支援業務の実施状況などの届出をしなかった
  • 委託された支援計画にもとづく支援業務を行わなかった
  • 不正な手段で登録を受けた
  • 報告や資料の提出をしなかった、または虚偽の報告をした

登録を取り消された者は、取消しから5年間は登録を受けられません(19条の26第1項7号)。法人なら、取消しの原因があった時の役員も同じです。Q&Aは、登録を拒否する取扱いの例も示しています。技能実習生や特定技能外国人が、賃金の未払いや相談・苦情への不適切な対応などを理由に行方不明になった場合です。

図5委託先の登録が取り消されたときの会社の動き

  1. 登録簿で確かめる抹消された機関は登録簿に載りません。委託先からの連絡を待たず、満了日と一緒に確かめます。
  2. 本人の相談先を途切れさせない次の体制が決まるまで、会社の担当者が相談を受けることを本人に伝えます。
  3. 次の支援体制を決める別の登録支援機関と契約するか、基準を満たせば自社支援に切り替えます。
  4. 14日以内に届け出る支援委託契約の終了・締結(第3-3-2号)と、支援計画の変更(第3-2号)を出します。
  5. 記録を引き継ぐ相談記録書や面談報告書の写しを、次の担い手に渡します。
委託先の体制では実効性のある支援ができないと認められるときは、受け入れが認められない場合があると運用要領は書いています。出典:e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」19条の26・19条の30〜19条の34(2026年10月確認)、出入国在留管理庁「登録支援機関登録簿」(2026年10月8日)、出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日一部改正)

2027年4月の新基準も、委託先の不備になり得る

2027年4月1日からは、登録支援機関に常勤の支援責任者・担当者の配置と、担当1人あたり受入れ機関10未満・1号外国人50人未満の体制が求められます。2027年7月31日までに登録が満了する機関は、施行日前に更新を申請した場合に限り、改正前の基準で更新できます。委託先の満了日と準備の状況は、今のうちに書面で確かめておきます。

委託しても会社に残る責任:任せられることと、残ること

入管法は、支援計画にもとづいて支援を行う義務を受入れ機関に課し(19条の22第1項)、その実施を委託できるとしています(同第2項)。登録支援機関に全部を委託すれば、支援体制の基準には適合するものとみなされます。しかし、支援計画を作るのは受入れ機関で、指導・助言や改善命令を受けるのも受入れ機関です。場面ごとに整理すると、次のようになります。

図6場面ごとの責任の分かれ方(全部委託の場合)

  • 支援の実施実施するのは登録支援機関。行われているかを確かめ、抜けを直させるのは受入れ機関です。
  • 記録相談記録書・面談報告書を作るのは支援の担い手。写しを受け取り、届出や調査に備えるのは受入れ機関です。
  • 届出随時届出と定期届出を出すのは受入れ機関。登録支援機関は、支援業務の実施状況などを自ら届け出ます。
  • 雇用と報酬雇用契約、日本人と同等以上の報酬、労働時間・社会保険の管理は、すべて受入れ機関です。
委託先が支援を怠れば委託先は登録取消の対象に、受入れ機関は指導や改善命令の対象になり得ます。出典:e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」19条の18〜19条の22・19条の30(2026年10月確認)、出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日一部改正)、出入国在留管理庁「定期届出作成要領」(2026年1月26日掲載)

委託先の不備に気づくための仕組み

全部委託の会社でも、定期届出では支援の状況をとりまとめて出し、登録支援機関は別紙に署名します。届出の時期になって初めて記録の抜けに気づく、という事態を避けるには、報告を受け取る時期を契約で決めておくことです。もう1つは、本人から直接話を聞く機会を持つことです。現場の上司ではなく、総務などの担当者が年に数回、困りごとを聞くだけでも、相談の窓口が機能しているかが分かります。支援の10項目の中身は登録支援機関とは?義務的支援10項目、契約での決め方は特定技能の契約トラブル事例で確かめられます。

支援不足を防ぐ点検表:毎月・3か月ごと・年1回

支援の不足は、点検の頻度を決めておけば早く見つかります。委託している会社も、自社で支援している会社も、次の点検表がそのまま使えます。

毎月

  • 相談記録(件数・内容・対応日)を受け取り、未対応のものがない
  • 本人の住居・給与・勤務に変化がないか確かめた
  • 部署や事業所の変更、予定していた昇給の取りやめがあれば、14日以内に届け出た

3か月ごと

  • 定期面談が本人と監督者のそれぞれと行われ、報告書(第5-5号・第5-6号)を受け取った
  • オンラインで面談したなら、本人の同意の書面と録画が保管されている
  • 面談で出た課題に、誰がいつ対応したかが記録されている

年1回

  • 定期届出(4月1日〜5月31日、前年度分)を出した
  • 委託先の登録の満了日と、2027年4月の新基準への準備を確かめた
  • 支援委託契約の内容と、実際の支援のやり方がずれていないか見直した
  1. 事実を記録する

    いつ、どの支援が、どのくらい行われていないかを、日付と回数で書き出します。

  2. 委託先に書面で是正を求める

    是正の期限(たとえば2週間)と、再発防止の報告を求めます。

  3. 本人の支援を途切れさせない

    抜けていた面談や相談対応を、会社の担当者が補います。本人には理解できる言語で事情を伝えます。

  4. 必要な届出を出す

    委託先を変えるなら支援委託契約と支援計画の届出(14日以内)。自社支援で実施が難しいなら実施困難の届出を出します。

  5. 改善しなければ体制を変える

    期限までに是正されなければ、委託先の変更や自社支援への切り替えを検討します。

受け入れをやめる判断をする場合の手続きは特定技能の受け入れをやめるとき、よくある失敗の全体は特定技能の受け入れでよくある失敗10にまとめています。

想定ケース:型枠工事会社(従業員52人)の総務部長が、「任せたから見る」に変えた理由

想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。

  • 6人全員の定期面談の報告書が、3か月ごとに期限内にそろうようになった
  • 相談記録を毎月受け取り、総務部で確かめる時間は月1時間ほどで済んでいる
  • 委託先の切り替えに伴う届出を、14日の期限の5日前までに出せた

――点検の仕組みを作って半年。何が変わりましたか。

6人全員の面談の報告書が、3か月ごとに期限内にそろうようになりました。以前は、誰の面談がいつ行われたのか、総務で把握できていなかったんです。今は共有の表で、6人分の前回の面談日と次の予定が1行ずつ見られます。

――何がきっかけでしたか。

現場の職長から「1人が、誰に相談すればいいか分からないと言っている」と聞いたことです。調べると、その人の定期面談は前の回から5か月空いていました。相談の窓口も平日の昼だけで、夜や日曜はつながらない状態でした。

――そのとき、どう感じましたか。

背筋が冷えました。支援は全部委託しているから大丈夫、と思い込んでいたんです。でも法律では、支援を行う義務は受入れ機関にある。委託先が面談を飛ばしても、指導を受けるのはうちになり得ると知りました。建設は国土交通省の受入計画の認定もあり、適正就労監理機関の巡回もある。二重に見られている業界なのに、と。

――最初にしたことは何ですか。

事実を1枚にまとめて、委託先に書面で是正を求めました。期限は2週間。返ってきた答えは「担当者が辞めて、引き継げていなかった」。体制の問題で、すぐには直らないと判断し、別の登録支援機関に切り替えました。届出は14日以内に入管に届いている必要があるので、新しい契約の日から逆算して、期限の5日前に出しています。本人には通訳を入れて事情を説明し、次の面談の日をその場で決めました。

――建設分野ならではの点はありますか。

分野の手続きの期限も多いことです。国土交通省の講習を受入れからおおむね3〜6か月の間に受けさせる、受入れ開始から1か月以内に受入報告書を出す、などです。点検表には、支援の項目と分野の期限を同じ表に入れました。2027年4月からは、指導に従わない場合の勧告・公表や受入計画の認定取消しも定められると聞き、なおさら放っておけません。

――切り替え先は、何で選びましたか。

担当者1人あたり何社・何人を見ているかを、数字で答えたかどうかです。2027年4月からは担当数の上限ができるので、そこをぼかす会社は外しました。相談は勤務日に週3日以上、休日も週1日以上、母語で受けると契約に書いてもらいました。

――今の点検は、どのくらいの手間ですか。

毎月の相談記録の確認に1時間ほど。3か月ごとに、面談の報告書を読む日を決めています。年に1回は、委託先の登録の満了日も見ます。「任せたから見なくていい」ではなく、「任せたから見る」。考え方を変えたのが、いちばん大きいですね。

相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。

よくある質問

委託先のミスは会社の責任になる?

なり得ます。支援計画にもとづく支援を行う義務は受入れ機関にあり(入管法19条の22)、指導・助言や改善命令の対象事項にも「支援計画の適正な実施」が入っています。全部委託すれば支援体制の基準には適合するとみなされますが、委託先の体制では実効性のある支援ができないと認められると、受け入れが認められない場合があります。委託先自身も、支援を行わなければ登録取消の対象です。

改善命令を受けると、会社名は公表されますか?

入管法は、改善命令をしたときはその旨を公示しなければならないと定めています。出入国在留管理庁は、特定技能所属機関に対する改善命令の一覧をホームページで公表しています(2025年5月2日現在の一覧で4件)。

改善命令に従わないと、どうなりますか?

6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象です(入管法71条の3)。さらに、改善命令への違反は省令の「不正・著しく不当な行為」に当たり、雇用契約の締結日の前後5年以内にあると、受入れ機関の基準を満たしません。

自社支援で支援を怠ると、どうなりますか?

指導・助言や改善命令の対象になり得ます。また、締結日の前後5年以内に支援計画にもとづく支援を怠ったことがあると、自社で支援する基準を満たしません。その間に受け入れるなら、登録支援機関への全部委託が必要です。条件は特定技能の自社支援とはで確かめられます。

委託先の登録が取り消されていないか、どう確かめますか?

出入国在留管理庁の登録支援機関登録簿(Excel、随時更新)で確かめます。登録後に抹消された機関は載っていません。登録番号と満了日を控えておき、年に1回以上は照合してください。

入管の実地調査は断れますか?

断らないでください。入管法19条の20にもとづく報告の求めや立入検査を拒んだり、虚偽の答えをしたりすると、30万円以下の罰金の対象です(71条の4第2号)。登録支援機関が報告や資料の提出に応じないと、登録取消の事由になります。

支援の抜けに気づいたら、自分から届け出るべきですか?

自社支援で支援計画の実施が難しくなった場合は、認知した日から14日以内に「実施困難に係る届出」が必要です(全部委託の場合は不要)。委託先を変える場合は、支援委託契約と支援計画の届出を14日以内に出します。迷う場合は、地方出入国在留管理局に相談してください。

定期届出を出し忘れたら、どうなりますか?

定期届出を出さない場合、特定技能外国人の受入れは原則認められないとされています。届出をしない、または虚偽の届出は、罰金や過料の対象にもなり得ます。気づいた時点で、地方出入国在留管理局に相談して速やかに出してください。

この記事の編集方針と出典

  • 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
  • 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
  • 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
  • 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
  • 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。

出典

  1. e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(2026年10月確認)
  2. e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(2026年10月確認)
  3. 出入国在留管理庁「調査・行政処分等」(2026年10月確認)
  4. 出入国在留管理庁「特定技能制度における行政処分等について」(2026年10月確認)
  5. 出入国在留管理庁「特定技能所属機関に対する改善命令(法第19条の21第1項)」(2025年5月2日現在)
  6. 出入国在留管理庁「実地調査に御協力ください」(2026年10月確認)
  7. 出入国在留管理庁「特定技能関係の申請・届出様式一覧」(2026年10月確認)
  8. 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(2025年4月1日一部改正)
  9. 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月確認)
  10. 出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」(2026年10月確認)
  11. 出入国在留管理庁「受入れ・活動・支援実施状況に係る届出(定期届出)作成要領」(2026年1月26日掲載)
  12. 出入国在留管理庁「特定技能所属機関からの随時届出に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」(令和7年6月)
  13. 出入国在留管理庁「在留資格「特定技能」」(書類の省略)(2026年10月確認)
  14. 出入国在留管理庁「登録支援機関登録簿」(2026年10月8日)
  15. 出入国在留管理庁「登録支援機関の支援体制要件の改正(令和9年4月1日施行)」(2027年4月1日施行)
  16. 法務省・国土交通省「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領(建設分野)」(2025年1月31日一部改正)
  17. 出入国在留管理庁「特定技能制度の建設分野に特有の事情に鑑みて定める基準の改正について」(2026年6月23日公布・2027年4月1日施行)

最終更新:(2026年10月版)

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