特定技能のりあい窓口

https://tokutei-noriai.blog/2026/10/15/tenshoku-toukei/ 印刷日:2026年10月15日

特定技能の人材紹介会社・登録支援機関を比べて相談できる窓口 全国オンライン対応

特定技能外国人の転職の状況|統計で見る転職の実態

5人に1人が転職を経験。山は資格取得から2年以内、移動先は大都市圏。数字から逆算する定着の打ち手

特定技能の外国人は、同じ分野の中なら本人の意思で転職できます。「せっかく採用しても、すぐ都市部へ移ってしまうのでは」と心配する経営者は少なくありません。では実際の転職の状況はどうなっているのか。この記事では、出入国在留管理庁が公表した統計(2021〜2024年に1号を得た341,253人の、2025年8月末までの転職)を図で示します。転職率、転職の時期、分野別・地域別の動きを読み解き、受け入れ企業が打てる対策につなげます。

この記事の結論
  • 転職を経験した人は22.4%:2021〜2024年に1号を得た341,253人のうち76,338人。資格を得た年が早い人ほど高く、2021年組は29.2%でした。
  • 最初の転職の86.6%は2年以内:資格を得てから1年未満が44.5%、1〜2年が42.1%。入社前の説明と最初の2年の手当てが、定着の分かれ目です。
  • 転職の66.0%は都道府県をまたぐ:大都市圏の8都府県はすべて転入超過。地方から大都市圏への移動は逆向きの約2.9倍ですが、最も多いのは地方どうしの転職です(計算)。
  • 対策は「時期」と「総合条件」:最初の2年に面談と評価を集め、給与だけでなく住居・通勤・相談のしやすさを合わせた条件で選ばれる職場にします。

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この記事の目次

特定技能の転職状況を統計で見る:5人に1人が転職を経験

出入国在留管理庁の集計では、2021〜2024年に特定技能1号を得た341,253人のうち、2025年8月末までに転職を経験した人は76,338人(22.4%)でした。残りの約8割は、転職していません。

ただし、転職は資格を得てから2年以内に集中し、3分の2は都道府県をまたぐ移動です。受け入れ企業にとって大事なのは、「何%が辞めるか」より「いつ・どこへ移るか」です。

図1数字で見る特定技能1号の転職(2025年8月末までの暫定値)

  • 22.4%転職を経験した人の割合341,253人のうち76,338人
  • 86.6%最初の転職が資格取得から2年以内1年未満44.5%+1〜2年42.1%(計算)
  • 66.0%都道府県をまたいだ転職延べ90,029件のうち59,387件
  • 8都府県転入超過の大都市圏東京・神奈川・千葉・埼玉・愛知・大阪・京都・兵庫のすべて
対象は2021年1月〜2024年末に新規入国または初めて1号の許可を受けた人です。割合の一部は人数から編集部が計算しました。出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人の転職状況」(2025年8月末までの集計・暫定値)

この統計での「転職」の意味

資料は「在留資格変更許可を受けたことをもって転職とする」としています。特定技能では、勤め先や分野が変わるたびに在留資格の変更許可が必要です。会社を辞めて帰国した人や、変更の許可を受けていない人は、この転職の数に入りません。

読むときの3つの注意

  • 暫定値:表の見出しに「暫定値」とあり、今後変わる可能性があります。
  • 積み上げの割合:22.4%は1年あたりの率ではなく、資格を得てから2025年8月末までに一度でも転職した人の割合です。
  • 対象外の分野:鉄道・自動車運送業・林業・木材産業は「転職に係る該当データなし」です。

この集計が使われた場面

この資料は、技能実習に代わる育成就労の「転籍」(本人の意向による勤め先の変更)を話し合う有識者会議に出されたものです。2027年4月に始まる育成就労では、転籍を認めるまでの期間が、分野ごとに1〜2年の範囲で決められます。特定技能の転職とは別の制度の話ですが、制度全体の見通しは特定技能の今後で整理しています。

特定技能の転職率は22.4%:資格を得た年で大きく違う

資格を得た年ごとに見ると、2021年組は29.2%、2022年組は28.7%、2023年組は25.1%、2024年組は12.2%でした。早く資格を得た人ほど、転職できる期間が長かったためです。2024年組の12.2%は「最近は転職が減った」という意味ではありません。

図2資格を得た年別の転職経験者(1号、2025年8月末まで)

資格取得者(A)・転職経験者(B)・割合(B/A)と、最初の転職の時期
資格を得た年資格取得者転職経験者割合うち2年以内に最初の転職
2021年37,310人10,905人29.2%7,943人
2022年92,824人26,637人28.7%21,143人
2023年101,240人25,400人25.1%23,604人
2024年109,879人13,396人12.2%13,396人
合計341,253人76,338人22.4%66,086人
「うち2年以内」は、最初の転職が「1年未満」と「1〜2年」の人数を編集部が足したものです。出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人の転職状況」(2025年8月末までの集計・暫定値)

何度も転職する人は少ない

転職を経験した76,338人のうち、転職が1回だけの人が64,619人(84.6%)です。2回は10,162人(13.3%)、3回以上は1,557人(2.0%)でした(3回以上は計算)。「一度移った人は何度も移る」というより、多くの人は1回の転職で落ち着いています。

試験ルートの人のほうが、やや高い

技能実習2号を修了して1号に移った人(技能実習ルート)の転職経験は20.7%、試験に合格して1号になった人(試験等ルート)は25.2%でした。ルートの差は4.5ポイントで、どちらのルートでも転職は起きています。試験の合格者を海外から呼ぶ場合も、技能実習から移る人を採る場合も、同じように定着の準備が要ります。

いつ転職するか:最初の転職の86.6%は資格を得てから2年以内

最初の転職の時期は、資格を得てから1年未満が33,963人(44.5%)、1〜2年が32,123人(42.1%)でした。2年を過ぎると11.8%に下がり、3年を超えるとほとんどいません。

図3資格を得てから最初の転職までの期間(転職経験者76,338人の内訳)

  • 1年未満33,963人(44.5%)
  • 1〜2年32,123人(42.1%)
  • 2〜3年9,010人(11.8%)
  • 3〜4年1,201人(1.6%)
  • 4〜5年41人(0.1%未満)
割合は人数から編集部が計算しました。資格を得た年が新しい人は、まだ3年以上の期間がたっていない点に注意が必要です。出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人の転職状況」(2025年8月末までの集計・暫定値)

長く追える2021年組でも、7割以上は2年以内

新しい年の人は期間が短いため、2年以内の割合が高く出ます。そこで、4年以上追える2021年組だけを見ても、最初の転職10,905人のうち7,943人(72.8%)が2年以内でした(計算)。時間がたつほど転職が増えるのではなく、最初の2年に山があると読めます。

1年目と2年目が、ほぼ同じ高さの山

1年未満と1〜2年の人数は、ほぼ同じです。入社して間もない時期と、1年が過ぎたころの2つの時期に、転職が同じくらい起きていることになります。対策も、入社前から最初の数か月と、1年目の終わりの2つに分けて考えます。

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分野内の転職を統計で見る:特定技能の分野別転職率

特定技能1号は、同じ分野の中であれば本人の意思で転職できます。分野を変えるには、移る先の分野の試験に合格するなどの条件が要ります。下の図は、資格を得た分野ごとに、転職を経験した人の割合を並べたものです。農業の32.9%から航空の9.0%まで、3倍以上の開きがありました。

図4分野別の転職経験者の割合(1号、2021〜2024年の資格取得者)

  • 農業32.9%
  • 漁業28.1%
  • 飲食料品製造業27.1%
  • ビルクリーニング23.7%
  • 外食業22.2%
  • 介護20.3%
  • 工業製品製造業19.6%
  • 宿泊17.9%
  • 造船・舶用工業16.8%
  • 自動車整備15.0%
  • 建設10.8%
  • 航空9.0%
全分野の平均は22.4%です。人数の多い分野では、飲食料品製造業90,368人のうち24,508人、介護50,740人のうち10,301人が転職を経験しました。出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人の転職状況」(2025年8月末までの集計・暫定値)

転職率が高い分野、低い分野

農業・漁業・飲食料品製造業は平均を上回り、建設と航空は10%前後にとどまります。同じ分野でも、資格を得た年で数字は大きく違います。早い年に資格を得た人ほど高く、多くの分野で2021年組は3割前後でした。

主な分野の転職経験者の割合(資格を得た年別、2025年8月末までの暫定値)
分野2021年組2022年組2023年組2024年組
介護32.4%31.3%24.4%8.1%
飲食料品製造業33.6%31.6%29.0%15.7%
外食業35.2%34.5%30.1%13.9%
農業35.7%39.6%37.2%20.6%
工業製品製造業24.9%23.2%20.3%9.9%
建設14.4%15.3%13.2%5.7%

自社の離職を振り返るときは、同じ分野の同じ年に資格を得た人の数字と比べます。「自社の離職が多いのか、分野全体の傾向なのか」を見分ける材料になります。

分野を変える転職は条件が重い

分野や勤め先を変えるときは、そのたびに在留資格の変更許可が必要で、新しい勤め先で働けるのは許可の後です。標準処理期間は1か月〜2か月です。転職のルールと会社の手続きは特定技能外国人の転職ルールで詳しく解説しています。

特定技能の転職は都市部へ向かうのか:都道府県間の移動

延べ90,029件の転職のうち、住所が都道府県をまたいで変わったのは59,387件(66.0%)でした。大都市圏とされる8都府県は、すべて転入が転出を上回っています。差し引きの転入超過は合計14,046人分です(計算)。

図5転職にともなう都道府県間の移動(転入超過・転出超過の大きい都道府県)

転出・転入・差し引き(延べ件数、2025年8月末までの暫定値)
都道府県転出転入差し引き
東京都1,7315,443+3,712
埼玉県2,5575,216+2,659
神奈川県2,0224,578+2,556
大阪府2,0704,499+2,429
千葉県2,8334,382+1,549
愛知県3,5344,181+647
北海道3,6961,359−2,337
熊本県1,809697−1,112
鹿児島県1,422446−976
長野県2,0991,333−766
広島県1,612903−709
宮城県1,070370−700
大都市圏の残り2府県は京都府+424、兵庫県+70です。大都市圏以外で転入超過だったのは茨城県+383、山梨県+228、群馬県+121、静岡県+118でした。出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人の転職状況」(2025年8月末までの集計・暫定値)

地方から大都市圏へは、逆向きの約2.9倍

延べ件数を移動の向きで分けると、地方から大都市圏への転職が21,337件(23.7%)、大都市圏から地方へは7,291件(8.1%)でした。都市部へ向かう流れは、反対向きの約2.9倍です(いずれも計算)。

実は最も多いのは「地方どうし」の転職

一方で、最も多いのは大都市圏以外どうしの転職で、37,650件(41.8%)を占めます。大都市圏どうしは23,751件(26.4%)でした(いずれも計算)。地方の会社が比べられている相手は、都市部の会社だけではありません。近隣の県や同じ県の同業者も、転職先の候補です。

地方の会社が住居・通勤・生活の面で整えたいことは、地方・郊外の企業の特定技能にまとめています。

分野別に見た「地方から大都市圏へ」の動き

地方から大都市圏への転職の割合は、分野によって大きく違います。転職が1,000件を超える分野で最も高いのは介護で、介護の転職11,434件のうち3,944件(34.5%)が地方から大都市圏への移動でした(計算)。

図6分野別の転職の向き(延べ件数)と大都市圏への流入

主な分野の転職件数と、地方から大都市圏への移動(2025年8月末までの暫定値)
分野転職(延べ)地方→大都市圏大都市圏→地方大都市圏の転入超過
飲食料品製造業29,059件7,810件(26.9%)2,581件+5,229
農業17,257件3,069件(17.8%)787件+2,282
工業製品製造業12,833件2,862件(22.3%)1,689件+1,173
介護11,434件3,944件(34.5%)694件+3,250
外食業7,595件1,725件(22.7%)528件+1,197
建設5,051件1,058件(20.9%)558件+500
造船・舶用工業2,254件279件(12.4%)46件+233
漁業1,641件73件(4.4%)36件+37
かっこ内は、その分野の転職のうち地方から大都市圏への移動の割合で、編集部が計算しました。宿泊は転職165件のうち66件(40.0%)が地方から大都市圏への移動でした。出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人の転職状況」(2025年8月末までの集計・暫定値)

介護は大都市圏への流入の割合が高い

介護の大都市圏への転入超過は3,250件で、介護の転職全体の28.4%にあたります(計算)。福岡県の介護事業所への調査でも、外国人介護人材の退職理由(94事業所、複数回答)は「介護職として県外の別の法人に転職」が34.0%でした。地方の介護事業所は、とくに2年目までの定着策を厚くしておく必要があります。

漁業・造船は地域の中で動く

漁業は転職の92.4%(1,517件)、造船・舶用工業は84.1%(1,896件)が大都市圏以外どうしの転職でした(計算)。仕事の場所が海沿いの地域に限られる分野では、移る先も同じような地域になります。人数の推移と分野ごとの上限は、特定技能の最新統計と受入れ見込数の消化状況で確認できます。

ほかの公的調査で見る退職と定着

転職の統計は「移った人」の数です。会社側から見た退職の理由や定着の実感は、別の公的調査で補えます。どちらの調査も特定技能に限らず、外国人従業員全体についての回答です。

退職理由の1位は「日本で転職するため」

日本政策金融公庫の調査(2025年2月21日公表)では、最近5年間に外国人従業員の退職があった企業は54.5%でした。退職があった484社に理由を聞くと、「日本で転職するため」51.0%、「母国で働くため」30.2%、「家族の事情のため」26.0%の順です(複数回答、在留期間の満了による退職は除く)。

定着率は「日本人と同じくらい」が最多

同じ調査で、外国人正社員の定着率を日本人正社員と比べてもらうと、「同じくらい」54.5%、「高い」26.4%、「低い」6.7%でした(402社)。「外国人はすぐ辞める」という印象は、データでは裏付けられていません。大切なのは、転職が起きやすい時期と移る先を知り、先に手を打つことです。

介護事業所の4分の1に退職者

福岡県の調査(2025年7月実施)では、外国人介護人材を受け入れている(予定を含む)362事業所のうち、2024年度に退職者(在留期限の満了を除く)がいたのは94事業所(26.0%)でした。理由は、県外の別法人への転職34.0%、介護職以外への転職34.0%、県内の別法人への転職20.2%です。業種ごとの外国人雇用の全体像は外国人労働者数の最新データで確認できます。

受け入れ企業の対策:データから逆算する5つの手

統計から分かったのは、「2年以内」「県をまたぐ」「条件の比較」の3点です。対策もこの3点に合わせます。会社が転職そのものを止めることはできないので、選ばれ続ける理由をつくる方向で考えます。

図7転職の統計から逆算した定着の打ち手

  • 1入社前に手取りを見せる

    給与から寮費・税・社会保険料を引いた手取りの見本を、本人が分かる言語で示します。「聞いていた話と違う」を入社前に消します。

  • 2最初の3か月を厚くする

    定期面談は3か月に1回以上が義務です。最初の3か月は、現場の上司が週1回15分でも声をかける時間を決めておきます。

  • 31年目の終わりに評価を返す

    1〜2年の山に備え、1年目の評価と昇給の結果、2年目に任せる仕事を本人に伝えます。

  • 4総合条件で比べてもらう

    時給で都市部と張り合えなくても、住居費・通勤・食事・相談のしやすさを合わせた条件で示します。

  • 52号や資格の道を示す

    2号がある分野では試験と実務経験の条件を、介護では介護福祉士を取る道を、入社時に説明します。

転職の時期・向きのデータと、義務的支援の内容をもとに編集部が整理しました。出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人の転職状況」(2025年8月末までの集計・暫定値)、同「特定技能制度」(2026年10月14日確認)

転職を止めるために、してはいけないこと

  • 保証金を預かる、違約金を定めるなど、辞めにくくする契約を結ぶ
  • パスポートや在留カードを会社が預かる
  • 転職の相談をした本人を責めたり、ほかの社員の前で話題にしたりする

保証金や違約金の契約は特定技能では認められず、旅券などの保管は外国人雇用管理指針でもしないよう求められています。社員が自己都合で辞めるときは、雇用契約の終了の届出を14日以内に出し、ハローワークへの外国人雇用状況の届出も行います。

転職者を採る側にもなれる

転職が多いことは、同じ分野で経験を積んだ人を国内で採用できるということでもあります。費用と手続きは国内在住の特定技能人材を採用する費用、全体の日程は特定技能の受け入れの流れで確認できます。

特定技能のりあい窓口では、定着支援の体制や対応言語を含めて、条件に合う会社を最大3社まで無料でご紹介しています。掲載している会社から紹介手数料を受け取る場合がありますが、手数料の有無で提案の順番や内容は変えません。

想定ケース:温泉旅館(従業員85人)の専務取締役が、転職の統計を見て「最初の2年」に手を厚くした理由

想定ケース(利用イメージ)について:この章は、特定技能の会社選びでよく寄せられる相談をもとに、編集部が場面を再構成した想定インタビューです。実在の企業・人物の発言ではありません。数値は公的資料にもとづく目安です。

  • 2回目に受け入れた4人は、1年たった時点で4人とも在籍している(1回目は3人中1人が1年2か月で転職)
  • 入社前に、寮費と食費を引いた手取りの見本と、1年目の昇給の基準を本人の言語で示すようにした
  • 面談を法定の3か月に1回に加え、最初の半年は月1回、各30分行うようにした

――1回目と2回目の受け入れで、何が違いましたか。

1回目は3人のうち1人が、1年2か月で都市部のホテルへ移りました。2回目の4人は、1年たったいまも全員います。変えたのは、入社前に手取りの見本を見せたことと、1年目の終わりにどう昇給するかを最初に約束したことです。

――最初に転職されたとき、どう受け止めましたか。

正直に言うと、裏切られたような気持ちになりました。でも統計を見ると、宿泊で資格を得た789人のうち転職を経験したのは141人(17.9%)で、そのうち126人は最初の転職が2年以内でした。うちだけの問題ではないと分かり、時期を狙って手を打てばいいと考えを切り替えられました。

――旅館ならではの事情はありますか。

山あいの温泉地で、駅まで車で30分かかります。休みの日に出かける手段がなく、最初の冬は「することがない」と言われました。仕事も、フロントや接客、食事の提供を交代で担当してもらうようにしています。付随する仕事だけを任せることはできないので、仕事の組み方は最初に決めました。

――どこで迷い、何で決めましたか。

給与で都市部のホテルと張り合うかどうかです。登録支援機関の担当者は「最初の1〜2年で移る人が多いのは事実です」と、隠さずに数字を見せてくれました。そのうえで、寮費と食費を実費の範囲に抑え、手取りで比べてもらう提案をしてくれました。無理に引き留める方法を勧めなかったことが、決め手になりました。

――具体的に、何を変えましたか。

最初の半年は月1回、30分の面談をしています。休みの日には、週1回、町の中心まで社用車で送るようにしました。地区の祭りの手伝いにも、本人の希望を聞いて参加してもらいました。地元の人に名前を覚えてもらえたことが、本人たちには大きかったようです。

――これからの目標は。

宿泊には2号があります。後輩を指導しながら働く経験が要るので、1人にフロントの新人指導を任せ始めました。長く働ける道が見えることが、いちばんの引き留めになると考えています。

相談は無料です。条件に合う会社を最大3社までご紹介します。最終的に選ぶのは御社です。

よくある質問

特定技能外国人の転職は多い?

2021〜2024年に1号を得た341,253人のうち、2025年8月末までに転職を経験したのは22.4%(76,338人)で、約8割は転職していません。ただし最初の転職は資格を得てから2年以内に86.6%が集中しており、この時期の手当てが定着を左右します。

特定技能の転職率は、どう計算されていますか?

2021年1月〜2024年末に新規入国または初めて1号の許可を受けた人のうち、2025年8月末までに在留資格の変更許可を受けて勤め先を変えた人の割合です。1年あたりの率ではなく、それまでに一度でも転職した人の割合で、暫定値です。

転職が多いのは、資格を得てから何年目ですか?

最初の転職は、資格を得てから1年未満が44.5%、1〜2年が42.1%で、合わせて86.6%です。4年以上追える2021年の資格取得者だけで見ても、72.8%が2年以内でした(計算)。

転職が多い分野・少ない分野は?

転職経験者の割合が高いのは農業32.9%、漁業28.1%、飲食料品製造業27.1%です。低いのは建設10.8%、航空9.0%でした。鉄道・自動車運送業・林業・木材産業は、資料に転職のデータがありません。

地方の会社は、都市部に人を取られやすいですか?

転職の66.0%は都道府県をまたいでおり、大都市圏の8都府県はすべて転入超過です。地方から大都市圏への移動は、逆向きの約2.9倍でした(計算)。ただし最も多いのは大都市圏以外どうしの転職(41.8%)で、近隣の県や同じ地域の同業者も比べる相手になります。

転職を契約で制限することはできますか?

できません。1号は同じ分野の中なら本人の意思で転職でき、保証金を取ったり違約金を定めたりする契約は認められていません。パスポートなどを預かって引き留めることも、してはいけないことです。2027年4月に始まる育成就労では、本人の意向による転籍に分野ごとに1〜2年の制限期間が設けられますが、特定技能とは別の制度です。

社員が転職するとき、会社は何をしますか?

自己都合の退職なら、雇用契約の終了の届出を、事由が生じてから14日以内に地方出入国在留管理局へ出します。ハローワークへの外国人雇用状況の届出(離職)も必要です。会社の都合で契約を終える場合は、次の勤め先探しの支援など、転職支援も行います。

転職を考えている特定技能の人を採用できますか?

できます。同じ業務区分(または技能の共通性が確認された業務区分)で働く1号の人なら、試験を受け直さずに転職できます。採用する会社は協議会への加入や支援計画などを済ませたうえで、本人が在留資格の変更許可を申請し、働けるのは許可の後です。標準処理期間は1か月〜2か月です。

この記事の編集方針と出典

  • 制度・数値は、出入国在留管理庁・厚生労働省・所管省庁・自治体などの公表資料で確認し、時点を書いています(確認日:2026年10月14日)。
  • 制度は改正されることがあります。申請の前に、必ず最新の公表資料で確認してください。
  • 「想定ケース」は、よくある相談をもとに編集部が再構成したもので、実在の企業・人物の発言ではありません。
  • 特定技能のりあい窓口は、掲載している人材紹介会社・登録支援機関から紹介手数料を受け取る場合があります。手数料の有無で、ご提案の順番や内容は変えません。
  • 誤りにお気づきの場合は、下のフォームからお知らせください。確認のうえ修正します。

出典

  1. 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人の転職状況」(有識者会議資料「1号特定技能外国人の転職状況」)(2025年8月末までの集計・暫定値)
  2. 出入国在留管理庁「特定技能制度」(2026年10月14日確認)
  3. 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(2026年10月確認)
  4. 出入国在留管理庁「特定技能所属機関からの随時届出に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」(2025年6月)
  5. 出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」(2026年10月確認)
  6. 出入国在留管理庁「育成就労制度に関するQ&A」(2026年10月確認)
  7. 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数(令和8年6月末)のポイント」(2026年6月末・速報値)
  8. 日本政策金融公庫総合研究所「中小企業等における外国人雇用に関するアンケート」(2025年2月21日公表(調査は2024年9〜10月))
  9. 福岡県「令和7年度 外国人介護人材の受入れ状況等に関するアンケート調査結果報告書」(2025年7月調査)
  10. 厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」(2026年10月確認)
  11. 労働政策研究・研修機構「外国人雇用管理指針の一部を改正する告示」(2026年5月29日)
  12. 観光庁「宿泊分野における外国人材受入れ(特定技能)」(2026年10月確認)

最終更新:(2026年10月版)

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